SFセミナーの翻訳家パネルでも話題のあった翻訳訳語辞典って、もとは山岡洋一が作成したものだったんですね。ためしにafter allで検索したら「畢竟」と訳している用例が出るとか、なかなか面白いです。https://www.dictjuggler.net/
2021年の記事ですが、老舗Penguinに掲載された、英語圏の文芸系おすすめPodcastをまとめた記事。
https://www.penguin.co.uk/articles/2021/01/the-best-literary-podcasts-for-book-lovers
海老島均一・山下理恵子編『アイルランドを知るための70章 【第3版】』(明石書店、2019)。アイルランド語で創作するヌーラ・ニゴーノルは『ファラオの娘』しか読んでいなかったのだけど、アイルランド詩の状況を概説する池田寛子「もう一つの世界へのまなざし」を読んで、もう少しこの女性詩人について深く知りたいと思うようになった。アイルランド語を理解する国民が数少ないなか、キアラン・カーソンら英語詩人がニゴーノルを「直訳を離れた個性的な訳」で訳し評判を呼んだという記述があるのは興味深い(『ファラオの娘』の場合は、大野光子の訳を高橋睦郎と佐々木幹郎がブラッシュアップしたとあとがきにあるのを想起しても、なおさら)。ポーランドとアイルランドでは国民のあいだで詩が大きな位置を占めている、とはまたべつの野心あふれるわが国の詩人・四元康祐の見立てだが、2018年にニゴーノルはポーランドの国際文学賞を受賞したとも池田寛子の文章にはある。
大学生になってやっと本格的に海外小説を読むようになって、2年生になると中央線の書店や古書店にも足繁く通いはじめた。ひと恋しい性格のわりには、そんなときはだいたいひとり行動だったと思う。中野のタコシェにはもう消滅していたペヨトル工房の本のデッドストックがまだあって、近未来的な装幀に魅せられた。バロウズの『ノヴァ急報』も、バラードの『クラッシュ』(これは図書館で借りた本)もひと目でミルキィさんの装幀だとわかる。『クラッシュ』、92年に出た本に思えないようなデザインだよなあ、と当時の自分は感じて、そう感じたことをきょう、ちょうどいまも憶えている。
「アイデア」のような雑誌のブックデザイナーを特集する号を読むと、ミルキィさんの仕事がまとめて紹介されていて、この本もあの本もか、と発見がやってくる。近年購入した、山尾悠子さんを特集する「夜想」、エッセイ集『迷宮遊覧飛行』に至るまで手がけていることについては、なんだか幻想小説以上の不思議さを感じずにはいられない。(おわり)
気づいてみると、人生のながい時間をともにしているのがデザイナーのミルキィ・イソベさん。小学校の頃に遊んでいた初代ポケモンカードのデザインを手がけていたのがこの方だった。おもちゃやゲームとタイアップしていた「コロコロコミック」がポケモンカード発売間近の号で「デザインはミルキィ・イソベさん」とわざわざ紹介していて、そのカタカナ表記がなぜか印象的だった。とある数奇な理由でポケモンカードを高校まで遊んでいた事情はここでは省略するが(兄から管理人をバトンタッチされ、生まれてはじめて運営したhtmlのウェブサイトはポケモンカードについてのサイトだった!)、ミルキィさんのデザインしたカードを友達の家で、カードゲーム対戦も許される池袋の専門店で何千回とシャッフルしたじじつがあるのはまちがいない。(つづく)
@Kanata フォローありがとうございます。本全体の感想はまとめられていないのですが、『結晶するプリズム』も楽しく読ませてもらっています。どうぞよろしくお願いいたします。
本好き、旅行好き。 海外詩/翻訳文化論/日本文学普及/社会言語学etc.文章のアップはSNSよりも主にブログのほうで行っています。よろしくお願いします。https://air-tale.hateblo.jp/