小川公代『ゴシックと身体』(松柏社)、長年のゴシック小説研究から小川さんの問題意識の根となった部分が語られていて、非常に刺激的で面白かったです。ゴシック小説を角度を変えて眺めることで露わになる、怪物視される女性たち、家父長制への抵抗、理性と共感、政治性――特にウィリアム・ゴドウィンやメアリ・ウルストンクラフトの作品から、その娘メアリー・シェリーに至るあたりは白眉ですね。断片的な伝承バラッドの再話を、フランケンシュタインの怪物の創造になぞらえるあたりも面白い。
「第4回みんなのつぶやき文学賞」国内篇にて、『奏で手のヌフレツン』が小川哲さんの『君が手にするはずだった黄金について』と同位の第4位となりました。投票してくださったみなさまありがとうございます。
わたしは『服をめぐる』22号に掌編を寄稿しています。KCIの公式サイトでもお読みいただけます。
https://www.kci.or.jp/publication/public-relations-magazine/
KCI(京都服飾文化研究財団)の広報誌「服をめぐる」24号、「一人一品」が歌人の大森静佳さんで、選ばれた三点の収蔵品と短歌によるイメージの膨らみがすばらしいです。
1810年頃の乗馬服に添えられた歌がすごい…
〝青空の底を駆ければいれかわる馬の瞼とわたしのまぶた〟――
とりしまです。Dempow Torishima 絵と小説をかきます。最新刊は長編『奏で手のヌフレツン』。著書に『皆勤の徒』(英訳版、仏訳版も)『宿借りの星』『オクトローグ』『るん(笑)』、高山羽根子さんと倉田タカシさんとの共著『旅書簡集ゆきあってしあさって』。SFマガジンで「幻視百景」連載中。