gekilin.で開催中の国本真絵「OUTLINE」展、大阪芸大の金属工芸科を修了し、現在は同大学で副手を務めているという国本真絵(1996〜)女史の初個展です。銅板に鍛金によって図形や文字などを叩き出し、それを版とするという金属工芸+版画といった趣の作品が出展されていました。情報が氾濫する現代社会においてモノの輪郭(outline)を改めて自らの手で浮かび上がらせたいという意識のもと、かような技法を用いているとのことですが、かかる意識から「OUTLINE」という単語を鍛金してしまうという超発想や、点・線・円を鍛金して版を作ってしまうあたりに、謎の面白さがありました。特に後者はこれ禅寺の床の間で展示したら、禅(というかアメリカナイズされた「ZEN」)を小馬鹿にしてる感がMAXになってオモロすぎるよなぁと思うことしきり。
点や単純な形態、言葉を主題にしているところに、福岡道雄(1936〜)氏──の、とりわけ「つくらない彫刻家」宣言直前の作品(《つぶ五つ》とか)──との照応関係を見出している鑑賞者もいたとのことで、それは言い得て妙。近年、大芸の工芸学科からは謎に冴えた才能がときおり出てきてますが、彼女もまたその系譜に乗っかっているとは言えるでしょう。11.11まで
NSFW
ノーラン監督作『オッペンハイマー』日本公開の行方と意義 | CINRA https://www.cinra.net/article/202310-oppenheimer_iktay
一部の報道やSNSなどでささやかれてきた「日本サイドが難色を示している」との情報は、その信憑性を保証する根拠を確認できなかった。なかなか日本での公開のメドが立たないクリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』についての記事。原爆開発の中心人物が主人公というのは確かに日本の中で論争を引き起こしそうですが、原爆の記憶がまだまだ生々しい1950〜60年代や、(反核運動がバックについてたいろんな党派の事情によってグダグダになって分裂した)1970〜80年代ならともかく、現在においてそこまで神経質になるような作品とは到底思えないんですが。具体的な広島・長崎のシーンがないから、余計にそう思うことしきり
さらに、固有名詞を挙げることは避けるが、日本での配給・公開に関して、国内で新たにポジティブな動きを確認できている。ただし、現時点で具体的なことは未定の状況という
企画展「拝まれてきた仏像―ふたたび拝まれる日をまつ―」開催のご案内 | お知らせ | 佛教大学 https://www.bukkyo-u.ac.jp/news/museum/20231003-26484.html
開催中〜12.9、佛教大学宗教文化ミュージアム(京都市右京区)とのこと。浄土宗の設立した教育機関である佛教大学の企画展だけに、よくある仏像の展示かと思いきや、(後継者の不在などで)廃絶した寺院から浄土宗に移管された仏像を展示するという、仏教系大学の附属施設にしてはかなり攻めた企画展となっているようで《法的には「宗教法人の解散」として進められる「寺院の消滅」。それにともなう、御本尊をはじめとする尊像・什宝の管理問題》《本展では、この仏像群の展観を通じ、解散寺院をめぐる浄土宗の一面を照射したい》。
ところで会場の宗教文化ミュージアムは、(佛教大学のある千本北大路でも二条駅前でもない)広沢池の近所にあるようで、当方の居所からだと四条烏丸から26系統か、三条京阪から59系統か。どっちにしても遠い
長谷川女史、数年前のNote Galleryでの個展では(刺繍とはにわかには信じられないくらいに)妙に再現度が高かった霧吹きやもふもふガイコツに見入ることしきりでしたし、昨年のSpace 31(神戸市東灘区)でのグループ展ではスーパーファミコンや楽譜、ドラえもんの単行本(中身も!)を刺繍で作っており、そのなんでもアリ感には呆然としたのでした。かようにテクニック番長な側面と、お題の微妙な外し方を分かっている彼女が、西洋美術ド真ん中のお題をどう料理するか、興味は尽きません。 [参照]
そのような形でしつらえられているわけですから、この展覧会に関しては、個々の出展作家がどうこうというのは実際のところあまり問題ではないわけでして、宇陀松山地区という場所においてこの日(当方が見に行ったのは10月22日でした)同時多発的に展開されていた、あるいは展覧会の会期以前からあり以後もあり続けるであろうアレコレを見つけて味わうことが重要になってくるわけですね。
かような観点から見ると、個人的に気づきが実に多かったです。例えば、会場をひとしきり回ったあと、地区内唯一の(?)書店というか古書店な尚文堂書店にフラッと入ってみたら、年代物のラジカセから流れていたFM放送からMarvin Gaye(1939〜84)の”What’s going on”が聞こえてきたときには、ぇこれそういうサウンドアート? と思ってしまいました。知人に殺害されて人生を終えた丸木スマの作品に接したあとに、父親に射殺されて人生を終えたGayeの代表作を聞く形になったら、そのあまりの符合ぶりにWhat’s goin’ on? となることしきりですし
https://youtu.be/KDK7TiEiMOI?si=4ODC_ShpQDyhzjA8
「SEASON 2」とはいささか奇妙な展覧会タイトルですが、長谷川氏いわく
