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この文章、わたしは最初にみたとき終わりまで読み切ることができなかった。
心から書かれたものだとわかるので、ものすごくつらかった。

Sex work is Work を思うことは多いし、書いたこともある。
それはこの仕事について「愚かさや、家庭環境の悪さや、本人の怠惰やふしだらさの結果」とだけ捉えて軽んじる文脈に触れる機会の多さを反映していると思う。
このフレーズ自体がわたしの中にしっかりと根付いているわけではない。そのとき心に浮かんでいるのは単なる「は!?」でしかないから。その困惑と不服と抗議と疑問と……が混ざり合った「は!?」を、わたしでない人に少しでもわかる既存の言葉にする必要があって、Sex work is Work を使ってきたというか。

そんなわたしにだってもちろん、嫌なことや危ないからしたくないこと、できないことがたくさんある。断ったり、代替案を交渉したり、興味をそらせたり、あの手この手で回避しようと試み、上手くいくときといかないときがある。

鼻で笑われて失敗するときもあれば、拒否したことで客の征服欲に火がついたのか、これは黙っていた方がましだったかもしれないね〜と悔やみながら耐えるはめになることもある。

言葉であきらめる客も、にっこり笑っただけであきらめる客もいる。スタッフが介入してはじめて、自分の要求が不当だったとようやく認める者もいる。
(そしてネットに悪口を書かれる)

わたしの「嫌なこと」と相手の「したいこと」が元からまったくぶつからず問題が起こらないこともあれば、最初から求めてこない客も、もちろんいる。

後から細かく思い出せば言葉の上では図々しくねだっていたけれど、不思議とたいして腹も立たなかったし何もなかった、なんてこともある。

どうにもできず店に助けを求めたら乗り込んだスタッフにびびった客が窓から飛び降りようと……とかもある。

すべては複雑。
すべてはいろいろ。

何もかもがいろいろでしかなく、いろいろ過ぎる。この「いろいろ」の内訳がどんなものかも人によって大幅に差があるだろう、あたりまえに。

断る言葉を口にすることも許されず押さえつけられて、とかも、ある。はじめましてとしか喋っていないのに叩かれたこともあった。

でも、「(嫌なことを断れる)そんな人には会ったことがない」と言いきられてしまうと、胸がつぶれそうになる。

わたしが長いあいだ仕事にしていることは、同じように明日もすることは、このちっぽけな工夫や努力や苦悩や痛みや稀にある喜びなど関係なく全てただのレイプ被害である、と呼ばれることに耐えられない。レイプをされて飯を食っているあなたに人としての尊厳などあるはずがない、と言われるのは、本当につらいことだ。
わたしは自分の尊厳の存在を信じているし、それが世間のどんな声によっても揺らがないよう努めているつもりだが、それでもつらい。それだからつらい。

このことは、たとえばTwitterで書くような気にはとてもなれない。
「あなたの要領/店選び/運/コミュニケーション能力 が悪いせいでしょ」と言っているかのように受け取られれば、誰かのつらさをさらに抉るであろうことが予想できるからだ。
そして「あなたは恵まれているだけにすぎない、売春婦のくせにエリート気取りで真の被害者の口を塞ぐな」となれば、わたしが受けてきた被害とそれへの抗議は無きものにされてしまう。
そんな思いを、もう何度も何度もしてきた。

自分の尊厳をなかったことにされる感覚に震え、当事者の文章を直視できない当事者もいる——ということを、当事者や非当事者たちがどれだけ知るべきか? わからない。
黙っていて未来の自分が救われることもないが、かといって口を開いたからといって何になるのか。

セックスワークイズワーク、というのは決して泥水をキラキラと覆い隠す言葉ではなく、泥水をすすった結果吐き出された言葉だとわたしは思っている。なんの業界でもそうでしょうが、多種多様な味の泥水がある、ここには。

わたしの知っている最悪なことも、せめてもの抵抗も、稀にあるよさも、語ることができるとしてそれに適していると思える場所がいまはない。

それでも吐き出したいときはあって、今日はここに書いてしまったけど。

心底わかる。ちなみにわたしはまだ読み通せてない。わたしの「は?」は何だったのか。身につけた「取りつく島のない微笑」は何なのか。スティグマゆえに滅多に口にすることもできない気持ち、でも、黙っていれば「無かったことにされる」苦しさ。何よりあまりに主語がデカすぎるのよ。非当事者から片頬を殴られ、次に元当事者から逆の頬を殴られるような苦しさがある。でも,わたしも引退した身だからね(この間、二人で行ったことあるロイホに行ったのよ。懐かしさで泣けてきたわ)。


第二回を読んで「この中が誰でも拒否できません」という一文に「お嬢さんそれは店が悪すぎる」と言いたくなった。もちろん言うわけにはいかないけど(理由はこゆりちゃんと同じ)、でもそれは最低最悪のレベルじゃん……て。良いお客だった人との良い時間は全て消されちゃうんだよね、ああいうのが「ほんとう」になっちゃうと。

第2回読んでない……またそのうちいつかでいいかな、いいよね、いいことにした。
「それは店が悪すぎる」、言いたいときあるね…言えないけど。わたしが最初に働いた店もまあ若干悪くて、でもそのときは全然わからなかったんだよね。その日会ったばかりの他店の女の子が「それやべえから辞めな〜しかもバック激安じゃんワラ」って言ってくれて(笑)、それで知った。その子とそのタイミングで知りあわなかったらどんな感じだったかなってたまにちょっと思うし、逃げることもできなくて深刻な状態になった人を責められないよね。。
そういう運任せのガチャ要素、できるだけなくなってほしいけどね……。

すごいわかる。良いお客さんとの良い時間のこと、「本人どうしが心の中でわかってさえいればそれでいいじゃないか」とは、やっぱ、思えないんだよなあ。ああいうこと言われたら、消えないけど、消えちゃうんだよねやっぱり。

ありがとうね……わたしたちが、同じような仕事で同じような理由で身に付けた武器が、結果めちゃめちゃ違うこととかも、めっちゃ、なんていうか……文化であり技術だな!って思うよ(笑)。
ロイホなつかしいねえ。芝公園のデニーズも楽しかったなあ。hinaちゃんは、現役ではなくなってもずっと、わたしにとって「わかってくれる人」だよ。

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