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"どうしてある人間がこのようであり、あるものはこうであり、そしてまた人間の運命というものがどうしてこのように変遷していくのか、人の幸不幸はそもそも誰が決定しているのか、などという思いに誤魔化されないで世界を直視するならば、人間たちの個々の運命、摂理とはおのずから別なるより高次の視点か可能であることに気づくでしょう。それはあとから人々の幻想や必要性が付与した意味、いわば人間たちの与えた意味ではなくて、真実の、この世界そのものが内包していた<意味>なのです。それの中にあって、はじめて世界はより高次の世界の似姿としての姿を明らかにします。"
栗本薫『グインサーガ』37巻

"極上のひとは、一切を自分で考慮して、これならこれからさき最後までも大丈夫と判断のつくひと。
つぎにやはり上出来なのは、よい助言者にしたがうこと。
ところが、自分で判断もしなければ、人から聞いて心に留めることもしないひとは、無用の長物だ。"
ヘシオドス『労働と日々』
dl.ndl.go.jp/pid/2932379/1/26

"あまりに長く旅をしていると、ついには自分の国では異邦人となってしまうように、過去の時代に行われたことにあまり首を突っ込んでばかりいると、今の時代に行われていることに、まるで疎くなってしまうのが普通である。"
デカルト『方法序説』

"現代の知識人は、アマチュアたるべきである。アマチュアというのは、社会の中で思考し憂慮する人間のことである。"
サイード『知識人とは何か』

"歴史のなかには大きな巻物が広げられていて、わたしたちが過去の誤謬と人間の弱さについて学ぶことで、将来の知恵を築く材料を引き出して考察できるようになっているのです。"
エドマンド・バーク『フランス革命についての省察』

今日はバークの誕生日らしいので。

"そもそも国に哲学がないとは、床の間に掛け軸がないようなもので、その国の品位をおとすものだ。(...) これは暇つぶしの議論のようであって、そうではない。哲学なき国民は何ごとをなすにも深みに欠け、浅薄にならざるを得ないのである。"
中江兆民『一年有半』

"なされるべきことを考えることが成功の秘訣である。これを考えないならばいかに有能であろうとも成果を上げることはできない。"
P.F.ドラッカー『経営者の条件』

"私は人類というものから世界の貴族階級を作ろうとした。制限されることのない、自由な、至高の人たちを造ろうとした。それは人間以上であってもいい。"
カレル・チャペック『ロボット』

今日はチャペックの誕生日らしいので。上記の箇所は私がAIに抱いてる思いに近いなあ。

"数学を使って何かに役立てようという意志は背景に退いて、目をこらして「数」や「図形」の織りなす世界を「よく見よう」とする静かな情熱が、ギリシア数学を貫いている。そういえば「定理」という言葉も、もともとは「よく見る」という意味のギリシア語から来ているのである。"
森田真生『数学する身体』

"人間性と真摯さは、それ自体では何事もなしえない。しかしそれらがなければ、ほかのあらゆるものを破壊する。したがって、人間性と真摯さに関わる欠陥は、単に仕事上の能力や強みに対する制約であるにとどまらず、それ自体が人を失格にするという唯一の弱みである。"
P.F.ドラッカー『経営者の条件』

"「ひとつだけ云っておこう。何があっても、何をきいても、いったん信ずると決めたら、信じとおすことだ。たとえ、裏切られたのかと思うときでも。そしてこの世で重大なのはただ三つ、真実と、愛と、そして運命だけなのだということを、忘れぬことだ。その中のどれかが自分を裏切るようにみえても、のこる二つをしっかりと信じ、それによっている限り、必ず、もう一つのものも帰ってくるときがくる。」"
栗本薫『グイン・サーガ』21巻

"多忙な人は、みな惨めな状態にある。その中でもとりわけ惨めなのは、他人のためにあくせくと苦労している連中だ。彼らは、他人が眠るのにあわせて眠り、他人が歩くのにあわせて歩く。だれを好いてだれを嫌うかという、なによりも自由であるはずの事柄でさえ、他人のいいなりにならなければならない。"
セネカ『人生の短さについて』

"梢や風、カラスや草花、ネコや魚、ウズラや灌木、これらのことばが言語でないことは当然である。しかしわれわれの耳は言語へと疎外されているから、すべての<ことば>を言語として聞く。そして言語化しえないことばは、きこえない。というふうに感受性と交信能力を自己限定する。"
真木悠介『気流の鳴る音』P.65

"発車のベルが鳴った時、チラと見ると、父は二三度深く頷いた。(みんなわかっている)と、父の顔が言っている。昔の顔だ。死が三、四ヶ月後に来ることを知っていた父はとうとう仮面を脱いだのだ。私は顔中を涙にして泣いた。"
森茉莉『記憶の繪』

※「父」は無論、鴎外のこと。

"「道端で泣いている赤ん坊がいるのを見つけたとしよう。君ならどうする?」
「警察に電話します」。私は大して考えもせず答えた。
 するとリチャードは、オフィスから私を連れ出し、私の肩に手を回して言った。
「君には共感力が必要だな。道で泣いている赤ん坊を見つけたら、抱き上げなきゃ」"
サティア・ナデラ『Hit Refresh』

"われわれの社会が組織社会化しつつある中にあって、いまやあらゆる組織が社会の質に責任をもち、社会的な価値と信条と目的の実現を、本業への制約条件としてではなく正常な活動の主たる目的としなければならなくなった。組織は社会の質の向上を自らの本業と一致させなければならない。"
P.F.ドラッカー『マネジメント』

ネグリ=ハート『<帝国>』

ネグリの訃報に接して。あちこち線が引いてあるのでひとおおり読んだっぽいのだけど、内容をはっきり思い出せないのでもう一度読み返したい。

『ロンドン(上)』エドワード・ラザファード著

ロンドンを舞台にした、とある架空の一族の、2000年にわたる年代記。上巻だけで二段組500ページを超える。なかなか手が出なかったのだけど読み始めると面白い!物語の始まりは、紀元前にカエサルが襲来するところから。

『スッタニパータ ブッダの言葉』今枝由郎訳

言わずと知れた原始仏典。光文社古典新訳文庫から新訳が出てたので購入。学生時代に読んだ時(岩波文庫版)の印象はあまり残ってないのだけど、あらためて読んでみると実に興味深い。

自分というものには実体がなく、すべては虚妄であるとブッダは説く。最近の脳科学、特に受動意識仮説を支持していると、ブッダが語ったのはそういうことかな、と思ってしまう。バラバラに動く脳のサブシステムがご都合主義でまとめた偽りの自己。グルジェフの思想もそれに近いと考えられる(彼自身は「秘教的キリスト教」と言ったけどそれは西洋文明の中だったからだろう)。

ただ、最終的な目標は明示されているのに、そこに至る道筋が迂遠すぎる気がする。ブッダ存命中は対機説法でカバーできたんだろうね。


今日は栗本薫・中島梓の命日(梓薫忌)ということで。栗本さんの小説でいちばん多く読み返してるのが『レダ』。学生時代以来、たぶん20回以上は読んでいる。あまり評価の高くない作品だけど、私にとってはかけがえのない作品。

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