『機動戦士ガンダム』アニメーター安彦良和の大規模回顧展が兵庫県立美術館で、約1,400点の資料集結 https://www.fashion-press.net/news/116892
2024.6.8〜9.1。兵庫県立美術館、数年前に各地の美術館学芸員有志の企画による「富野由悠季の世界」展を開催してましたから、それもあっての安彦良和展ということでしょうか。島根県立石見美術館にも巡回するとのことですから、きっとそうかもしれない。でもこれ(御大の出身地な)北海道にも巡回しないとマズいですね
あとは、まぁ、出展される原画や資料の中にトニーたけざきのを混ぜて…… ←←
そのLADS GALLERY、
今週は別室で田中美穂植物店「魔法の部屋」展も並行して開催中。アーティスト活動の傍ら、京都市内で実際に植物店を経営しているという田中美穂植物店、当方はギャラリーモーニング(京都市東山区)でのグループ展で二、三度接したことがありますが、個展は初めて。今回は造花や針金、その辺の小物などを使って空間にドローイングしてみせたといった趣の作品が出ていました──そろそろ桜のシーズンなので桜色のオブジェが多かったのはご愛嬌。上記の断片的な材料を組み合わせて軽やかな立体をスッと作ってみせるところに、この方やっぱりタダモノではないなと、改めて刮目する良い機会となりました。こちらも明日まで。
LADS GALLERYで開催中の藤原博子展。
プライマリーな形を切り出して組み合わせた切り絵が大小数十点出ていましたが、通りすがりに瞥見してマ、マジか…… と震撼してしまう。一見して直ちに連想できるように、最晩年のマティスや全盛期のモンドリアン、具体解散後の元永定正の仕事を連想させるものとなっていたのですが、造形的には手作業のアバウトさを全く隠してない点においてほとんど図画工作のレベルであり、ところがそんなレベルであることが逆に功を奏していたわけでして。図画工作という平面において彼らの仕事を悪魔合体させて再演してみせるというコンセプト上の力技に、こんなんズルいわー(←褒め言葉)となるばかり。まったく知らない作家さんだったのですが(LADS GALLERYの常として、彼女もまたかなりのベテランなのかもしれませんが)、これは今まで知らなかった己の不明を恥じることしきり。このギャラリー、たまにとんでもない隠し球を見せつけてくるから、意外と油断ならないんですよね。明日まで。
彫刻家の舟越桂さん死去 72歳 半身像に大理石の目、本の表紙にも | 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20240329/k00/00m/040/382000c
舟越桂(1951〜2024)。謹んで、ご冥福をお祈りします。
舟越氏といいますと、四半世紀ほど前に木彫作品が天童荒太(1960〜)氏の小説『永遠の仔』の表紙に使われたことで一挙に知名度を上げたように見えますが(当方もそうでした(爆))、それ以前から──舟越保武(1912〜2002)の息子ということもあって──彫刻界隈では気鋭の彫刻家だったであろうことは想像に難くない。現在から振り返ると、舟越氏の活動は、(欧米でも同時多発的に起こった)絵画における「具象の復権」の彫刻版としてあったと、さしあたっては言えるかもしれませんが、かかる同時代性にのみ還元されることを拒絶するような作品であることも、また事実。
ところで、以前大阪の某ギャラリーで舟越氏のドローイングに接する機会があったのですが、ひょっとしたら彫刻作品以上に対象を執拗に存在させようとしており、なかなか震撼させられました。一般論として彫刻家のドローイングは画家のそれとは違った美質を持っているものですが(ex.ジャコメッティ)、舟越氏のドローイングもまた、彫刻家のドローイングにおける系譜をキッチリと受け継いでいたのでした。
「大カプコン展」,2025年3月20日から大阪中之島美術館で開催。数々の名作を生み出してきたカプコンのゲームクリエイションに注目した展覧会 https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20240328038/
2025.3.20〜6.22、大阪中之島美術館。東京では大吉原展が開催前に炎上してましたが、同じ大でも大阪の方は大カプコン展ときましたか
確かにカプコンって依然として松屋町筋沿いに本社を構えてますから、それなりの解像度で社史とコンテンツをリサーチ&キュレーションすれば、中之島美術館は会場としてうってつけかもしれませんが、こちらはこちらで、会期が始まったら限定DLCをめぐっていらん混乱を引き起こして炎上しそう? ←←
ところで今回は
絵画に加えて、興梠氏にとっては初挑戦となるというガラス造形の作品も出展されていました。興梠氏は先だって、香水メーカーであるメゾンレクシア株式会社の商品ラベルのアートワークを手がけたそうですが(今回の「Balm」展も、同社との協働の一環として企画されている)、ガラス造形の作品も同社とのコラボレーションという形を取っており、香水瓶として作られているとのこと。ガラス作品としての出来については何も言えませんが、先述した物=肉=corpsとしての身体を主題としている興梠氏の関心がストレートに反映された造形物であることは疑いなく、ここでも氏の探求の粘り強さをまざまざと感得することができる。
Yoshimi Artsで開催中の興梠優護「Balm」展。
同ギャラリーで定期的に個展を開催してきている興梠優護(1982〜)氏、今回は二年ぶりの個展となります。
