ケヴィン・ウィルソン著 芹澤恵訳『地球の中心までトンネルを掘る』(東京創元社)の文庫版を頂きました。世間に馴染めない人々の切実さが胸に迫る奇想短編が多くて、すばらしいんですよ。単行本にあった倉本さおりさんの解説に加えて、津村記久子さんの特別エッセイも収録。8月21日頃発売。
――依頼に応じて様々な家で祖母を演じる仕事、亡き姉について断章で語るハンドブック、人体発火で両親を亡くした若者がスクラブル工場でアルファベットのコマを拾い集める話、祈りの折り鶴が引き起こす一族の醜悪な相続争い、世間に背を向けてトンネルを掘りだした三人の若者、歯がぎっしり生え揃った赤ん坊、銃で本物の弾丸を頭に撃ち込むショー、よじれつつも親密さを増す関係を描く短編の数々も胸に残ります。若者の心の動きをどうしてこうも捉えられるのか――。
短編のモチーフをちりばめた素敵なカバーイラストは市村譲さん、カバーデザインは中村聡さん。