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「ミッチェルはレンスキを、非一貫性と従属変数の間に介在すると思われる諸変数よりもむしろ地位の非一貫性に集中しているとして批判した。特に彼は、支配と従属の関係における逆転に言及するために『地位の不一致(incongruence)』という用語を保持した。非一貫性と不一致の区別はかなりストレートなものだ。不一致とは、(個人ないし集団)A がある状況では B に勝っているが、また別な状況ではそうではないということを言う形を取る関係的な現象である。他方で非一貫性は、不一致とは異なる配分的な現象である。それは、ある単一の個人ないし集団の非一貫性を語るのに、第2の個人ないし集団に明示的に言及しなくてもよく、ただ単に一連の軸上での位置を特定するだけでよいという点で、異なるのである。ミッチェルの提案は、不一致が社会的相互作用の観察可能な現象であって、非一貫性という離れた構造的条件よりも研究する価値があるというものである」pp.324-5.

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〈Abstract〉
「著者は、当ジャーナルで公刊した分析(Hope, 1971)において用いた技術的手続きの概念的示唆を引き出す。彼は地位の非一貫性理論の初期の言明(Lenski, 1954; 1956)を、その一貫性に関する攻撃に対して擁護し、その理論(および移動効果の同等理論)を正しく表現するモデルを与え、それを検定することに慣れているかもしれない。彼は、『ダイアモンド』モデルとは対照的に、通常の『平方加算(square-additive)』モデルが、地位の非一貫性や移動効果ーーそれらが加算的に定義されようと双方向的に定義されようとーーを検定できないことを示す。『デザイン・マトリクス回帰分析』という技術が、モデルの構造とそれらをデータに適合させる以前の示唆を把握するために、モデル間の関係を店探求する手段として導入される。平方加算モデルはその概念的曖昧さが批判されるが、モデルの主なポジティブな特徴を包摂する理論的ポジションが提案され、それは非一貫性理論に対する価値あるライバルを構成する」p.322.

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Hope, Keith. (1975) “Models of Status Inconsistency and Social Mobility Effects,” American Sociological Review, Vol. 40, No. 3, pp.322-43.

「多くの応用社会学者たちは、目立つ地位情報が付加されると、低い帰属地位、例えば女性、黒人、ティーンエイジャーその他を持つ人々が直面している相互作用上の不利が克服され得るというアイデアを用いてきた。彼らは典型的には、低い帰属ポジションに含まれる拡散的な地位情報と<一貫しない>特殊な地位情報を導入してきた…拡散的な地位の効果を消し去ることは極端に難しいけれども、特殊な地位情報を社会状況へと導入するのは比較的たやすい。我々の結果は、非一貫的な情報が状況における全体的な地位情報のより小さい群である時でさえも、非一貫的な地位情報を導入することが地位の不平等を減少させる上でとりわけ効果的になり得る、という議論に支持を与えている」p.851.

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〈DISCUSSION〉
「社会学者たちはほぼ50年の間、地位の非一貫性に関心を寄せてきた…マックス・ヴェーバーの有名な、社会階層の3次元としての階級・地位・政党(すなわち、富・社会的名誉・政治的影響力)の分析にはまさしく、地位の非一貫性への暗黙の関心を見つけることができる…我々が調べてきた疑問は次のようなものだ。課題志向的な集団の中で対面で働いている諸個人は、いかにして地位の非一貫性を解決するのか?」p.850.

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<組織化下位群結合>…
「この仮説によれば、『ポジティブ』だろうと『ネガティブ』だろうと<いかなる>目立つか関連性のある情報も、最終処理が起きる前には根絶されたり取り消されたり、さもなくば単純化されることは<ない>。かくしてこの原理は、目立つか関連性のある地位情報のいかなる『事前処理』も起こらない点で、他の原理とは異なるのである。フォーマルには、

 ep−eo=2{[1−f(B)]^m2−[1−f(B)]^m2}  (7)

この第4の仮説は、m1とm2双方の現実の大きさを採用し、そして取り消し仮説と同様に、それらの間の差が 0 に近づくにつれていかなる不連続性も引き起こさない」p.847.

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<取り消し>
「取り消し仮説の本質的アイデアは、同等に密接に結びついた『ポジティブ』および『ネガティブ』な情報が、可能なかぎり互いに打ち消し合い、残った情報が累積パフォーマンス期待を作り出すというものだ。行為者の累積パフォーマンス期待は、より大きな下位群、すなわち取り消しの後に残されたいくつかの単位を有する群の<サイン>を持つ。…

 ep−eo=2{1−[1−f(B)]^m1-m2} m1>m2のとき
    =−2{1−[1−f(B)]^m2-m1} m1<m2のとき
    =0  m1=m2のとき  (6)

この取り消し原理は、賛否がリスト化されて可能な場合に相殺される最も単純な種類の費用・便益分析に大まかには相当する」p.847.

