SF&ファンタジー作家協会(SFWA)がインフィニティ賞を創設することを決定。
対象は、生涯功労賞であるデーモン・ナイト記念グランドマスター賞を受賞する機会なく亡くなった作家。遺した作品が刺激を与え続けている点を評価する。
第一回の受賞者はオクテイヴィア・E・バトラー。
https://www.sfwa.org/2023/04/27/the-inaugural-infinity-award-honoree-octavia-e-butler/
あ、あともう1冊大事なの忘れてた、嵯峨景子『少女小説を知るための100冊』(星海社新書)も。
SF限定じゃないから〈SFマガジン〉ではできなかったけど、最近出たガイドブックでいちばん好きなのはこれです。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000372530
『SF超入門』『現代SF小説ガイドブック』と続けて読んで、総解説も楽しいけど、個人の色が出たガイドも良いよね、と改めて思った。コンセプトや内容の合う合わないはもちろんあるんだけど、それがはっきり出るのも含めて面白い。
Webサイトやめて久しいけど、ちょっと個人で何かしてみたくなった。
個人的には、あらすじがしっかり書いてあるガイドが好き。自由国民社とか。
『あらすじで読む~』系のやつも手を出してみたけど、あれはなんか違うんだよなぁ。
月列SF書評番組「これって、SF?」2023年4月号その3です。
個人的には、この回の2冊は年間ベスト候補です。
私は、マシュー・ベイカー『アメリカへようこそ』(田内志文訳/KADOKAWA)を紹介しています。
版元サイトにはSF短篇集とありますね。偽の言葉を作る仕事、記憶を消す刑罰などの奇抜な設定はもちろん、事物・感情・経験の列挙・羅列で情感を醸し出す独特の文章がすごいです。
杉江さんご紹介の斜線堂有紀『回樹』(早川書房)は、多方面で活躍中の著者による初のSF短篇集。こちらも、一体どこから出てきたんだという発想がまずすごい。
いわゆるバカSFになりそうな設定が、動画中でも触れた死・喪失・痛みといった切実なモチーフと絡んで、やはり独特の情感を生んでいます。
https://www.youtube.com/watch?v=SwaFTjJwSSE
月例SF書評番組「これって、SF?」2023年4月号その2です。
私は『世界警察4 悠久のフロスティグレイ』沢村鐵(中公文庫)を紹介しています。
世界連邦が成立した21世紀末が舞台・特殊装備"シールド"の存在など、SF的な設定を盛り込んだ世界規模の近未来警察小説、完結篇です。前日譚に当たる《一柳美結》シリーズと合わせると全8巻ですが、GWにどうでしょう。
杉江さんご紹介のマット・ラフ『ラヴクラフト・カントリー』(創元推理文庫)もおすすめです。
"ラヴクラフト的恐怖"をこんなふうに描くとは。連作としての構成も、各篇独立して楽しめた上で、緊密すぎず強引すぎず、きゅっとまとまってます。SF的には「宇宙を攪乱するヒッポリタ」が良い。
冒頭で近況がてら紹介している、池松舞『野球短歌 さっきまでセ界が全滅したことを私はぜんぜん知らなかった』(ナナロク社)はこちらです。
22年のタイガース(大連敗スタート~CS進出)だからこその、歓喜と悲哀が入り混じった塩梅も良いですね。
https://twitter.com/nanarokusha/status/1635573006373384193
「これって、SF?」2023年4月号その1です。
私の今月の1冊目は、オリヴィー・ブレイク『アトラス6』(佐田千織訳/ハヤカワ文庫FT)です。
文庫FTからの刊行ですが、魔法の扱い方がSFっぽい手つきで、単に魔法学園ものの大人版というだけではないおもしろさがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=oGu9pEFjr5M
「鏖戦」は、マイ・オールタイムベスト"翻訳"SFです。
これ原文どうなってんだと思って、原書買いましたよ。
でもどこ行ったかわからないので、昨日またKindleで書い直しましたよ!
https://twitter.com/maniamariera/status/1648203462440804352
国内篇の『フィールダー』
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-771807-2
海外篇の『スモモの木の啓示』
https://www.hakusuisha.co.jp/smp/book/b597070.html
どちらもかなり難しいテーマを、なかなか先が見えないスリリングな物語に仕立てていると思います。
あらすじを語ると周囲の人も結構買ってくれるのですが、未読のままだった、知らなかったという方も少なくないのでぜひ。
たしか倉本さおりさんが両方に個人票を投じていたのではなかったかと。年間ベスト級の作品です。
「これって、SF?」2023年3月号その3です。
私は、N・K・ジェミシン『輝石の空』(小野田和子訳/創元SF文庫)を紹介しています。『第五の季節』『オベリスクの門』に続く三部作の完結篇です。
母娘の重厚なドラマが壮大なスペクタクルとともにクライマックスを迎え、その過程で全体のテーマとも結びつく世界の秘密が明かされる終盤が圧巻です。
https://www.youtube.com/watch?v=pqXjs7hMjm0&feature=youtu.be
私は、高島雄哉『小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女1』(角川コミック・エース)を紹介しています。
何をどこまで喋っていいかわからず、ガンダムのあらすじ喋るの下手か!? という感じになってますが、ご容赦ください。SF作家としての高島さんに触れていただくきっかけになれば、と。
https://www.youtube.com/watch?v=y1sD15vc0-0
『2』ということは当然1巻目もあって、5年前に刊行されています。
80~90年代の作品を扱う『2』に対して、こちらはハシェク、チャペックなど日本でも比較的知られている作家から始まって20世紀を駆け抜ける、チェコSFの歴史を概観できる一冊です。
https://www.heibonsha.co.jp/book/b377097.html
月例SFレビュー番組「これって、SF?」、2023年3月号その1です。
私は、ヤロスラフ・オルシャ・jr.+ズデニェク・ランパス編、平野清美編訳『チェコSF短編小説集2 カレル・チャペック賞の作家たち』(平凡社ライブラリー)を紹介しています。
WBCをきっかけにチェコが話題になっていますが、この機会にチェコのSFも読んでみませんか?
https://www.youtube.com/watch?v=qTPeKBu-OlI
〈記憶翻訳者〉シリーズのスピンオフ短編二編を、ブラウザで読める電子書籍として公開します(期間限定)。
いずれも独立した短編ですが、スピンオフですので既刊をお読みいただいたほうが楽しんでいただけるかなと思います。よろしければ是非ご一読ください。
999の機関室を見た瞬間、鉄道・SL好きだった幼児の心に、SFの種が植え付けられました。
地元的にも、絵に触れる機会は多かったです。
ちょうど書庫整理中でバンクスの『ゲーム・プレイヤー』が見つからず、松本絵を目印に一生懸命探していたところでした……。
https://www.amazon.co.jp/dp/4042886019
書評家/おはなしを読む人。 〈SFマガジン〉で国内SF書評連載中。杉江松恋さんのYoutubeチャンネル「ほんとなぞ」で、月例SF書評番組「これって、SF?」に出演中。たまに文庫解説やブックガイド記事なども書きます。日本SF作家クラブ会員。
読み聞かせボランティアとして、地元を中心におはなし会もやってます。