〈Abstract〉
「極右主義が地位の非一貫性へのあり得る政治的反応である、という仮説が検証される。独立変数ーー地位の非一貫性ーーは、回答者の所得・職業・学歴により測定される。極右主義という従属変数は、右翼グループやそのスポークスマンが表現する政治的・経済的・社会的関心に関連する一連の態度アイテムにより測定される。エラボレーションで、これら2変数の関係は強化される。帰無仮説検定ではp=0.06の統計的有意が得られ、非一貫的な地位と政治的極右主義の間に関係があるという結論に至る」p.86.
「上昇移動、変化への欲望の表現、現状改革主義(activism)そして政治的リベラリズムが、地位の一環しない人々の一部にに関する状況を再構築しようとするそのような試みから生まれる社会的表現であることが示されてきた。政治的極端主義に関して、著者[ラッシュ]は以前の論文で、米国の二大政党制が、現存の政治的枠組の内部での極端主義の表現の制度化されたチャンネルの発達を妨げており、極右の戦闘的で千年至福説的な側面が、米国政治システムにおけるこの要素が晒されている『正当性の危機』を反映していると、論じてきた。本論文では、極右が、『集産主義』により特徴づけられる社会における『個人主義』の現状改革的な政治哲学を与えていることが示唆される。現状改革主義はまた、地位の非一貫性への第一の反応であるように思われる。…地位の非一貫性に苦しむ人たちは、社会的に『引き離されている』にもかかわらず、特に政治的イシューが関わっているところでは、『現状改革的』であるようだ」p.87.
「リプセットとベンディクスは、階級の不一致が集団や個人を極端な見方を受け入れるように仕向けるように思われることを観察した。リプセットは別のところで、5つの全国的な右翼運動(マッカーシズム、プジャード主義、イタリアン・ファシズム、ドイツとオーストリアのナチズム)が主として、都市・農村の自営ミドルクラスにアピールしていると記した。リプセットは、これらの階級の人たちが、より大きなコミニティ内でのその地位と影響力が衰退していて、現代社会の主要なトレンドから切り離されていると感じる傾向があると観察している。この観察は、非結晶化した地位の帰結としての社会的孤立に関する観察と完全に一致している」p.87.