全体の特集は「BLとSF」の第二弾です。
今月の「これって、SF?」の最後でも少し喋りましたが、高校時代(自分以外は先輩後輩含めて部員が全員女子のアニ研でした)いつも話題の中心だった方々と同じ誌面に載ってるって、なんか嘘みたいな感じです。
https://www.youtube.com/watch?si=i26HJZn5A-Wmr9hX&t=1270&v=HoXJnF9ZVnA&feature=youtu.be
お仕事告知です。
現在発売中の〈SFマガジン〉24年4月号、例によってSF BOOK SCOPE国内欄を担当しています。
ピックアップ1p
・夏海公司『セピア×セパレート 復活停止』(電撃文庫)
見開き2p
・森見登美彦『シャーロック・ホームズの凱旋』(中央公論新社)
・『万象3』(惑星と口笛ブックス)
・林譲治『知能侵蝕1』(ハヤカワ文庫JA)
・九段理江『東京都同情塔』(新潮社)
・なかむらあゆみ編『巣 徳島SFアンソロジー』(あゆみ書房)
・饗庭淵『対怪異アンドロイド開発研究室』(KADOKAWA)
・北里紗月『赫き女王』(光文社)
・小塚原旬『機工審査官テオ・アルベールと永久機関の夢』(ハヤカワ文庫JA)
・貫井徳郎『龍の墓』(双葉社)
・紺野天龍『ソードアート・オンライン オルタナティブ ミステリ・ラビリンス 迷宮館の殺人』(電撃文庫)
以上10冊を紹介しています。
今回は国内ピックアップが私の他にも2冊(『奏で手のヌフレツン』『不夜島』)あったので、見開きでは、ジャンルSFの中心からはすこし外れますがSFファンの興味を引きそうなものを多く取り上げています。
巻末近況欄で2作触れた他、いくつかこぼれてしまったものもありますが、次回拾えれば。
杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、2月号(1月刊行分)その3です。
私は、1月号で取り上げ損ねた、昨年12月刊行の中村融編『宇宙探査SF傑作選 星、はるか遠く』(創元SF文庫)を紹介しました。
1960年代の作品を中心に編まれたアンソロジーです。いま読んでも楽しめる宇宙SFの秀作が揃っており、読者のSF歴に応じていろんな楽しみ方ができると思います。
動画では触れてませんが、ハリスン、ディクスンの並びは作者・作品ともに良いですね。ちなみに、先月『宇宙の果ての本屋』の「水星播種」を読んで思い出したブリッシュ作品というのは、本書巻末の「表面張力」でした。
杉江さんが紹介されたのは、芥川賞受賞作、九段理江『東京都同情塔』(新潮社)です。
AI使用が話題になりましたが、ザハ案の国立競技場が実際に建設されたもうひとつの東京を描く改変世界ものでもあります。
私は、言葉-建築-街……抽象にかたちを与えるものについての小説として興味深く読みました。動画中ではもごもご言ってますが、ザハ国立と同情塔が同じ視界に収まるイメージも、作中のさまざまな思想・考察と共鳴して秀逸だと思います。
https://www.youtube.com/watch?si=L7gzaT9-ExZBAWtP&v=HoXJnF9ZVnA&feature=youtu.be
杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、2月号(1月刊行分)その2です。
私は、ディヴィッド・ウェリントン/中原尚哉訳『妄想感染体』(ハヤカワ文庫SF)を紹介しました。
調査船がことごとく消息を絶ってしまう植民惑星で起こっていたこととは? 人はもちろん、AIも狂わせてしまう病原体が登場するSFホラーの開幕篇です。軌道上がお化け屋敷みたいになってます。新型AIが狂って行く中、旧型AI、ラプスカリオンの活躍が楽しい。
杉江さんが取り上げられたのは、芥川賞候補にもなった小砂川チト『猿の戴冠式』(講談社)です。
人語を学習させられたボノボと、競技と距離を置いている競歩選手の奇妙な交流が描かれます。小砂川作品は虚実の混ざり方が独特ですね。紙数の関係でSFマガジンでは取り上げていないのですが、前作『家庭用安心坑夫』も含めて、SF・幻想小説読者にもおすすめです。
https://www.youtube.com/watch?si=xMjF92CEaZk-J3pU&v=kZFCoaGjwBk&feature=youtu.be
杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、2月号(1月刊行分)その1です。
私は、夏海公司『セピア×セパレート 復活停止』(電撃文庫)を取り上げました。
SEお仕事ラノベ『なれる! SE』などで活躍してきた作者の最新作で、現場のエンジニア視点とスケールの大きなSF的アイデアが結びついた快作です。目まぐるしく展開する物語中に、現代SFの要素がみっしり詰まってます。今年に入って読んだ国内SFの中ではいちばんのおすすめかも。
杉江さんが紹介されたのは、高瀬隼子『め生える』(U-NEXT)。
謎の感染症により、みんながハゲてしまうというお話です。ハゲというとルッキズムの問題のようだけど逆転させてみると……というところがおもしろい。
収録中にタイトルを思い出せなかったのですが、私が触れている髪の毛についてのノンフィクションは、荒俣宏『ハゲの文化史』(ポプラ新書)でした。
https://www.youtube.com/watch?si=k6-d68Fwek-DYzO2&v=ZfNEU3cVZnE&feature=youtu.be
日本SF大賞、その他の今年度最終候補作を取り上げた回はこちらです。「ほんとなぞ」内に全部あります!
