※ただの見物客なりにあれこれの気持ちは抱くのですが、傷ついたひとの怒りや悲しみを簒奪するおそれもあるし、問題の根っこはジェンダーに関する分野に留まらなさそうなので、なるべくエビデンスレベルの高低に絞った話をするようにしています。カドカワストアの「翻訳ノンフィクション」カテゴリーをみると、自己啓発やスピリチュアル、歴史の裏側、食と健康、人間関係などなど、「書籍市場でしっかり売れるけど内容のさじ加減が難しいトピック」をよく扱っていて、この顔ぶれは地方書店・新古書店のわりとふつうの品揃えと通じるところがある。
怪我の功名として、KADOKAWA社内で「ROGD概念のエビデンスレベルの低さや、主要な医学雑誌での異端的な扱い、米国における諸騒動をがっつり取材したノンフィクション」を企画立案するチャンスなのかも。血液型占いやナチス善行説、HSP概念がそうなりつつあるように、「大手の企業体力を活かして、本格的なデータジャーナリズムで俗説をきっちり検証します」という姿勢を確立できたらすごい(KADOKAWAの翻訳ノンフィクションはこれまでも脳科学ジャンルで際どいものを拾っていたイメージがあるので)
「本書は、ジェンダーに関する欧米での事象等を通じて国内読者で議論を深めていくきっかけになればと刊行を予定しておりましたが、タイトルやキャッチコピーの内容により結果的に当事者の方を傷つけることとなり、誠に申し訳ございません。」
https://www.kadokawa.co.jp/topics/10952/
Wikipedia(英語)に原著刊行後の騒ぎがまとまってた。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Irreversible_Damage
(憶測の域を出ませんが)同社・他社の過去例に照らしてありそうなのは、、、
■事故った(無思想)
・「かなりの話題書だしちゃんと取材してるようだから」とうっかり翻訳権を買っちゃった
・社内でもなんかよく知らないうちに出ちゃった
■問題作(無思想)
・不安商法で売れると見込んで攻めた
・日本のLGBTコミュニティの非難なら米国同様に乗り切れるだろうと踏んだ
・翻訳部門の台所事情でやむにやまれず
■わざと(思想)
・社内に関連思想の持ち主がいる(経営層か現場か)
・内容の説得力がすごい(まるで事情を知らないと感化される程度には)
・賛否はさておき海外事情を知らせたい(反捕鯨映画の上映会みたいに)
といったところか。
原題や邦題、内容紹介からは「物議を醸すぞ」という姿勢を感じるけど、著者の次回作「Bad therapy」も児童の精神障害を扱いながら、従来の治療法に疑問を呈するといったお話のよう。現代型の近藤誠ですね。
知りたいのは、KADOKAWAの広告諸規定でいう「非科学的、迷信に類するもので、読者・ユーザーに不安や不利益を与えるおそれがあるもの」に当たるのどうか…。
「いまを生きるオタクたちの熱量を肌身で感じたい人」というフレージングめっちゃ上手いなぁ。褒め言葉にも悪口にも突き放しにも読める。
https://friday.kodansha.co.jp/article/345400?page=2
いつしか「外食ならでは」を求めているじぶんがいる
新人育成やベテランの恩給にかかる費用を組み入れたうえで、ちょっと冷たい言い方になるけど、「アイドル1人あたりの時間単価、原価率、償却期間」を算出すると、どれくらいが日本経済における相場になるんだろう。
(大手VTuber事務所やYoutuberマネジメント会社の決算資料をみれば推定できるけど、邦画のわき役や再現ドラマのアクター派遣が主たる収益源の小規模事務所まで含めると、という話)
個人事業主を中心的な担い手とした実力主義・歩合制・短期集中型の収益モデルは、工場労働のメタファーで作られた労働法制との噛み合わせがいまいちであり、ゆえに人権問題のリスクを興行主が経営的にコントロールしづらい状態に陥りやすいとは言えるんだろうけど、しっかり稼げている法人のなかには収益構成が物販・催事が主軸であるところも珍しくないし。
問いを書き換えるなら、現代のIP産業におけるアイドルコスト(象徴資本コスト、又は単にブランド維持費、のれん代)は如何ほどのものなのかしら、と。
「認定フェアトレード芸能事務所」というアイデア(机上論で終わりそうだけど)
お知らせです〜
「原稿料」をテーマにしたウェブメディア「作家の手帖」、サイトをリニューアルしました!!!🦾🌸💫
2021年に「準備1号」を発表後、なかなか忙しかったり疲れたりで活動できていなかったのですが、ようやく再始動です。
改めて企画の概要や狙いについて、トップページに対談テキストを掲載しています。
「準備2号」の活動も開始します〜〜
購読予約も受付はじめております〜〜
「準備1号」では、以下のようなプロセスで制作し、その過程もすべて公開していました。
・執筆者とスタッフを公募
・業務委託共通規約と業務委託仕様書をもとに執筆・制作を依頼
・着手金のお支払い
■作家の手帖ウェブサイト
https://genkoryo.com/
■2021年に弁護士ドットコムさんに取材いただいた記事
「原稿料も契約書も制作過程も公開、ライターのトラブルなくしたい『作家の手帖』の挑戦」
https://www.bengo4.com/c_18/n_13068/
新宗教の老齢化とショービジネスの暴徒化は、1980年代あたりを境にしたコインの表裏なのかもしれない(きっと90年代頃から幾度となく変奏されてきたであろう印象論)
口あけぬひつじ死んでいる