興梠氏といいますと、人間をモティーフとしつつ、人間=人物の「物」の部分にフォーカスを当て直した絵画──ある位相において、それはフランシス・ベーコン(1909〜92)の絵画的探求の続編という性格も色濃く帯びることになるだろう──を継続的・精力的に発表し続けていますが、迎えた今回の「Balm」展もまた人物の「物」の部分、さらに言えば身体=肉体の「肉」(corps)の部分に焦点を当てた絵画作品が多く出展されており、氏の絵画的探求が着実に新たな地歩を築いていることが理解できるものとなっていました。
物=肉=corpsが主題としてせり出してくることで、興梠氏の絵画における人物像は流動性を帯びてくることになるわけですが、それが絵画的身体の描写という点において、単純に退行的なものではないことに注意する必要があるでしょう。
意味の身体とは、いかなる点においても「意味」の理念性〔観念性〕の受肉化ではない。反対に、それはこうした理念性の終焉、それゆえに意味の終焉である。なぜなら、意味の身体は自己を自己へと(その身体を「意味」に変える理念性へと)送り返し関係づけることを止めるからであり、その身体の最も固有の「意味」をなすこの限界において、またその身体をそういうものとして露呈するこの限界において、自己を中断するからだ。(ジャン=リュック・ナンシー(大西雅一郎(訳))『共同-体(コルプス)』(松籟社、1996)、p21、強調原文)──興梠氏の絵画について考える上で、このジャン=リュック・ナンシーの議論を参照することは有益であると考えられます。ナンシーにおける「意味の身体」は「その身体の最も固有の「意味」をなすこの限界において」「自己を中断する」ものとしてあるのですが、興梠氏の描く物=肉=corpsもまた同一性の中断としてあり、それはたとえ顔が描かれていても、それは特定の誰かというよりも、顔そのもの=顔貌性として提示されているほどに、徹底している。ここでのナンシーの言葉に沿うなら、自己を自己へと(その身体を「意味」に変える理念性へと)送り返し関係づけることを止めた身体として興梠氏の物=肉=corpsはあり、それは身体性の崩壊を描きつつもどこかでアイデンティティの回復へとつながるように描かれる絵画(そういうの、最近の若手〜中堅に多いですね)とは真逆である。
開館以来初、国立西洋美術館で開催されている現代アートの展覧会は「成功」と言えるのか?(JBpress) https://news.yahoo.co.jp/articles/3095c1b9305aac2a4ec06f4a6a1f335e2a3f50bf?source=sns&dv=sp&mid=other&date=20240328&ctg=lif&bt=tw_up
少し前の記事ですが、さっき見つけた(爆)。あとで読む
(なかなか日程とカネがfixできないので、見逃すことになりそうではあり…… )
Richard Serra, Who Recast Sculpture on a Massive Scale, Dies at 85 https://www.nytimes.com/2024/03/26/arts/richard-serra-dead.html?smid=tw-share
リチャード・セラ(1938〜2024)。結局彼の生前に、その名を冠した(冠してない)京都市京セラ美術館での個展は開催されませんでしたね
金沢21世紀美術館、2024年度開催の展覧会を一挙紹介! https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/kanazawa2024-news-202403
知らん間に発表されてました。今年後半には開館20周年記念ということで「すべてのものとダンスを踊って─共感のエコロジー」展が開催されるとのことですが、エコロジーをテーマにした展覧会って、ちょっと前に森美術館でもやってませんでしたっけ?
少し前の話になりますが、galerie 16で岸田良子(1949〜)女史の作品集をいただきました。1970年代からgalerie 16で個展を開催し続けている岸田女史ですが、今回の作品集は彼女が2010年から現在まで続けている「TARTANS」シリーズの絵画が、ハガキ大のカードに一点ずつ印刷されているというものとなっています。当方、縁あって一昨年に開催された個展の際に小論を寄稿しまして、当時ギャラリー内に英訳ともども掲示していただいたものでして。今回の作品集にも所収されているので、よろしければどうぞ……
この「TARTANS」シリーズ、たまたま岸田女史の手許にあった図版集に載っているタータンチェック模様を80号サイズにそのまま──作者によるアレンジを加えることなく──拡大して描くというもので、ほぼ毎年5〜6点ずつ発表されている。描く際にマスキングテープとペインティングナイフを多用していることもあって、彼女自身の主観的な手の痕跡というのはほとんど見出せないのですが、そうすることでこれらは印刷された図版集の絵という位相に置かれることになるわけでしてところでこれはジャスパー・ジョーンズによる星条旗や数字の絵とかなりの程度並行しているのではないか。で、今回、作品集という形でそれが図版化されることで、図版→絵画→図版という形で一周回ることになり、コンセプチュアルにオモロいことになっているのでした。
本当に名作のタイトルを一文字変えた「進撃の巨匠」展が福田美術館で開催中ですね https://fukuda-art-museum.jp/exhibition/202309183231
好事家、インディペンデント鑑賞者。オプリもあるよ♪