ちゃんと見せてもらったら貝じゃなくてSampagitaの花を繋いだ飾りだった。これは萎れるまで飾るものらしい。ジャスミンのような香りがする。今は車のミラーに引っかけられて揺れている。Sampagitaはフィリピンの国花で日本で言うところの桜。
ベンチに座って日本から持ってきた本を読んでいると従姉妹が「Ate,Umiinom ka ba ng kape? mainit? malamig?」と訊いてくれて、お願いしますが出てこなかったので「Malamig please」と答えて手を合わせる。ください・お願いしますはpakiusapだ。用意してもらったアイスカフェオレは日本から持ってきたインスタントだけど、特別美味しい気がするのはわたしの為に従姉妹が包丁で叩き割ってくれた氷のお陰もあるだろうな。
昔この歳下の従姉妹と一緒に庭でバケツに色んな洗剤を混ぜて遊んでいたところ、母とおばにド叱られたのをついでに思い出す。無邪気になんつう危険な遊びを……
家々の合間に広い広い誰かの持ち物だろう土地が挟まっていて、牛やら山羊がいる。牛もどれも痩せてみえる。何の牛なんだろう。
21年前わたしが一番好きだった遊びは大きなマンゴーの木に登って、雲が流れるのや陽が傾くのや遠くで牛が草を食むのを、座る場所を変え変えのんびりと眺めていることだった。