『こんにちは、母さん』観ました。山田洋次監督、結婚も仕事もダメになった管理職な男を現在(いま)の大…洋で撮ってくれてありがとうね………
「大企業の管理職」という何処にでもいそうな中年男である主人公が母の居る実家を通して家庭や仕事の関係を"清算"する話。ウーバーで飯を配達してもらったりルンバを蹴ついたり河川敷で缶ビール煽ったりするなど生活が投げやりになってる大…が見れるのでとても良いです。ただラストの物語の〆のシーンが予告編で使われてるものだったので「いいんだ!?」と思っちゃった。観る予定の人は予告見ない方がいいかもしれない。
あと、主人公の母が自分の祖母っぽくあったので、孫との絡みのシーンを見てとてもしんみりしてしまった。めちゃくちゃばあちゃんっ子だったので………
覇王別姫を観ました。め〜ちゃくちゃ良かった、3時間あっと言う間でした。
京劇の育成所で幼少期を共にしてきた女形として舞台の中で生きる主人公と、現実の世界で生きようとする相方が、相方の結婚を機に、愛憎の感情の中で離合聚散しつつも、日中戦争、政党交代、文化大革命…と激動と波乱の時代の中で何とか生き抜こうとする二人の姿を映し出した映画でした。
ラストの誰もいない舞台で久々に再会し稽古をする二人がふと思い出したように『思凡』を歌いだすシーン、主人公が幼少期ずっと間違えて言っていた口上であり、二人が京劇の名優として誇る全ての始まりである口上─「"女"として生まれ」を「"男"として生まれ」と肯定する相手の姿を見届けた末に主人公は自害するのですが、正しく『覇王別姫』の虞姫の最期(項羽の足手まといになることを拒んで自害する)と同じなんですよね。主人公にとって、『思凡』の口上を間違えて言ったことにより、ずっと自身を護ってくれていた相方に煙管を口の中に入れて折檻され(どう観ても口淫の隠喩だよな〜)、それによって「女形」として開花するのが「運命を受け入れる」ことだとするならば、彼にとって「女形でなくても良い」と相方に告げられるのは「運命の舞台から下りる」=「貴方の人生のそばには居られない」と宣告されることと同意義だから………