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コリンズと喧嘩した。あいつの前ではいつだって余裕のある男でいたいのに随分とみっともない本音を吐き出してしまった。コリンズは途中で笑っていたから余程だったのだろう。ついヘソを曲げてしまったが、本心では俺がどんなに情けない姿を晒そうとコリンズは受け止めてくれるのだとひどく安心した。

ファリアと喧嘩した。ファリアは昔のことを細かく覚えててあの時ああだったとか、この時はこうだっとか不満やら嫉妬やら出てくる出てくる。あの頃しれっとした顔でそんなこと思ってたのか、この人俺のこと相当好きじゃないかと思ったらにやけてしまいもっとファリアを怒らせてしまった。

最近は出撃続きで疲労困憊、泥のように眠り夢など見ることもなくなった。だから隊長があの優雅な微笑みを見せながら「もうすぐファリアが帰ってくるから、コリンズお前も戻りなさい」と言ってくれたのは夢なんがじゃないと信じてる。ギリギリで墜落を免れて帰還した俺は嬉しい知らせを受け取った。

大きな破裂音と共に中身が溢れだす。俺の指輪とカードにファリアが驚いていた。ファリアのクラッカーからはメッセージカードと包装紙に包まれたお菓子(チョコレートだった)が出て来た。ファリアらしさに微笑ましく思いながらメッセージカードを読むと短く『並べろ』と書いてある。よく見ると包装紙には数字がふってあって「1」のものを開けてみるとチョコレートには「H」の文字が刻まれていた。「これ手作りしたの?」と聞くとファリアは頷いた。皿の上に番号順に並べていくとそれは『Hold my hand. I want to grow old with you.』と言う文章になり最後の一つはチョコ製の指輪が入っていた。俺はファリアを見くびっていたようだ。俺が思ってるよりずっとロマンチストじゃないか!「思ってた以上に恥ずかしいな、これ!」耳まで赤くなってるファリアの手を強く握りしめた。

俺たちは選ぶ言葉も似てたよなと、クリスマスが来るたびに笑い合うことになる。何年も何年も。

Hold my hand. I want to grow old with you.(手を握ってください。あなたと歳を重ねていきたいのです)

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『I want to be with you forever and ever.(あなたと永遠に一緒にいたい)』

クリスマスクラッカーに指輪と求婚のメッセージカードを入れるなんて、あまりに狙いすぎてて俺には絶対無理だと昔は思っていた。あの頃の自分に教えてやりたい。人を愛したら恥ずかしいもクソもないのだと。そしてファリアはロマンチックなことが結構好きだ。
そんな訳で今年のクリスマスにはそれを用意した。両思いになってそれなりの時を過ごした。二人だけのクリスマスにクリスマスクラッカーがあるのだから鈍くないファリアなら中身の予想をつけてきそうだけどそれでいいのだ。
そして二人で準備した料理やケーキの前に座る。テーブルの上にはクリスマスクラッカーが二つあった。「これファリアが用意したの?」「お前も用意してたんだな」顔を見合わせてくすくす笑う。

『言わせたい』

あまりにもファリアの作ったクッキーが美味しそうだったので一枚つまみ食いをしたら早々にバレてしまった。ファリアは呆れた風に「相変わらず『待て』のできない男だなぁ」ともう耳にタコが出来るほど聞いた台詞を口にする。「美味しいものの前で待てなんてできないよ。俺に待て待てって言うけど、ファリアはどうなんだよ」つい拗ねた口調でそう言い返しってしまったが、ファリアはひょいっと眉を上げると「俺は待てが上手いぞ」と言った。「上手いし得意だ。どんなに欲しいと思っても口に出さず慎み深く、待ってる」そうだろ?という言葉で俺はやっとピンときた。「ファリア、今もしかしてエッチな話してる?」ファリアは魅惑的な表情がその答えだった。「そこはさ、待たないでもっと口に出して言ってよ!」恋人から『欲しい』言われて喜ばないやつなっていないというのに。ファリアは、お前は待たないし察しも悪くないからこれで丁度いいだろなどと笑うから、その通りとばかりに抱き寄せた。でも今夜は絶対ファリアの口から欲しいと言わせて見せると心に誓いながら熱い口付けを交わした。

