『ICC アニュアル 2024 とても近い遠さ』
リー・イーファン、《忘れられない形》《すみません,これどうやったらオンになりますか》2作、楽しかった。遠近法のイリュージョニスティックを説明しその刃で自己切開する作品はすぐ好きになります。閉塞の空間で不気味な東アジア系フェイスのアバターの顔スキン上に描画された犬が奇妙な朗らかさで3DCGの本質は数字であり私たちが見ているのは常に光で投影された2Dのイメージでしかなく…エンターテインメントであれクリエイションであれ果てしない課金の経済のエコシステムからは出れませんその中の死、おやまあ!と喋ります。暗く壊れた劇場の汚れたドアの向こうに、アメリカ人の居る中国語の部屋があります。ラスト、FPSのショットを撃つ宙に浮く腕を見る視点は美しい
国立映画アーカイブ所蔵『日本南極探檢』、「探検隊員の(中略)彼らがペンギンと戯れる姿(約13分42秒から)」ペンギンと相対した人間の好奇心の発露の様子にハラハラする体験を、是非多くの人と共有したいと常に強く思っているためどこのSNSでも何度も貼ります。
https://meiji.filmarchives.jp/works/02.html
CNNの「南極からオーストラリアの海岸にやってきたペンギン」目撃証言が良すぎて繰り返し読んでいる
ペンギンが海岸にたどり着くところを見たという地元サーファーのアーロン・フォウラーさんは、「とにかく巨大で海鳥よりずっと大きかった。それで、海から出て来るあれは何だ、ということになった」と振り返る。
「そいつは波の中で立ち上がって、よちよち歩きで真っすぐ私たちの方にやって来た。コウテイペンギンだった。身長は多分1メートルくらいあって、全然人を怖がらなかった」
「きっと雪だと思ったらしく、腹ばいになって滑ろうとして顔から砂に突っ込み、立ち上がって砂を全部払い落とした」。フォウラーさんはそう話している。
アテネで見た『オルフェア』、「夫を冥府から連れ戻すのは手始めに過ぎない。すべての人類の生命を救うのだ」と宣言する若い女性の革命家オルフェアが歌って飛んだり跳ねたり支離滅裂に踊ったりに、無数のイメージやテクストが脈絡なく挿入される錯綜を極めて前進する映画で…監督が言うに挿入物らはアビ・ヴァールブルクのムネモシュネ・アトラスなのだ。という説明で、、おっしゃる事は理解したいが全体が巨大過ぎて分かるかー!不死のロシア宇宙主義を読めばなにがしか近づけるだろうか?なのだが、作中ヨーロッパに流れ込む移民の死を象徴して多用された、シリアから渡りトルコの海岸に打ち上げられた報道写真で広く知られたAlan Kurdi(~2015)のイメージの再配置は今もSNSで子どもの死の画像に接するたび強力に作用するのだった
12月末にアレクサンダー・クルーゲ特集「ニュージャーマンシネマは終わらない~…」があり、なんてこったクリスマスイブは『ハッピー・ラメント』だ。『昨日からの別れ』は女性がひとりでさまよう映画で普通に冬の旅やWandaのようにおすすめできますが、、
http://www.shimotakaidocinema.com/schedule/schedule.html#alexanderkluge
祭りが終わってからぶつくさいう『ダイレクト・アクション』無理くり予定に詰めなかったのは失敗で、アルベール・セラ『孤独の午後』も見たかったなあ
当然そんな事は忘れて、ゲラン、シャリマーの香りを嗅ぎながら、ルイーズ・ブルジョワが「目つきのおかしいネズミ」「あのバカ女」など記憶をぽんぽん語るインタビュー映像を見ては長大な年表を眺めている方が楽しいし、
で、ポリシングと言ったら読んでいる途中で寝落ち継続中(ランシエール!?ぐうすかぴーですよ)の以文社の掲載のこれでしょう…。
> パレスチナをめぐる感性的=美的取り締まり[ポリシング]は、イスラエルの植民地的支配(archē)とその階層的秩序の確立を手助けすべく機能している。そこにおいて、生は割り当てられた分け前、割り当てられた居場所を守ることを強いられる。
https://www.ibunsha.co.jp/contents/ianalanpaul02/
『採集する人々/Foragers』
野草採取するアラブ人が監視・取り締まりの対象になる一方、イスラエル人が手厚い“天候保険”に守られキブツで農業生産を占有する2つの食用植物「ザアダル(za’atar) 」は葉の形からしてタイムのたぐいで、恵比寿の世界のパン パダリアで食べたレバノンのパン、マヌーシェの上に塗ってあったザーターという爽やかな合わせ調味料のメインハーブではないだろうか、「アックーブ(akkoub)」はアザミであり食べ方を見るにアーティチョークっぽい味なのだろう…と、味覚の記憶を動員し口をもぐもぐしながら見ました。
トークショーのスライドで言及された、対抗的記念碑/カウンター・モニュメントはこの2点。
ヨハン・ゲルツ&エスター・ゲルツ『THE MONUMENT AGAINST FASCISM』
https://www.shalev-gerz.net/portfolio/monument-against-fascism/
ハンス・ハーケの、作品タイトルはゲッペルスの発言「Und Ihr habt doch gesiegt!」で、オーストリアのグラーツにアンシュルスした当時のオーストリア・ナチスの歓待ぶりを忠実に再現(1988)してネオナチが燃やしたアレです。
https://360.grazmuseum.at/en/objects/und-ihr-habt-doch-gesiegt/
https://foundation.generali.at/en/collection/artworks/gf0003068000-2001-und-ihr-habt-doch-gesiegt
他の場所に行く気があまりありません