アテネで見た『オルフェア』、「夫を冥府から連れ戻すのは手始めに過ぎない。すべての人類の生命を救うのだ」と宣言する若い女性の革命家オルフェアが歌って飛んだり跳ねたり支離滅裂に踊ったりに、無数のイメージやテクストが脈絡なく挿入される錯綜を極めて前進する映画で…監督が言うに挿入物らはアビ・ヴァールブルクのムネモシュネ・アトラスなのだ。という説明で、、おっしゃる事は理解したいが全体が巨大過ぎて分かるかー!不死のロシア宇宙主義を読めばなにがしか近づけるだろうか?なのだが、作中ヨーロッパに流れ込む移民の死を象徴して多用された、シリアから渡りトルコの海岸に打ち上げられた報道写真で広く知られたAlan Kurdi(~2015)のイメージの再配置は今もSNSで子どもの死の画像に接するたび強力に作用するのだった
12月末にアレクサンダー・クルーゲ特集「ニュージャーマンシネマは終わらない~…」があり、なんてこったクリスマスイブは『ハッピー・ラメント』だ。『昨日からの別れ』は女性がひとりでさまよう映画で普通に冬の旅やWandaのようにおすすめできますが、、
http://www.shimotakaidocinema.com/schedule/schedule.html#alexanderkluge
祭りが終わってからぶつくさいう『ダイレクト・アクション』無理くり予定に詰めなかったのは失敗で、アルベール・セラ『孤独の午後』も見たかったなあ
当然そんな事は忘れて、ゲラン、シャリマーの香りを嗅ぎながら、ルイーズ・ブルジョワが「目つきのおかしいネズミ」「あのバカ女」など記憶をぽんぽん語るインタビュー映像を見ては長大な年表を眺めている方が楽しいし、
で、ポリシングと言ったら読んでいる途中で寝落ち継続中(ランシエール!?ぐうすかぴーですよ)の以文社の掲載のこれでしょう…。
> パレスチナをめぐる感性的=美的取り締まり[ポリシング]は、イスラエルの植民地的支配(archē)とその階層的秩序の確立を手助けすべく機能している。そこにおいて、生は割り当てられた分け前、割り当てられた居場所を守ることを強いられる。
https://www.ibunsha.co.jp/contents/ianalanpaul02/
『採集する人々/Foragers』
野草採取するアラブ人が監視・取り締まりの対象になる一方、イスラエル人が手厚い“天候保険”に守られキブツで農業生産を占有する2つの食用植物「ザアダル(za’atar) 」は葉の形からしてタイムのたぐいで、恵比寿の世界のパン パダリアで食べたレバノンのパン、マヌーシェの上に塗ってあったザーターという爽やかな合わせ調味料のメインハーブではないだろうか、「アックーブ(akkoub)」はアザミであり食べ方を見るにアーティチョークっぽい味なのだろう…と、味覚の記憶を動員し口をもぐもぐしながら見ました。
トークショーのスライドで言及された、対抗的記念碑/カウンター・モニュメントはこの2点。
ヨハン・ゲルツ&エスター・ゲルツ『THE MONUMENT AGAINST FASCISM』
https://www.shalev-gerz.net/portfolio/monument-against-fascism/
ハンス・ハーケの、作品タイトルはゲッペルスの発言「Und Ihr habt doch gesiegt!」で、オーストリアのグラーツにアンシュルスした当時のオーストリア・ナチスの歓待ぶりを忠実に再現(1988)してネオナチが燃やしたアレです。
https://360.grazmuseum.at/en/objects/und-ihr-habt-doch-gesiegt/
https://foundation.generali.at/en/collection/artworks/gf0003068000-2001-und-ihr-habt-doch-gesiegt
Cinema started with workers leaving the factory. Harun Farocki wrote about this: cinema is about what happens outside the factory, it’s about entertainment and about making the audience be ready to get back to its position inside the factory without protest. In my film you might be waiting to see workers coming out, but they won’t. These bodies are disappeared.
https://mubi.com/en/notebook/posts/jonathan-perel-introduces-his-film-corporate-accountability
土日は完全に床に潰れて、IFFプログラムのジョナサン・ペレルの『Corporate Accountability』の反芻と、マーダーボットダイアリーズの最新刊で、なんとなんとあのメディアに耽溺する弊機が仲間の人間&機械知性と協働し悪徳企業へのカウンター・ドキュメンタリー映画を制作&公開する驚き&爽快感(そうだ!時に映画(オタク)は人にポジティブな変化をもたらすんだ!)の展開…。をわーおとか言って読んでました。全体としては資本/企業/監視/拷問/殺害/恐怖/戦慄/エンターテインメントの悪夢めいた怠惰です
塗れてエロティックなクロースアップの連続でこれは英雄成分含むビキニカーウォッシュでは?な『ブレスド・ブレスド・オブリビオン』は作家のサイト(Vimeo)でフル視聴できました。英語テキストを動画に合わせて読むのが苦にならない方はどうぞ~。
https://www.jumanamanna.com/Blessed-Blessed-Oblivion
(こういうお行儀のわるい方向のは貴重。イメージフォーラムの上映、冒頭とラストに配置されたエロ詩/小咄の字幕翻訳素晴らしかったです)
で、、
「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー—山形in東京」で『採集する人々/Foragers』が(監督名:ジュマーナ・マンナーア)表記で11/1(金)にバスマ・アルシャリフとセットで上映されますね。キャプションを翻訳機能で読むと、食用植物の採取を通して“何を死なせ何を生きさせるか決める”政治について…、ということでこれはかなり見たいんですけどドドド平日午前
https://www.jumanamanna.com/Foragers
他の場所に行く気があまりありません