数年ぶりにクリスマス帰省するコリンズが本日何度目かの「やっぱり帰るのやめようかな」という台詞を吐いた。数日とはいえファリアと離れたくないと言う。ファリアも一緒に来ないかと誘われたが二人の仲を秘密にしたままコリンズの家族に会うのは気が引けた。

戦前何度か会ったことのある彼らは本当に良い人達だっただけにいつか堂々と会える時が来ればいいとファリアは思っている。コリンズが望んでいたとはいえ何年もクリスマスにコリンズを独占していたことを申し訳なく思っていたファリアは、今回の帰省ではうんと家族孝行をして欲しいのだった。

そんなことを思って帰省させることに積極的なファリアにコリンズが「俺がいなくても寂しくないの?」なとど拗ねてみせるのは恋人同士のじゃれあいのうちである。
「ちゃんと待っててね」そう言って家を出たコリンズの背中を見送りながら、「待てるさ」とファリアは呟いた。

まだ半分もお湯の溜まっていないバスタブにファリアは体を浸した。膝を抱えて暫く待つと体が温まってきたので寛いだ姿勢を取ったが背中に当たったバスタブの冷たさに思わず声が出た。「だからもうちょっと待ってって言ったのに」バスルームに入ってきたコリンズが笑いながら言った。

コリンズがファリアと向かい合うようにバスタブに入ると丁度いいくらいの湯の量になった。「ファリア、ほらこっち来て俺にもたれてよ」コリンズが両手を広げるとファリアは素直にその腕に収まる。湯で温めるまでもなくコリンズの体は温かい。

「俺、こういう時幸せだなぁって思うんだよね」このままずっとお風呂に入ってたいくらいとコリンズが言う。ファリアも同感だった。こんな風に後ろからコリンズに抱き抱えられるのが実はとても好きだった。コリンズに体を預けて目を閉じる。二人が一つになったようで気持ちがいい。

「それはそうとしてね、俺は早くファリアを抱きたいんだけど」とコリンズがファリアの耳元で囁くのにそう時間はかからなかったが、それについても全く同意だったのでファリアは振り向いてコリンズに口付けた。

ファリア「コリンズ、お前は今までに『もうお腹が一杯で食べられないよ』と言ったことはあるか?」
コリンズ「ないよ!」
ファ「隊長!食べ放題の店が現代にあることはまだ内緒にしておきましょう!」
隊長「いや、コリンズの実力を見せてもらおうじゃないか!」
ファ「別の実力を見てください!」

ファリアが美人とデートしていた。基地内にそんな噂が流れた。デートくらい誰だってするかもしれないがあのファリアがと言うとこがミソらしい。遂に春が来たのかと俺にまで話を振ってくる。
ふん、馬鹿らしい。そんなわけあるか、俺は何も聞いてない!
なんて言っても笑われるだけだから言わないが。

しかし誰もファリア本人にその話をしていないらしい。暖かく見守ってるんだなどと笑っていたがあれは賭けをしてるんだと思う。それから暫くしてどこか寂しげにしてるファリアの姿が目撃されてそれ以降デートをしてる様子がないことから、これで慰めてやれと賭けに勝ったやつから酒代を渡された。

「で、それがこのクッキーになったのか」ファリアが苦笑していた。お前はどう思ってたんだなどと聞くから「俺の推理では子犬が1匹減ってるから里親探しで美人と会ってて無事に犬は引き取られその犬との別れで寂しくなってた、なんだけど?」ファリアは当たりだからこれはお前が食えと大笑いしていた。

コリンズは負けず嫌いで甘え上手な可愛い弟分、と言うのが皆の認識だと思う。だがさりげない思いやりと優しさを隠し持っていた。照れ屋なのだ。優しい人と思われたくなくて実に回りくどいやり方をしていた。離れたこの冷たい場所でそれを思い出すと心に暖かな火が灯ってまだ大丈夫と思えるのだ。

『しみこんでくる思い』 コリファリ

お題.comさんからお題お借りしました。

「寒いと冬らしくていいと言ったな、あれは嘘だ」
ファリアが頭まで毛布を被ったまま言った。
この冬一番の寒波に、寒さ嫌いVS冬が好きは、寒さ嫌いに軍配が上がったようだ。
俺もこれ幸とファリアと一緒に丸くなる。うん、俺は冬が大好きだよ!

