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岩波だし安丸だし、普通に古典級やろと思って油断してるうちに安丸良夫『現代日本思想論 歴史意識とイデオロギー』(岩波現代文庫、2012)がプチ高騰してる。

ハードカバー古書が500円なのに文庫古書が2000円ゾーンになってて、慌てて買った。

安丸良夫『現代日本思想論』における通俗道徳にかんする議論の抜粋はこちらのページなどにある。
tanemura.la.coocan.jp/re3_inde

保守女性作法フェチみたいなのマジで苦手なんだけど、みたいな問いも、「わかりやすい倫理的是非トピック」じゃないから埒外にされがち。
日本社会の規範性に加担しうる、民衆内におけるイデオロギーそのものなんだが…。

2,30年前の脱政治モードを叩くのを世代的身振りとして習得している人は山ほどいるが、「はい、それは個人の趣味」という脱政治身振りには腰まで浸かった人が多いんだろう。

問題は、こうなってくると、どこまで言語化してどこまで問題提起的にやるべきかの加減を見極めにくいこと。

スピとオカルトとファンタジーの識別それぞれの見直しにしても、当然政治的ポテンシャルの検討になるが、どこまで言語化するとキレられ、どこまで暗黙に処理すると呆然とされるのか、難しい

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男性向け作品、女性向け作品関する政治要素のクライテリアって言語化されないから、めちゃくちゃな状態で放置されてるんだろうな。
漠然と性的客体化よくない、みたいなコードだけがあって、じゃあ男性向けソフトポルノ~実質ポルノ、女性向けソフトポルノ~実質ポルノに関して総合的にどう考えるか?という問いになるとポカーンとなるか、きわめて雑な「全部追認」になったりする。

こういう作品について「作者の問題発言で炎上」あるいは「インフルエンサーがやり玉にあげる」で浮上しないと判断対象にできない人が山ほどいるんだろう。
作品読解のための材料が全然整備されず、週刊誌ジャーナリズムスキルだけが膨張している。

諸星大二郎っぽさやパン米対立、町おこしなんかをうまく混ぜて作ってるなー

"町が世界一大きいパンを作る話(1/9)"
twitter.com/gagaga21480621/sta

デリダ生死講義録WSを聞いているが、ジャコブの議論からゲーデル的自己言及システムを見出してるのね。ニーチェとフロイトから生物学に架橋する話で、いわばマルクスニーチェフロイトハイデガーの系譜とダーウィン以降との突き合わせだな。

他方ユクホイ自身はシモンドン読みから始めているので、90年代にシモンドンが訳されていたらシステム論との突き合わせがありえたんじゃねーのと思った。

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たまたま去年のシラスのユクホイ関連イベント聞いてたら、『再帰性と偶然性』の訳者原島がシステム論を語るキャラで、その流れでユクホイを消化した形跡が見られたんだが、この種のシステム論も今や忘れられつつある知だなあと考えさせられた。

あらゆるトゥートよりも猫が強いのでSNSはせちがらい

ちくま文庫の近年の動きも並走しているんだろうなあ。
90-00年代のちくま学芸登場・平凡社ライブラリーの躍進に近い大きな区切りを感じる

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児童向け書籍の文学偏重の解除が進んでる情勢が今あるんだけど、河出文庫はわりとその現行体制に対応してる側なんだろうな。

こういう並びに「文学を文庫化してればなんとかなってた」が終わったのがわかる。
これまではこの変化をハヤカワ路線導入ぐらいに考えていたが、むしろ文学中心の解消で見るべきだと感じた

「まさる」要素は、津山30人殺しだな。1人しか殺してないけど、村の中の異分子(今作では知障)が夜這いでトラブって女を殺すという型の改造。昔、山岸凉子が津山30人殺しで短編書いてた。

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お、近畿地方のやつ昨日完結してた。うーん、日本的怪談の脱政治的つまらなさの乗り越えはできてないな。なお、角川から書籍化とのこと。

最近、自分の思考ユニットを(DMじゃなくてツイートなどで)出しても反応伸びないから、自分の思考にニーズを出すにはある程度以上のストーリーテリングをするなりしないといけないんだなあ、と痛感しつつある。

ちょい長めの記事を書いて論点を位置付けるナレーショをやらないといけないんだろうな

なろうハーメルンカクヨムのゲーム世界ものや現実世界にダンジョン出現するやつは、韓国ウェブトゥーン作品も含めて、「秩序変容への不安さ」を焦点に当てないので、今作はわりとレアな試みだな。

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飛ばして後半読んでみたけど、変容した日本社会で日本皇軍学校とかが生まれてそこに編入させられるとか皇族と婚約させられそうになるとか、不気味な展開として扱われているのもうまい。「右傾化する社会の中での違和感」を混ぜてきたんだな。

アバターいじってない主人公と姉、リア友たちが「変容する世界の中で数少ない、『気づいている側』」ポジションになるので、捻った転生戦士モチーフにも見える。
つまり、かつての転生戦士の中にも、現実世界に対して別の原理原則で相対化するマイノリティミームの破片ぐらいなら混ざっていたんだろうと再考させられる。

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この作品、途中から結構面白くなってる。

ゲーム世界が現実に侵食してきて、ゲーム内の宗教が歴史上のキリスト教を上書きし始め、それを変化として気づける人は、加工の少ないプレイヤーアバター運用をしている人間だけだという展開になっていく。

つまりチェンソーマンマキマの世界改変陰謀論要素に近いものを使っている。

ここでその作中の宗教が「虹色の女神」なので虹色が世界を混乱させる陰謀論的な存在に配される点でLGBTQの浸透への嫌悪や疑念の土壌とも解釈できるが、同時に主人公はそれにより新たな楽しさにも目覚めているために両義性を備えている。この両義性をキープできるかどうかが問われる感じ。

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