ハン・ガン 「ギリシャ語の時間」読了。(結末に触れます)
意図せずとも暴力性孕む言葉に耐え切れず声を喪失した女性と、親しい人たちとの過去の悔恨と失われつつある視力に未だ戸惑う男性がギリシャ語を介し分かち合えぬ孤独と共に交差する。
男性は記憶の中の忘られぬ青を基調にビビッドな色彩がいまはもう見ること叶わぬこと儚むがごとくリリカルに一人称で書かれるのに対し、女性は凛とした清冽さ醸し出す三人称で書かれ、緩慢なる拒絶を基本とし、言葉発せた頃には墨の濃淡溶けだしたかのような思考滲むが、現在は閉じられた言葉が思考をも阻害し身振り手振りで感情心情推し量るしかない…。
後半、二人はあることきっかけに急速に近づいていき、暗闇に照明が当たる舞台劇のような場面で堰を切ったように男性は過去の出来事吐き出し解放されるも、女性は言葉に耐えるのみで、どこまでもすれ違うディスコミュニケーション。
それでもわずかに生まれたつながりは埋まらぬ溝を止揚し、詩のような文章の羅列のなか、光も差さぬ暗い海底に封じ込められていたがごとく亀裂が入った言葉が地上めがけて浮上し迸る、かぼそい明かりが見える先の開けたラストだと信じたい。
かなり難解でしたが素晴らしい作品でした。今年のベスト本の一作になります。
ソローキンの「吹雪」に続く三部作の二作目、「ドクトル・ガーリン」を翻訳中と翻訳者の松下隆志さんが投稿!!!
https://x.com/TakashiM2/status/1855966195675177095
昨年出版された三作目の「遺産」はすぐ発禁になり、Freedom Lettersという亡命出版社から出版されていて、ロシア政府によって禁じられた21世紀最初の大きな長編とのこと。
https://x.com/TakashiM2/status/1855438249445187949
三作目を無事出版するためにも、二作目の「ドクトル・ガーリン」発売したらぜひ購入をと松下さんが投稿されているので、皆様是非どうぞ!!!
すみません、フェイクニュースだったようです…。韓国の岩波にあたる出版社のニセアカウントで、イエロージャーナリズムのようなゴシップニュース流すアカウントだそうで、他の媒体は取り上げていないのに、つられて反応したのは軽率でした…。反省します…。
今日はベースの日なので、いちばん好きなベーシストの青木智仁さんのベストワークスの一作を紹介。
DIMENSION結成前の増崎さんのソロアルバムなのだけど、実はDIMENSIONのトーンより好き。
もちろん青木さんのスラップもえぐくて最高!!!
https://www.youtube.com/watch?v=m0rMTnahIeA&ab_channel=TerminalPassage
ドムドムハンバーガーのタイトーくじで当たる商品、どれも欲しいけど、丸ごと!!カニバーガーぬいぐるみが欲しすぎる!!!
でもラス1のくじでしか当たらないとか当たる気がしない…。
聴きながらこの短編を読んでいた。N・K・ジェミシンが「オメラスから歩み去る人々」へのアンサーとして書いた作品。こちらもいろいろ考えさせられる…。
https://www.lightspeedmagazine.com/fiction/the-ones-who-stay-and-fight/
FMおだわらのファムラジオの【秋の夜長に聴きたい 谷山浩子ソング特集】聴いてます。
全国無料でネットから聴けるのでぜひ興味のある方はどうぞ。
パソコンそのまま聴けますが、アプリはRadimo(レディモ)をインストールしてください。
ロシア文学翻訳者の奈倉有里さんが語る2002年から2008年までロシアで過ごした戦争に至るまでの状況、そして語学学習のコツの記事。
当時の戦争に向かうロシアの状況は読んでいて辛いものがあるけど、語学学習のコツはうなずけるものばかりで参考になる。
ぜひ読んでみてください。
https://digital.asahi.com/articles/ASSC10TD8SC1UTIL017M.html?ptoken=01JC9SFPZE5JV4850SCEAWWMF5
弁護士の太田啓子さんからのプレゼント記事になります。
マストドン人は編み物やってる方が多い印象なので、ぴったりの本が岩波書店から12/9に出ることをお知らせ。
激烈不器用だから編み物はできないけど面白そう!
柚木麻子さん、オレンジページにもweb連載あったんだ。
小林カツ代さんを語るエッセイ、お二方とも魅力的なのでとても良いね。最後に小林カツ代さんのレシピが紹介されてるけど、どれもてらいなくシンプルにおうちで作れる料理ばかりなのも良い。
柚木麻子「BUTTER」読了。(元ネタのネタバレあり)
週刊誌女性記者が獄中の女性の独占手記を得ようと何度も面会し指示に従ううち、バターをとっかかりに食の悦び見出し、彼女の周りで不審死遂げた男たちと同じく心の隙間にすっと入り込まれ思考も行動も従属させられていき罪状さえ疑うようになり、恋人や友人ともぎくしゃくするも周りの忠告支えで理性を取り戻す。改めて対峙したものの彼女の方が一枚上手で計り知れぬ衝撃を公私ともに受けながらも、築いてきた人間関係の助けもあり、石にかじりついてでも簡単にはへこたれない強さ得るまで成長し前向きなラストまで突っ走る、料理×世間体から外れた者への矛盾と弱さ鋭く突いた社会派小説の、タイトル通りバター満載で胸焼けするほど読み応えがある読書体験でした!
木嶋佳苗事件モデルにしただけあり理解されない問題の孤独に付け込まれ理解者のように振る舞われねっとり搦めとられ操られていく過程が読者も違和感なく受け入れられてしまいそうなほどでリアルすぎて怖い…。
どれも出てくる料理美味しそうなのだけど食欲は性とも不可分に結びつき彼女にまとわりつく不可解な魅力が毒のように全身に回ってがんじがらめになった気分になり次第に料理の描写に嫌悪感しか感じなくなってしまった…。
ここではない場所で時折荒ぶる投稿消し常習のリム推奨アカ。主に海外ミステリを読む、ファンタジー熱再燃中な読書好きだけど、絶賛読書停滞中。DVDだけですが、たまに映画も観ます。die ärzteが大好きです!(来日公演熱望!)猫好き、ドイツ好き、Suede、David Bowieのニワカのファンでも有り。茶色の朝になる前に