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ケヴィン・ウィルソン著 芹澤恵訳『地球の中心までトンネルを掘る』(東京創元社)の文庫版を頂きました。世間に馴染めない人々の切実さが胸に迫る奇想短編が多くて、すばらしいんですよ。単行本にあった倉本さおりさんの解説に加えて、津村記久子さんの特別エッセイも収録。8月21日頃発売。

――依頼に応じて様々な家で祖母を演じる仕事、亡き姉について断章で語るハンドブック、人体発火で両親を亡くした若者がスクラブル工場でアルファベットのコマを拾い集める話、祈りの折り鶴が引き起こす一族の醜悪な相続争い、世間に背を向けてトンネルを掘りだした三人の若者、歯がぎっしり生え揃った赤ん坊、銃で本物の弾丸を頭に撃ち込むショー、よじれつつも親密さを増す関係を描く短編の数々も胸に残ります。若者の心の動きをどうしてこうも捉えられるのか――。

短編のモチーフをちりばめた素敵なカバーイラストは市村譲さん、カバーデザインは中村聡さん。

おすすめ本がみっしり書かれた、かわいいおばけポストカードをいただいた。

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久々にtoi booksさんにお邪魔した。『チェヴェングール』を買いました。

帯も見返しもゴールデンな、ジム・トンプスン著 森田義信訳『ゴールデン・ギズモ』(文遊社 装幀 黒洲零)、解説を担当しています。8月末頃刊行。
金の買付人がしゃべる犬のいる家を訪れたところから、なにもかもがおかしくなっていく――正にジム・トンプスンという読み味で最高でした。

大勢の証言を並べてどういう作品だったのか、どういう存在だったのか、などを色んな方向から炙り出していく系の本って好きなんですよね。『エド・ウッド』とか。

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買いそびれていた『マッドマックス 怒りのデス・ロード 口述記録集』を読んでいるのですが、むちゃくちゃ面白い……。

澤田直『フェルナンド・ペソア伝 異名者たちの迷路』(集英社)を入手。

『紙魚の手帖Vol.12』は、『Genesis』が合流した「夏のSF特集」――第14回創元SF短編賞の受賞作や、注目作家たちのSF短編、倉田タカシさんのインタビューなど。当方は円城塔さんの短編「ローラのオリジナル」の扉絵を担当しています。8月12日頃発売。

川野芽生さんの新作『奇病庭園』(文藝春秋 8月4日頃発売)をお送りいただき、さっそく堪能。種々雑多に体の変容する奇病が広がる世界をモザイク状に描く幻想長編小説で、濃密な幻想と物語の迂遠な繋がり具合がたまらなかったです。

有角老女の頭を抱えて逃げ続ける写字生、それを追い続けるたち、鰭や鱗が生じて海を目指す砂漠の民、植物を操るサーカス団、翼が生えて文字通り赤子を産み落とす妊婦、食べたものが体内で真珠化する者、蜘蛛となった踊り子たち、牢獄の中で繭に包まれる者たち、謎の連続殺人事件――

濱田美枝子『女人短歌』(書肆侃侃房)を読んでいるのですが、すごくよい本ですね。第二次大戦中の歌人たちそれぞれの戦争との向き合い方から始まり、戦後の男性中心の歌壇で添え物扱いしかされなかった女性歌人たちが結束して作った『女人短歌』の48年の歴史を追う労作。

皆川博子さんから『天涯図書館』(講談社)をお送りいただき、感激しています…。『辺境図書館』『彗星図書館』に続く、皆川さんが永遠に残したい本のブックガイド。今回も装画は伊豫田晃一さん、装幀は柳川貴代さんですばらしい。7月27日頃刊行。

冒頭が『方形の円』の紹介で、わたしの解説を引用頂いているのでした。ちなみに『方形の円』は文庫版が9月に出るようですよ。

金原瑞人・三辺律子 編『BOOKMARK2』(CCCメディアハウス 装画オザワミカ 装幀川名潤)をお送りいただきました。フリーブックレット『BOOKMARK』の13号〜20号+特集号が纏められ、グラフィックノベル、短編、ノンフィクション、本についての本、英語圏以外の本、分厚い本、戦争を考える、詩の本――と多岐に亘る特集で169冊の本が紹介されています。私はタブッキを取り上げました。8月1日発売。

大濱普美子『猫の木のある庭』(河出文庫)いやー…すばらしかったです。古い家、異国のアパートメント、銭湯とその二階の部屋、アトリエのある家、など細密画のごとく丹念に描かれる空間性と、人とのさりげないやり取りの積み重ねから立ち現れる幻想――

「フラオ・ローゼンバウムの靴」のふくふくと増していく肉の描写、「浴室稀譚」の部屋とつながる銭湯の構造や人気のない湯船、「たけこのぞう」の気風よく潔い画家の母親、など書ききれないほど印象に残る。独特な比喩の数々も楽しく、付箋がすごいことに。

ゲラがひとつ終わったので、百々似でディスプレイを拭いています。

石黒亜矢子さんの絵の一筆箋すてきだな…。

小田雅久仁さんの新刊『禍』(新潮社)をお送りいただきました。装丁にも禍々しさが凝集している……。すさまじい短編集です。
QT: fedibird.com/@dempow/110364815
[参照]

酉島伝法  
小田雅久仁さんの『禍』(新潮社)、一足早くプルーフで読ませていただいたのですが、むちゃくちゃ面白かった。とんでもない奇想の数々に呑まれてどこまでいくんだと気が遠くなりつつ読むのが止まらない作品集。7月12日頃発売だそうです。 冒頭の「食書」は、本の頁を食べるなりその内容を現実として体感する話で...
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