「前の方が良かった」とか「蛇足」だとか好き放題言われがちなドラマの「シーズン2」ですが、区切りのついた何かをもう一度始めることは、私たちの生活ではごく当たり前にあることです。ちょうどいいところで人生は終わってくれませんし、死んでもなお、終わりではない。(略)一方で、大人と子供、先輩と後輩、今日と明日──こうした「続き」は、オリジナルとコピーみたいな関係では決してない。それが「何かの続きであること」と「それ自体が固有の、かけがえのない存在であること」は全然両立する。だから、「VERSION 2」というよりも「SEASON 2」と言ってみたいのです。という認識が「SEASON 2」というタイトルにはこめられており、したがって、何か完結した体系を最初からひとつの完成体として提示することよりも、キュレーターの、出展作家の、(この展覧会の出展作家には数えられてないけど)同時期に地元でイベントを開催している人々の、そして何より鑑賞者たちの「SEASON 2」が交錯する場として考えられていると、さしあたっては言えるでしょう──《本展は、それぞれの「SEASON 2」が交錯する「全員途中参加型」の展覧会です》というステイトメントの一節は、それを雄弁に物語っている。
奈良県宇陀市宇陀松山地区で開催中(〜10.30)の「はならぁと2023 こあ」。毎年奈良県内各所で「こあ」「さてらいと」「あらうんど」といったクラス(クラス?)分けのもと同時多発的に開催されているはならぁとですが、外部からゲストキュレーターを迎えて展開される「こあ」では、今年はこれまで様々な展覧会をキュレーションしてきた長谷川新(1988〜)氏を迎えています。今回は「SEASON 2」展ということで、阿児つばさ(1991〜)、朝海陽子(1974〜)、丸木スマ(1875〜1956)、宮崎竜成(1996〜)、山本悠(1988〜)、ユアサエボシ(1924〜87)各氏のほか、山梨県立美術館に寄託されている「クローン文化財(ミレー《種をまく人》)」というラインナップでした。
なぜオルタナティブなアートフェアは有効なのか? 第3回ACKに見出す京都の可能性(美術手帖) https://news.yahoo.co.jp/articles/c8a7f9f072bf86aa328fd2319f0c35b66b50f7e5?source=sns&dv=sp&mid=other&date=20231029&ctg=lif&bt=tw_up
Q:《なぜ日本では、従来のアートフェアモデルよりオルタナティブなモデルのほうが受け入れられているのだろうか?》
A:「従来のアートフェアモデル」(←アートバーゼルとかのことでしょうか)をちゃんとやれるほど広大な見本市会場が日本に存在しないからです
──で終わってしまう話を延々引っ張られても、なぁ
浅田彰(1957〜)氏の『構造と力』が文庫化されるとかで当方の 上のTLが変な盛り上がりを見せてましたが、この前刊行40周年を迎えたので版元の勁草書房が特製の帯を作ったのに、それからほどなくして文庫化?→ https://www.keisoshobo.co.jp/news/n54326.html
当然のことながら当方は浅田氏と面識はないんですが、2010年にgalerie 16で京都造形芸術大(当時)の院生がグループ展をしたとき、アーティストトークの司会を買って出てたのを聴講したことはあり、確かに京造の大学院の院長(?)やってはるけど、そんな世に出たてのアーティストのためにMCしはるって、あの浅田氏が普通に先生してはる!?!?!? となったのでした
ちなみにそのときの院生とは神馬啓佑、極並佑、田中幹、桜井類、鷲崎公彦、寺村利規の各氏で、今でもなんだかんだで関西を中心にアーティスト活動を続けています
今度の会場は京都国立博物館 明治古都館。「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2024」開催決定 https://bijutsutecho.com/magazine/news/market/27988
2024.3.1〜3。長くメイン会場として使われてきた三条高倉の京都文化博物館旧館を離れ、京都国立博物館を使うそうで。文博旧館メインホール内に鉄パイプとかを組んで構造物を作り、ムリヤリ二階建てにしてたのにはいささか閉口したものですが、移転したらそんな危険なことしなくても良さそう? なおサブ会場となる京都新聞本社ビル地下一階(烏丸丸太町)も引き続き会場となるとのことです
村瀬秀信『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』 https://www.amazon.co.jp/dp/4087901491
集英社から来年2月5日に刊行予定、¥1,980のこの本
タイガースの歴史上、「最大のミステリー」とされる人物がいる。
第8代監督・岸一郎。
1955(昭和30)年シーズン、プロ野球経験ゼロの還暦を過ぎたおじいさんが、突然、タイガースの一軍監督に大抜擢されて
一説には、「私をタイガースの監督に使ってみませんか」と、手紙で独自のチーム改革案をオーナーに売り込んだともいわれる
没年すら不詳という老人監督と、リンク先の概要を見てもパワーワードだらけで、気になることしきり
ガザを知る緊急セミナー ガザ 人間の恥としての(2023年10月23日) https://youtu.be/-baPSQIgcGc?si=_gGpZ7BkMMxoy12g
1990年代からパレスチナについての発言を続けている岡真理早稲田大学教授の講演が23日に東京で開催されたことは仄聞してましたが、主催者有志によって動画が公開されてるんですね。あとで見る [参照]
好事家、インディペンデント鑑賞者。オプリもあるよ♪