スタッフの顔がわかる写真を拡散するのは憚られるけども、ご覧のように圧倒的な男女差(と二元論にするのもよろしくはないが)があるのが書店現場というものです。このなかで正社員はおそらく2〜3名(いればいいほうで店長だけということも多々ある)。なお、この書店は業界内ではそれなりに名の通っているところ。なぜ書店現場からの業界問題改善の要求が通らないのか、という問いの答えが推測できますよね。「女/非正規の言うことなんか聞かなくていい」ってこと。
https://x.com/mzsm_kuzuhaeki/status/1818641470888485283?s=46&t=chyQfs6W2RfeREPFeTQ2mA
そしてそのような見下し=下請けとみなす行為は、往々にして無自覚になされているし、見下されているほうもそれに気がついていない。あるいは日々の労働をこなすのに精一杯で気がつける余裕がない。このような環境なので、当然、書店現場および出版業界全体が反差別のようなありかたを追求構築維持などできやしない。特に書店現場でどうにかやっている者らは、そもそも自らが搾取される側にいるため、まずかれらが救われる=反差別の実践が自らを救うということを自覚しなければならないが、その壁を突破できないでいる。反差別を訴える=自らの労働環境を搾取であると批判することなど、身の程をわきまえない傲慢な要求だと思わされている。
こういったことを書店員たちのなかで(あるいはSNSで)言うと「心ある出版社社員もいる」などと言われるのだが、これは構造の問題であってあなたの知り合いに心ある者がいるとかどうとかは関係なく、構造そのものをどうにかしなければ搾取する者/される者が生じ続けるだけなのだ、ということが理解されないため、その点でも改善が見込めないでいる。構造自体が問題を抱えている場合、構造内部にいる個々人の性格のよさだとかなんだとかは無効化されるのだから、問題は切り分けて考えなければならないのだけど、搾取構造に慣れきってしまっている(つまり「思いやり」「情緒」で問題を乗り越えてきている)書店員たちは、その切り分けができない。
正社員でもボーナスが出たり昇給したりなどはほとんどない。パートアルバイトならなおさらで、そんなものは経験したことないのが大半だろう。昇給するのは最低賃金が上がったときだけで、どれだけ長く勤めようがスキルを磨こうが仕事をこなそうが賃金は変わらない。高校生の新入りアルバイトと同じ時給で働いている。ちなみに私もこのパターン。
こんな状況にさせておいてなにが「出版業界は文化の担い手」だよすっとこどっこいが、と思うが、出版社の者らは書店現場がこんな状況であることを知らない場合もあり、往々にして驚かれる(がその後なにか改善のための行動をとる者はほぼいない)。