緩やかで気さくで胡散臭くて適当で、
でも英語ちょっと喋れて、
基本的にはアイクさんをさりげなく立てる姿勢で、
けど同時に遠回しに弄ってる笑いの取り方もしてて、
ただそれがすごく嫌味ってわけでもなくアイクさんも嫌がってるわけでもなくなんなら信頼関係はちゃんと築けてて、
なにより一番おもしろいのは
今このタイミングでこの規模感と浸透度とコメント欄の雰囲気とをYouTube上で成立させてる「忍び込んでる感」
そういう良さだと思う。
なんか勝手な妄想ですが、
この感じ、アイクさんへの接し方利用し方を、
30年前に小木さんにやって芸能界に忍び込んだんだと思う。
そういうナチュラル詐欺師感。
適度にサボるのが上手い能力。
英語という要素がバリケードとなって、あんまりテレビ芸能界の領域に、足の爪先をYouTubeに引っ掻けてるのがバレてない感じがある。
そういうバランス感覚が、矢作さんの面白さだと思います。
と、同時に覚えるのは、
ここまでの「忍び込み」が成功している上で、
おぎやはぎのゴールデン番組での冠や、
賞レースでのタイトル、
映画監督だったり小説のヒットだったりなんらかの別ジャンルへの活動によるブランディング、
などは具体的に無い
という事実です。
おぎやはぎが本当にすごいのは、この「おぎやはぎ感」そのもので、実績自体を底上げして雰囲気で成立させているところだと思います。これと言ってなにかある、というわけでは無いのです。それが凄い。
もちろん、初期のM-1への決勝進出、ゴッドタンという現在も続く伝説的な深夜番組の司会、などなどありますが、なんというかそれは当然凄いことだとして、でもM-1の点数が大阪9点だったり、今のJUNKの枠に入ったのは極楽とんぼの不祥事が理由だったり、ゴッドタンで伝説を残してるのは劇団ひとりだったり、なんというかやっぱり忍び込みの上手さが、実績を上回って高評価されてる感触が否めなくて、そこが凄く面白いです。
あと、おぎやはぎ的にここ10年間は
バイキングがバラエティ番組として成功しなかった事とかも痛手として大きいんだと思います。
その誤魔化し方の応急処置技術が、今一番おぎやはぎのアツいところだと感じています。
非常にボンヤリとした記憶ですが、
10年以上前くらいの深夜ラジオで矢作さんはたしか、
「芸人はテレビに出てこそ、営業がメインの芸人もテレビが上だと思ってる」
みたいな発言を冗談の文脈を含めた上でしていたと思います。
バイキングが始まったばかりの頃も
「いいとものパクリだととか言われてるけど、まぁこっから長い目で見ててよ」
みたいな発言をブランディング込みでしていた記憶です。
ただ最近は、
オズワルドに「オレ達はネタを頑張ってきたから今がある」と漫才師ムーヴを出したり、シアターマーキュリーという新しい劇場のこけら落としに参加していたり、THE MANZAIやENGEIグランドスラムで披露するネタが昔のコント師テイストの強かった漫才よりもフリートークっぽいしゃべくり感を強めた漫才に切り替えてたりと、
漫才師然といした態度が目立ってきました。
個人的にこの路線変更感は、やはりバイキングの終了が大きいと思います。
(あとバイキングにしがみついていたからこそ終盤、小木さんが政治的毒舌キャラ感が増してしまった事への冷却作業でもあると思う)
それを微塵も感じさせない大人の余裕
飄々と芸能界を渡り歩いているフリ
それを踏まえて見ると矢作さんの忍び込み芸は、スリルとセクシーさもあって味わい深いです。