『Dream scenario』飛行機の機内プログラムで観た
平凡な見た目の冴えない大学教授ポール・マシューズ(ニコラス・ケイジ)が突然不特定多数の人の夢に出てくる、しかも特に何をするわけでもなく夢の中の出来事を傍観しているという現象が起こり、ポールは一躍時の人に、学生や娘からちやほやされるだけでなく長年の夢だった本の出版にも手が届きそうになったところで事態は一変する。
クリストファー・ボルグリ監督の前作『シック・オブ・マイセルフ』と同様にSNS社会だったりキャンセルカルチャーだったりを皮肉っているんだけれども、事が起きるのが夢の中というのもあって若干抽象的というか寓話として色々な解釈ができるようになっていますね。
主人公のポールは基本的に物腰も柔らかく穏やかだし、その地位に見合う知性もあるけれど、本を出したいと言ってるのに研究したり執筆したりする素振りはなく(『シック・オブ〜』の主人公と似たワナビ感)、都合の悪い事をしょぼい嘘で誤魔化したりといった絶妙なセコさも持ち合わせています。
ニコラス・ケイジが演じるそのような人物が浮かれと冷静を反復横跳びしている十分魅力的なんですが、中盤の展開以降で徐々に人格が変容していく様子が本領発揮という感じでした。
『関心領域』先行上映で見た。
第二次大戦中のとある家族の生活を描いた映画で、どのような家族なのかは徐々に分かるようになっているんだけど自分は見る前から知ってしまっていて、知る前に一度見たかったですね…。
聞こえてくる環境音だったり、立ち上る煙だったり、後景に置かれているものがものすごく意味を持っているので、中心に写されている家族の暮らしではなくその背景に意識を向け続けなければいけなくて、その体験は今までにないものだったのでそれはすごく良かった。
ただ、映像の処理の仕方や音楽の使い方で時折挟み込まれるジョナサン・グレイザーみが個人的にはちょっとノイズに感じて、もう少しシンプルな仕上がりで見たかった。
『ARGYLLE アーガイル』個人的にはマシュー・ヴォーンの映画もう見なくても良いかな…ってなるくらいおもしろくなかった。
バカバカしいスパイ小説よりもバカバカしい現実をやるぞというのはいいんだけど、そのバカバカしさの局地になる終盤の2つのアクションシーンの映像が全然良くなくて、というよりもVFXがひどすぎて全く乗れず。「最近のアクションシーンはダンスの振付みたいだ」という声を鼻で笑うかのように本当にダンスにしてしまうのであれば、もっとかっこよくしてほしかったし、あのシーンがもっとしっかりしてたら作品自体の評価も上がっていたんだろうなと思う。
そのアクションシーンだけじゃなくて、マシュー・ヴォーンの映画ってこんなに映像しょぼかったっけって思うくらい全体的に合成の出来が良くなくて、やりたいことに対して予算足りてなかったんですかねという感じ。
しかし、ブライス・ダラス・ハワードは定期的に夢女みたいな役柄をやっていてすごい。おばあちゃんになってもやっていてほしい。
“Sandler is a depressed cosmonaut in Johan Renck's glum sci-fi trip co-starring Paul Dano as the alien tarantula who offers him therapy in space.” こんなにそそられる映画の概要あるんだ
https://www.indiewire.com/criticism/movies/spaceman-review-adam-sandler-netflix-1234955918/