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<多数派均衡化>
「多数派均衡化仮説の主旨は、人々が情報のより小さい下位群を、それが自身の自己イメージにポジティブであれネガティブであれ無視することによって、地位の非一貫性を根絶するというものだ。行為者の累積パフォーマンス期待は、より大きい下位群における経路の結合強度と大きさが等しく、その下位群の(ポジティブないしネガティブな)サインを有する。レンスキの均衡化仮説とは異なり、多数派均衡化は、地位情報の(自己中心的処理に対する)部分的な処理を想定する。

 ep−eo=2{1−[1−f(B)]^m1} m1>m2 のとき
    =−2{1−[1−f(B)]^m2} m1<m2 のとき
    =0 m1=m2 のとき  (5)」p.847.

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〈4つの原理のフォーマライゼーション〉…
<レンスキ均衡化>
「レンスキの均衡化仮説の本質的なアイデアは、人々が望ましい自己アイデンティティを維持するように動機づけられ、そのために、それに基づけば彼ら自身が不利になるであろう地位比較を無視するようになるというものだ。ある社会状況における目立つ地位性質が行為者を、長さ β の M 経路によって課題結果に結びつけるとしよう。これらの経路のうちの m1 が p を課題成功に、また m2=M−m1 経路が p を課題失敗に、結びつけるとしよう。レンスキの均衡化原理と式(1)をつなげると、p の視点からの ep と eo の表現が得られる。

 ep=1−[1−f(B)]^m1

 eo=−{1−[1−f(B)]^m1}

p にとっての失敗を選好する m2 経路がこれらの式に表されていないのは、この仮説が、焦点となる行為者がそれらを割り引くと主張しているからである。この例では eo=−ep であり、それは p の<期待優位性>が 2e に等しいことを示唆している。…レンスキ均衡化仮説の我々のフォーマライゼーションを再度述べると…

 ep−eo=2{1−[1−f(B)]^m1}  (4)」pp.846-7.

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「地位性質理論から導かれるモデルは非常にシンプルな形を取り、統計的分布の仮定と結びつければ、ロジスティック回帰モデルに相当する。…

 P(S)=exp[m+q(ep−eo)]/1+exp[m+q(ep−eo)] (3)

この等式において、P(S) は焦点となる行為者 p が『残留反応(stay-response)』をする確率を示す」p.846.

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「本質的なアイデアは、問題となっている集団のいかなるメンバーに対する行為者の累積パフォーマンス期待も変化するので、<行為者の行動アウトプットにおける変化が、彼または彼女の現在の行動アウトプットに比例する>というものである。この陳述においては、『行動アウトプット』とは、より扱いにくい表現である『統計的意味における、単一の時間単位でのある与えられた種類の権力と名声行動の予測される量』の縮小表現である。一連の偏導関数として数学的に表し、初期条件と結合すると、これは次のようになる。

 Bx(t)=μx t exp(q' e)  (2)

この表現において、下付き文字x は問題となっている<行動の種類>を表し、Bx(t) は焦点となる行為者の、長さ t の時間インターバルにおけるその行動の予測される生産を表し、μx は単一の時間単位に対する行為者の行動アウトプットを表し…q' は比例定数ベクトルの転置行列であり、e は問題となっている集団のメンバーに対する累積パフォーマンス期待のベクトルである」pp.845-6.

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「いろいろな長さを持つ n 経路の結合強度を、単一基準の長さ β(例えば、4)を含むような同等のやり方で表現するのは便利である。…<あらゆる>長さLの経路に対して、(1ライン長い)長さL+1の経路がいくつか存在する。バーガーら…は、この経路数を k と呼び、それは<3>と見積もられる…このアイデアによれば、長さ3の経路は長さ4の<3つの>経路と同じ強度を持ち、長さ4の経路は長さ5の<3つの>経路と同じ強度を持つ、等々。そこから論理的には、長さ3の経路は長さ5の<9つの>経路と同じ強度を持つ、ということになる。…
 状況の参加者による定義を構成する一連の経路に基づいて、<累積パフォーマンス期待>が互いのために形成される。典型的には、これらはeρとeoで示され、ρは焦点因子、oは『その他』である。…この表記を用いると、ρのoに対する<期待優位性>はeρ-eoと定義される。この量は通常、ある種の権力や名声行動のρの(oに対する相対)比を予測するモデルにおいて、主要な独立変数である」p.845.

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「4つの地位処理原理の各々は、経路が結合されることを仮定している。そうした結合が適切な時には、その長さが L1, L2,…,Ln であるような n 経路の<結合強度>は、次のようになる。

<結合強度>=1−[1−f(L1)][1−f(L2)]…[1−f(Ln)]  (1)

n 経路の結合強度もまた、0と1の間に収まるだろう」p.845.

