松樹凛「ぼくらが夕闇を埋めた場所」(小説推理 2025年1月号)読みました。も、萌え……。
ここから冒頭部分が読める!(今後少しずつ載るのかな?)
https://colorful.futabanet.jp/list/series/novels/novel-85
松樹凛「ぼくらが夕闇を埋めた場所」(小説推理 2025年1月号)読みました。も、萌え……。
ある表面が光で照らされる/光が当たることによってその表面がよく見えるようになる/染められて色彩が変化する、という描写が複数回現れるのが印象的でよかったです。まさにそれが、しかも複数回起こる登場人物がいて、そしてラストの「夕焼け」もまた……という。しかし勿論タイトルは「夕闇」なんですよね。なぜならばそれが東君の罪だから……。光と影のモチーフでいうと、当然「影たちのいたところ」も思い出しますね。
よかったね。
おまけの感想→飼い犬(ペロ!)のおしっこを水風船で回収するのは結構大変だと思う!
そう言いながら自分もlit.linkを貼っていなかったので貼りました。
QT: https://fedibird.com/@abe_dragonslay/113586838551361532 [参照]
『香港警察東京分室』を第一章まで読んだので、POVの技法について考えました。
本作は複数の三人称限定視点による、いわばクロスカッティングの技法で描かれています。ほぼ全てのカット――ここでは「空白行と視点人物変更により区分された場面単位」のことです――で、基本は一行以内に、遅くとも三行以内にそのカットの視点人物を明示するというのを徹底していますね。例外は片手の指に収まる程度で、視点確定までにページを跨いだのはおそらく一箇所、そもそもの「分室」の設定説明のパートのみだと思います。また、視点確定までが長めになるカットはたいてい、新しく移った舞台を描写するときで、いわばロングショットの効果をもたらしていますね。あとはアクション展開に入ったあと、視点確定がなされないことで不安感を煽る、という使い方が一箇所あったでしょうか。以上の技法によって、本作はクロスカッティングによる緊迫感と高いリーダビリティを両立させているといえるでしょう。
このめちゃウマ小説は『香港警察東京分室』です。いま「それはそう」って言いましたか?
QT: https://fedibird.com/@abe_dragonslay/113582996489690901 [参照]
作家(阿部登龍)。第14回創元SF短編賞受賞作「竜と沈黙する銀河」(紙魚の手帖vol.12)、「狼を装う」(同vol.18)。SFとファンタジーと百合とドラゴンとメギド72が好き。
お仕事のご依頼は東京創元社までどうぞ。