『胸騒ぎ』デンマーク人の一家が旅行先のイタリアで知り合ったオランダ人一家の自宅に招待される。週末を過ごすうちに違和感が積み重なっていき、という話。中盤までのオランダ人一家の絶妙な嫌な感じが積み上がっていく感じはすごく良い。 

子供もいてイタリアにバケーションに行く経済的な余裕もあってベジタリアンにも理解を示すこの一家は自分たちと同質性が高いはずだという先入観だったり、デンマーク人家族の夫の事なかれ主義感だったり、まぁこっちに全く落ち度が無いわけではないしみたいな引け目によって逃げるチャンスを何度も逃し、引き返せない状況になってしまう、いわゆるゆでガエル的状況までに持っていくまでがすごく丁寧だし、冷え冷えとしたショットもかっこいい。
なんだけど、終盤でことが決定的になってしまってからが結構ご都合ぽいというかちょっと雑な感じがして少し心が冷めてしまった。まぁもう事態は決してるし、これ以上こねくり回しても仕方ないでしょってことなのかもしれないけど…。

『辰巳』遠藤雄弥は昔の柳葉敏郎みたいでかっこよかったけど2024年にこんな化石みたいな男のロマンチシズムをそのままお出しされてもなあという感じだった

『恋するプリテンダー』still woozyとかwet legとかもこもこした音のインディー・ポップが多めに使われてるのはフレッシュさあってよかった

『リンダはチキンがたべたい!』こういうふんわりとしたデザインのアニメーションじゃなかったらかなり深刻な気持ちになったと思うので、そういう意味でアニメーションでしかできないバランスと表現で良かった。しかし最近のフランスの映画を見ると、警察というものへの信頼が韓国以上になさそうで、大変そうだなという気持ちになる。

『恋するプリテンダー』現代の恋愛が難しすぎるため、ここまで周りがお膳立てしないと好意を明確にできないというところであったり、一周回って保守的(から騒ぎが元ネタだからそれはそうではあるんだけど)な感じがあった。 

恋愛むずい!周りに迷惑かけても馬鹿になるしかない!というのは良いと思うんだけど、それにしてはオーストラリア人の描写がアレだったり、シドニー・スウィーニーの姉のパートナーが東洋スピかぶれだったりと、本筋にそこまで関係ないところのノイズが結構多いのが気になってしまった。

『悪は存在しない』やっと見た。変なカメラワーク多いのと、間の味がいいので見てて楽しかったけど、後半ある人物の言動に対して何回か笑いが起きていて、渋谷の映画館でこの映画見てこういう人を笑うのはだいぶ悪いスノビズムなのでは…?いや、うーむ…というなんとも言えない気持ちになった。

リプリーのep.3、ぐだぐだ素人犯罪大好き人間として最高の回だった

しかし14歳の栞→異人たち→ゴッドランドときてなんで最後に陰陽師0を見てしまったんだろうな。陰陽師0、冒頭の一瞬昔の喋り方してたのに「当時の言葉ではわかりにくいのでここからは現代の喋り方で…」みたいなナレーション挟んで喋り方変わったのまじかよとなった。

『14歳の栞』再上映バージョンでようやっと見たけど、冒頭の動物の群れの映像と、「そのままを写した」みたいなテロップでうーんとなってしまったな

『RHEINGOLD ラインゴールド』続き 

これは私見ですが、ラッパーの中でも特にストリート系のギャングスタラッパーに求められるのは、そのリアルなストーリーだけでなくそれを如何に語るかというナラティブも必要不可欠で、この作品はその2つを得るまでの成長譚であるのかなと思います。
とはいえ、なかなかその軸は見えてこないので若干中だるみする部分もあるのですが、中盤からカターが頼ることになるアムスのクルド系マフィアの描写が秀逸で、特にとある場面で出てくる死体処理の手早さが怖くてとても良かったです。

『RHEINGOLD ラインゴールド』ドイツで活動するクルド人ラッパー・プロデューサーのカターの半生を描いた伝記映画。ファティ・アキン監督。 

ラッパーの立身出世を描いた話って、苦境に立たされている人物がヒップホップという手段に出会って自身の境遇と戦いながら音楽活動に打ち込み名声を得ていくという流れのものが多い印象だけれども、本作はその型とはちょっと違いました。
カターの両親が著名な音楽家ということもあって、子どものときにピアノを習っていたりと生活の中で音楽との関わりは多いんだけれども、作中ではちゃんとした曲作りのエピソードは2つくらいしかありません。というのもカターはどちらかといえばミュージシャンよりもDr. dreのようなプロデューサーを目指していて、また音楽をメイクマニーの手段として見ている節もあるんですよね。なので、曲作りの描写が少ない分、レーベルを立ち上げてプロデューサーとして成功しようとするカターがその資金を得ようとして徐々に首をしめられている様子がメインとなっているわけです。

