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『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』
『ロスト・レオナルド』

ロシアから国外脱出した新興財閥(オリガルヒ)が買い手に名乗り出て、その代理人はジュネーブでアートを金融資産として保管する大倉庫「フリーポートの王」。
彼が売買契約時にオリガルヒから5千万ドルをちょろまかす事件などは、ミステリ小説やドラマで見ることそのままが現実で起きていてビックリした。

クリスティーズによる、エモーショナルさを最大に利用して大衆に訴えかける(ディカプリオまで使った)あざといプロモーション戦略の大成功は、改めて見るとグロテスクだなあ…。

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『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』と『ロスト・レオナルド』を続けて鑑賞。

史上最高額で落札された「サルバトール・ムンディ」を巡るドキュメンタリー。補完し合う内容で2作とも面白かった。

真作か否かの論争や疑惑は置き去りに、過熱するマネーゲームの果てに国同士の外交問題、作られた熱狂に乗っかる大衆…。
ダ・ヴィンチ展に際しルーヴル美術館による鑑定では真作とされなかったが、フランスがサウジアラビアとの外交を優先していたら、サウジの要求をのんで真実を捻じ曲げ真作と結論づけた(その場合用に制作済みだった図録はお蔵入りしたがが、流出した)ということ…?

『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』ではフランスが「国とルーヴルの信頼性を守る道を選んだ、(ロンドンの) ナショナル・ギャラリーは軽率だったね!」と言いつつ暗部も隠しきれていなくてエグいし、『ロスト・レオナルド』では真作であると信念を持つ修復士ダイアン・モデスティーニに迫る撮り方がエグかった。

エリザベス・ストラウト『私の名前はルーシー・バートン』、すごくすごく良かった。

「私」が経験した過去の様々な出来事の回想が、ばらばらな時間軸で語られる。言ってしまえばそれだけなのに、めちゃくちゃ好きだ。
交わした会話の引っ掛かり、忘れがたい感情、今も残るその感覚。今となっては曖昧な、しかし確かな感触を伴う記憶の断片の積み重ね。

人生における些細な記憶や感情は自分の裡にだけあるもので、それを言葉にしたり残したり誰かと共有するわけでもなく、しかし消えたりはせず、ふとした瞬間に記憶が鮮やかに浮かび上がってくる。
読んでいる最中は物語と並行して、自分の裡にもある、今は沈んでいる感覚をずっと探っていた。

そういえば昨日投稿した画像に、「閲覧が難しいユーザーへの説明」を入力したつもりだったけど、表示されてない…?ブラウザ版だと出ているとかなのかな…

10月に買った本。

アフガニスタンの女性作家たち18名による短篇集『わたしのペンは鳥の翼』は、作家たちが虚構の物語にのせた現実の苦難とその表現に衝撃を受けた。
今年2月にイギリスで出版されたこの本が今日本で手に取れることに感謝。
23篇の作品はもちろん、このアンソロジーをめぐる経緯と2021年のタリバン支配前後の女性作家たちの状況も詳しく記した序文と後記、古屋美登里さんの訳者あとがきも含めて、作家たちと同時代に生きている今この時に、広く読まれてほしい。

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