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スタッフの顔がわかる写真を拡散するのは憚られるけども、ご覧のように圧倒的な男女差(と二元論にするのもよろしくはないが)があるのが書店現場というものです。このなかで正社員はおそらく2〜3名(いればいいほうで店長だけということも多々ある)。なお、この書店は業界内ではそれなりに名の通っているところ。なぜ書店現場からの業界問題改善の要求が通らないのか、という問いの答えが推測できますよね。「女/非正規の言うことなんか聞かなくていい」ってこと。

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まず書店現場もしくはチェーン内部で「女/非正規の言うことなんて」が発動し、それを突破しても次は書店-出版社という上下関係のなかで「女/非正規の(もしくは書店の)」が発動するため、搾取構造が維持され続けている。

そしてそのような見下し=下請けとみなす行為は、往々にして無自覚になされているし、見下されているほうもそれに気がついていない。あるいは日々の労働をこなすのに精一杯で気がつける余裕がない。このような環境なので、当然、書店現場および出版業界全体が反差別のようなありかたを追求構築維持などできやしない。特に書店現場でどうにかやっている者らは、そもそも自らが搾取される側にいるため、まずかれらが救われる=反差別の実践が自らを救うということを自覚しなければならないが、その壁を突破できないでいる。反差別を訴える=自らの労働環境を搾取であると批判することなど、身の程をわきまえない傲慢な要求だと思わされている。

正社員でもボーナスが出たり昇給したりなどはほとんどない。パートアルバイトならなおさらで、そんなものは経験したことないのが大半だろう。昇給するのは最低賃金が上がったときだけで、どれだけ長く勤めようがスキルを磨こうが仕事をこなそうが賃金は変わらない。高校生の新入りアルバイトと同じ時給で働いている。ちなみに私もこのパターン。

こんな状況にさせておいてなにが「出版業界は文化の担い手」だよすっとこどっこいが、と思うが、出版社の者らは書店現場がこんな状況であることを知らない場合もあり、往々にして驚かれる(がその後なにか改善のための行動をとる者はほぼいない)。

こういったことを書店員たちのなかで(あるいはSNSで)言うと「心ある出版社社員もいる」などと言われるのだが、これは構造の問題であってあなたの知り合いに心ある者がいるとかどうとかは関係なく、構造そのものをどうにかしなければ搾取する者/される者が生じ続けるだけなのだ、ということが理解されないため、その点でも改善が見込めないでいる。構造自体が問題を抱えている場合、構造内部にいる個々人の性格のよさだとかなんだとかは無効化されるのだから、問題は切り分けて考えなければならないのだけど、搾取構造に慣れきってしまっている(つまり「思いやり」「情緒」で問題を乗り越えてきている)書店員たちは、その切り分けができない。

結局、すべてが「エモ」でなあなあにされ問題を生み出している構造は改善されない。それはこの閉店ツイートに溢れる「お疲れさま」「かなしい」「こんなに素敵な書店が」といったリプや引用にもあらわれている。そして、こういう「構造」は出版業界にかぎらずこの社会のいたるところにあるのだろう。

書店現場は「出版業界の搾取構造によって生じる諸問題を書店員自らの搾取によって解決する」という入れ子構造(?)によって成立しているため、そのやりかた=環境に慣れきった書店員は業界内にある搾取構造を批判することができない(そもそも意識化できない)。まさにどん詰まり。

こういうことを「本の未来を考えよう」みたいな企画で書いたり話したりする機会を与えてもらえない(あいつは面倒なことを言うから関わらないでおこう、となる)のがこの業界なので、私はもう諦めています。いわゆる大きな「業界」というものは早々に潰れておしまいなさい、くらいのことは思っている。もうどんな本屋が閉店しても悲しくない、というか感情がなにも動かない。なぜなら当然の結果だから。

構造の問題をどうにかしようともせずに書店の閉店をただただ嘆き悲しんでいるだけの業界人を見ると、24時間テレビとかで障害者ががんばっているのを見て感動しちゃってる者らを見るときと似たような感情にはなりますけども。そういう感情以外はもはや抱かないですね。

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