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『オマージュ』がとても良かった。第一に、しっかりした金勘定の感覚がある…

私はこういうスーパーウーマンではない、一見個性的なところがないようにみえる、運動神経の鈍そうな地味な中年女性の話がたくさん見たい。表情の動きが小さい(特にイキイキしてない)モサッとした大学生の息子がいるぽってりした体つきの中年女性の中途半端な監督の話という時点で嬉しい。

彼女がいつも「うん」って言ってるのもよかったし、甘えたーの息子の描写とかおうち服のシワシワや適当に掴んだもの着てる感も好きだし、そのうえでこんなにも映画の亡霊性を優しさで包んだ映画になってることが本当に素晴らしいと思った。エンディングのかっこよさときたら。ゾクゾクした。

主人公はある女性監督の人生を追うのではなく、「映画」を追うんだよ。それがすごくいい。すべては曖昧に繋がれていて、何かが解決したりはしない、なのにあの穴からの光にフィルムをかざす目に薄く浮かんだ涙(泣き顔を見せない映画だ)と同じ涙をあの瞬間の私も浮かべてたと思う。

映画って光と影なんだよ、って基本に忠実だし、近年興味のある聞き書きの重要さについても思うことになった。みんなもういない?いるよ。場所が消え、人が亡くなっても、映画は在るよ。影は今日も、そこにいるよ。ありがとう。

私はこのくらいのセンチメントのあり方がすごく好き、生活の中の映画性

監督のインタビュー読むとヴァルダ大好きと言ってるので、たぶんそのあたりも在ること、いることの話なのと関係している。のではないかと思う。あと東アジアっておかあさんとの距離独特だよなあ、と今回も。成人に近くなってもまだ半裸でペとってくっついてきて「あつい」って振り落とされる、ああいう距離感。ああいう息子像面白いなと思った。何かと思慮に欠ける発言が多いのだが、かーちゃん大好きではあるという。

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