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「地位性質理論の最も最近の主要な修正は…これらの過程を、行為者を課題結果に結びつける<関連性の経路>の用語で描く。この修正は、グラフの数学理論を採用する。…経路の長さは、経路を作り上げる『ライン』ないしリンクの数として定義される。2つかそれ以上の<異なるサイン>の経路がある状況はまさしく、かつての研究が<地位の非一貫性>により意味していたものである。…
 このグラフ理論図式においては、ある性質に具現化された地位情報の課題関連性は、それがその一部である経路の長さに、すなわち、構成ラインの経路数に相当する。…このアイデアを捉えるために、この理論は、強さf(L)を長さLの経路に割り当てる。そのような強さの値(課題関連性の度合)は、0と1の間をとるように制限され、厳密に長さの減少関数である」p.845.

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<4つの仮説を評価するための枠組>…
「地位の非一貫性を調べる際の1つの潜在的なジレンマは、割り引かれてきた<目立つ>(あるいは活性化された)性質と、研究対象の集団メンバーにとって決して目立たなかった性質を区別するのが難しいかもしれないことである。地位の性質理論に従って我々は、集団メンバーの間で区別されるあらゆる帰属ないし達成地位や明示的な能力が目立つものであると想定する。…
 それらの目立つ性質は何であれ、課題の成功や失敗と結びついていると想定される。目立つが当初は課題に結びつかない地位の性質は、この理論が<立証負荷過程>と呼ぶものを通じて結び付けられるか、あるいは関連のあるものになるだろう。目立つ区別された地位情報があれば、行為者はあたかも、立証負荷が課題に関連<しない>性質に関わっているかのように振る舞うだろう。それゆえ、目立つ性質の適用不可能性が示されるか正当化されないかぎり、性質はその状況で作動すると予想される」pp.844-5.

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「1966年にレンスキは、地位の非一貫性が起きる時には人々は、自らが高くランクづけられる特徴に照準して、低くランクづけられる特徴は割り引く傾向があると提唱した。我々はこれを、<レンスキの均衡化仮説>と呼ぶ。
 別の仮説は、人々が、内部に一貫性が存在する特徴の中の最も大きいサブセットに照準し、残りを割り引き、それにより非一貫性を廃絶するのだと主張する…第1の仮説とは異なり、この<多数派均衡化>仮説では、集団のメンバーが状況の比較可能な定義を形成し、おそらくそれによって効果的な相互作用に向かいやすいとされる。
 第3の仮説は<取り消し>原理を置き、それによって各々の行為者に関する『ネガティブ』な情報が『ポジティブ』な情報から差し引かれる。そして残ったものが、問題の人物に対するパフォーマンス期待を決定する…
 第4の仮説は、場合によっては異なる予測を導くより複雑なアイデアに基づいている。この第4の仮説によれば、各々の行為者についての『ポジティブ』および『ネガティブ』な情報は、別々の同じ価値を持つサブセットに仕分けされる。各サブセット内では、効果逓減の原理が作動する…この仮説は<組織化サブセット結合>の原理と名づけられ、小さな特徴理論の一部である」p.843-4.

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〈Abstract〉
「ある課題にともに取り組んでいる人々は、互いの帰属地位および達成地位の属性や、彼らを識別するその他の特徴に関心を向ける。これらの特徴をもとに人々は、目前の課題に関して自分自身および互いのパフォーマンス期待を形成する。これらの特徴の評価された状態が一貫している時には、この過程の広いアウトラインは直線的である。これらの状態が一貫的していない時には、人々が地位の非一貫性を解決する原理が問題になる。我々の結果は、原理のうちの3つと明らかに一貫していないが、バーガー、フィセック、ノーマン、ゼルティッチ(1977)が元々説明していた原理を結合する組織化サブセットとは一貫している。これらの結果が決定的であることは、社会的情報過程についてのいくつかの長期にわたる疑問が見直されることを示唆する。一般化された組織化サブセット原理は、地位特徴理論の範囲を、新たな種類の社会的設定や付加的な種類の個人属性へと拡張する」p.843.

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Berger, Joseph, Robert Z. Norman, James W. Balkwell and Roy F. Smith. (1992) “Status Inconsistency in Task Situations: A Test of Four Status Processing Principles,” American Sociological Review, Vol.57, No.6, pp.843-55.

〈Abstract〉
「極右主義が地位の非一貫性へのあり得る政治的反応である、という仮説が検証される。独立変数ーー地位の非一貫性ーーは、回答者の所得・職業・学歴により測定される。極右主義という従属変数は、右翼グループやそのスポークスマンが表現する政治的・経済的・社会的関心に関連する一連の態度アイテムにより測定される。エラボレーションで、これら2変数の関係は強化される。帰無仮説検定ではp=0.06の統計的有意が得られ、非一貫的な地位と政治的極右主義の間に関係があるという結論に至る」p.86.

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Rush, Gary B.(1967) “Status Consistency and Right-Wing Extremism,” American Sociological Review, Vol.32, No.1, pp.86-92.

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