結城充考『アブソルート・コールド』
https://www.youtube.com/watch?si=l4LsXYy_sb_IWsbM&v=UbcttULAv70&feature=youtu.be
斜線堂有紀 『回樹』
https://www.youtube.com/watch?si=861Qf2pEHTRhXGS9&v=SwaFTjJwSSE&feature=youtu.be
高野史緒 『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』
https://www.youtube.com/watch?si=QGAP9sWFwgCY9Sc_&v=HJ_L44ggrZo&feature=youtu.be
(「文庫大研究」より)
久永実木彦 『わたしたちの怪獣』
https://www.youtube.com/watch?si=jxGTrftp0VspBHU2&v=etAhRHvAjlQ&feature=youtu.be
長谷敏司さん『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』、日本SF大賞受賞おめでとうございます!
書評番組「これって、SF?」で受賞作を取り上げた回はこちらです。
その他の候補作についても、チャンネル内で取り上げていますので探してみてください。
https://www.youtube.com/watch?si=mETieDcVWevHglnt&v=KxbKAAqSv3M&feature=youtu.be
【告知】次のSFマガジン(2月24日売り)にジョン・ウィズウェル「幽霊屋敷のオープンハウス」の翻訳が載ります!
2021年のネビュラ賞受賞作で、ヒューゴー・ローカス・世界幻想文学大賞にもそれぞれノミネート。めっちゃ評価高い作品です。
扉絵はYOUCHANさん。
筋書きとしては、前の住人の死から長年空き家になっていた屋敷でオープンハウスが行われ、そこに新しい家を探す父娘がやってくるのですが、そこは実は幽霊屋敷で……。という感じ。
とはいえホラーにはなりません。めっちゃいい話です。泣ける……かも。
ぜひご一読を〜!
【祝】ジョン・スラデック『チク・タク×10』(竹書房文庫)がSFが読みたい!2024年版[海外篇]の第1位となりました!
竹書房からは初の1位ということもあり、それも含めて嬉しいです!
投票してくださったみなさんありがとうございました!!
それにともなって、『SFが読みたい!2024年版』では竹書房の水上志郎さんを聞き手にした鯨井久志インタビューと、鯨井監修によるジョン・スラデック邦訳作品全レビュー(鯨井、坂永雄一、白川眞、林哲矢、伴名練、鷲羽巧。敬称略)が掲載されています。
そちらもよろしく。
『SFが読みたい! 2024年版』、本日発売です。例年通り、国内篇30位までの作品紹介、総括などを担当しました。 国内篇、ご覧の通りトップ10には短篇集がずらりと並んでいるのですが、それらを抑えて1位に輝いたのは……
杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、1月号(12月刊行分)その3です。
私は、ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作、矢野アロウ『ホライズン・ゲート 事象の狩人』(早川書房)を取り上げました。
巨大ブラックホールの中心部を調査する少年とそれを遠距離射撃で護衛する少女、異なる時間を生きる二人の想いを描くSFならではのロマンスです。2人の種族的背景もおもしろい。
杉江さんが取り上げられたのは、饗庭淵『対怪異アンドロイド開発研究室』(KADOKAWA)です。
第8回カクヨムWeb小説コンテスト〈ホラー部門〉特別賞受賞作。対怪異を描く作品はいろいろありますが、本作はアンドロイドということでフレーム問題との絡みが興味深かったです。
https://www.youtube.com/watch?si=5fiClN18EL7U2wt5&v=wnTGlA2WHUY&feature=youtu.be
杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、1月号(12月刊行分)その2です。
私は、立原透耶編『宇宙の果ての本屋 現代中華SF傑作選』(新紀元社)を取り上げました。
『時のきざはし』に続く華文SFアンソロジー第二弾で、今回はさらにSF色強め。数篇しか触れられませんでしたが全篇素晴らしく、ジャンルSFの伝統を踏まえつつ現代的なテーマに挑んだ多彩な作品が揃っています。
杉江さんが取り上げられたのは、辻真先『迷犬ルパン 異世界に還る』です。
《迷犬ルパン》と言えば、SFイベントが舞台で実名作家もたくさん登場する『檜舞台』がSFファンにはおなじみかと。最新刊はなんと異世界転生ものです。今回も作者ならではのゲスト(?)が楽しい。
https://www.youtube.com/watch?si=2j0FhBznRLVKyErU&v=I7sOpsWrV6s&feature=youtu.be
杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、今年最初の更新です。今年もよろしくお願いします。まずは1月号(12月刊行分)その1です。
私は、森岡浩之『プライベートな星間戦争』(星界社FICTIONS)を取り上げました。
第一部は独特の用語が彩る異色のミリタリーSF、第二部はスケールの大きな電脳SFで、ふたつのパートがどう関係するのか、巧緻な構成が読みどころです。作者の過去作を思わせる要素も随所にちりばめられています。
《星界》シリーズのように独特のルールに支配された戦闘、『優しい煉獄』を思い起こさせる第二部……。ん? ススムって? とかも気になりますね。
杉江さんが取り上げられたのは、北里紗月『赫き女王 Red Alveolata Queen』(光文社)です。
孤島での過酷なサバイバル、次々と襲ってくる変容した生物など、息もつかせぬバイオパニックホラーです。"バイオ"部分のアイデアは、SFファンにも読み応えがあると思います。
https://www.youtube.com/watch?si=lveSj5_iJQeR7Vey&v=YYguJLqIn3I&feature=youtu.be
1月22日、Eテレのネコメンタリーに登場します。
書いてるところもたくさん映ると思います。ぜひご覧ください。
https://www.nhk.jp/p/ts/Z52R515WW1/episode/te/32PZPK63NG/
書評家/おはなしを読む人。 〈SFマガジン〉で国内SF書評連載中。杉江松恋さんのYoutubeチャンネル「ほんとなぞ」で、月例SF書評番組「これって、SF?」に出演中。たまに文庫解説やブックガイド記事なども書きます。日本SF作家クラブ会員。
読み聞かせボランティアとして、地元を中心におはなし会もやってます。