サンデーで読んでたやつどんどん終わる

ゴーストバスターズ自体にも不安要素が多いし今見たら絶対楽しめないなと思ったので帰宅した

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デデデデがつまんなすぎてこの後予約してるゴーストバスターズ見るのやめて帰宅しようか考えるくらいテンションが下がった

『12日の殺人』フランスの田舎で若い女性が生きたまま火をつけられ殺されるという事件が起き、昇進したばかりの刑事とベテラン刑事のコンビが捜査にあたるが空振りが続くというあらすじ 

殺し方が残忍なので怨恨の線で捜査するんだけど、痴情のもつれがありそうな周囲の男性が全員被害者と肉体関係があり、かつその関係性も刑事側(と見ている人間)が思い浮かべるストーリーとは異なるので、刑事たちが常識を破壊されて徐々に壊れていくのがよかった。
常識では解決できない事件という観点ではドミニク・モル監督の前作『悪なき殺人』と共通する部分であり、事件にまつわるわかりやすいストーリーの否定という部分では『落下の解剖学』との共鳴を感じた。
『落下の解剖学』が犬の映画である一方で『12日の殺人』は猫が象徴的なモチーフとして使われているし。この2作品が続けてセザール賞を受賞しているというのはフランスの今の社会の反映なんですかね。

『12日の殺人』と『DOGMAN』続けて観たらはからずも猫の映画と犬の映画だった

『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』 

64歳で180キロあるフロリダ海峡を渡って泳いだダイアナ・ナイアドの実話をもとにしたネトフリ映画。
こういう物語が語られることに意義はあると思うし、ダイアナとボニーの関係もエモエモのエモではあるんだけど、映画として芯を通すために人間の複雑さを捨象してしまってる感があり、また終盤予算の都合なのか実際の映像の分量が増えていくのと食い合わせが悪くてあまり好きな映画ではなかったかな。
プール撮影の水に浮かんでるシーンって空間がペタッとしてCGIのアラが見えること多いけど、この作品はちゃんと海に見えたのでそこはすごいなと思った。

機内プログラムにHoldoversもあったんだけど、日本語が吹き替えしかなくて英語字幕もなかったので、途中まで見てドミニク・セッサの声が聞けないのがやっぱもったいないなと思って止めた

『Dream scenario』続き 

ニコラス・ケイジだけでなく、インフルエンサーエージェントのマイケル・セラとか魅力のあるキャラクターも多いし、突拍子もない出来事への説得力への持たせ方も良い。また、夢なのか現実なのか妄想なのかを一瞬分かりにくくするトリックも要所要所で効いていて緊迫感がある。画面内フレームを多用する画面構成もおしゃれ。ということで高評価なのも納得ではあるんですが、皮肉る対象への距離の取り方とか、前述のいかようにも解釈できる感じがオストルンド作品とちょっと近くて好きになりきれね〜ってなりました。でも終わり方がすごく美しかったのでトータルとしてはよかったです。

『Dream scenario』飛行機の機内プログラムで観た 

平凡な見た目の冴えない大学教授ポール・マシューズ(ニコラス・ケイジ)が突然不特定多数の人の夢に出てくる、しかも特に何をするわけでもなく夢の中の出来事を傍観しているという現象が起こり、ポールは一躍時の人に、学生や娘からちやほやされるだけでなく長年の夢だった本の出版にも手が届きそうになったところで事態は一変する。
クリストファー・ボルグリ監督の前作『シック・オブ・マイセルフ』と同様にSNS社会だったりキャンセルカルチャーだったりを皮肉っているんだけれども、事が起きるのが夢の中というのもあって若干抽象的というか寓話として色々な解釈ができるようになっていますね。
主人公のポールは基本的に物腰も柔らかく穏やかだし、その地位に見合う知性もあるけれど、本を出したいと言ってるのに研究したり執筆したりする素振りはなく(『シック・オブ〜』の主人公と似たワナビ感)、都合の悪い事をしょぼい嘘で誤魔化したりといった絶妙なセコさも持ち合わせています。
ニコラス・ケイジが演じるそのような人物が浮かれと冷静を反復横跳びしている十分魅力的なんですが、中盤の展開以降で徐々に人格が変容していく様子が本領発揮という感じでした。

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