寒そうに手をさすりながらファリアが外出から戻ってきた。でもどこか嬉しそうなのが不思議で、それが顔に出ていたのか「これくらい冷えると冬って感じがするからな」俺が差し出した紅茶を両手を温めるように持つと湯気越しの顔が子供っぽく笑っていて寒さ嫌いの冬好きっているんだなと思った。

あの日以来、海が嫌いになった。溺れそうになったからではない。空と海で経験した辛いことを全部海に押し付けることにしたからだ。空を嫌いになるわけにはいかない。今ここにいない彼らと強く繋がりを感じられる場所だから。どんなことが起ころうと、空は泣きたくなるほど美しくて嫌いになれない。

「なぁコリンズ、久しぶりに海水浴に行かないか」ファリアの言葉にもう長いこと海に行ってなかったと思い出す。そうだね、そろそろ嫌ってたことを謝る頃だ。ファリアがいれば世界は本当の美しさを取り戻す。「俺、空から海がキラキラしてるとこを見るの好きだったんだよ」

ファリアは別に無愛想でもないのにその整った顔が何かに真剣になっていると少しばかり近寄りがたい雰囲気を出す。早口で聞き取りにくいあの喋りと小柄なわりに圧迫感を醸し出す体躯も原因の一つだ。その分、笑うと愛嬌があってその差にみんな虜になる。なんて罪な笑顔なんだと虜の一人の俺は思う。

『罪な笑顔』 コリファリ

お題.comさんからお題お借りしました。

ファリア「ここにあった茹で卵知らないか」
コリンズ「食べちゃったけどダメだった?」
ファ「食べたって、大丈夫か?作ったのを忘れてたやつで悪くなってただろ?」
コ「あれは大丈夫なやつだよ。本当にダメなのはもっとこうねっとり…」
ファ「分かった!もう茹で卵の作り置きはしない!」

ファリアが「コリンズ、お前ポケットにビスケット入れてるな」と言う。どうやら俺からはいつもお菓子の匂いがするらしい。人のことを犬のようだとよく言うがファリアも大概だ。「ファリアはポケットの右に犬用左に俺用のクッキーが入ってるでしょ」「当たりだ」俺たちは顔を見合わして大笑いした。
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これはコリンズの変な夢に影響されたに違いない。
夢の中で俺は俺より背の高いコリンズの頭を引き寄せようと手を伸ばした。ところがちっとも届かない。コリンズが「ファリア!」と俺の名を呼んだその声が遠ざかる。成長期もとうに過ぎているだろうにさらに背が伸びている。5メートル、10メートル…あっという間に山よりも高くなった。だが俺は慌てやしない。目の前にはスピットファイア。俺はさっと乗り込んでエンジンをかける。どんなに遠く高く離れようとどこまでも飛んで追いかける。お前からも俺が見える場所まで、その声が聞こえる距離まで、どこまでもどこまでも飛んでいく。お前より高く舞い上がったらお前に向かって飛び降りるから、しっかり受け止めてくれ。そしたらお前にキスをして、ほらそこでハッピーエンドだ。
そこで目が覚めた。隣にはすやすや眠るコリンズがいる。その頬にキスをして、ぎゅっと抱きついて、やっぱり手の届く距離の方がいいなぁと思いながら目を閉じた。

『夢の中のあれも本気だから』
コリファリ

寝起きのコリンズが騒がしい足音と共にキッチンに飛び込んできて、俺に抱きついた。
「ファリアが厚着してて脱がしても脱がしても服が無くならないからムキになって剥ぎ取ってたら玉ねぎみたいにファリアが小さくなって最後に消えちゃったんだよ!!」
可愛い悪夢は、今夜笑い話にかえてやるさ。

🍋「ようヨハネス、まあこのたこ焼き食えよ」
🐞「突然のタコパ?なに火傷するとこ見たいの?タコ無しに当たるとこの方?」
🍊「この中の一つが激辛なんだよ。大丈夫、お前なら引ける!自信を持てクソ虫!」
🐞「もぐもぐ…うわ辛っ!あ、でも美味しい、あっやっぱ辛い!!」

🍋🍊「よっしゃー!!!でかしたクソ虫!これであとは普通のだけだ。お前は良い仕事をした!もぐもぐもぐ」
🐞「あのぉ…実はさっきたこ焼き屋さんの前でマリアから頼まれて買った激辛ハバネロソースこぼしたんだけどさぁ…」
🍋🍊「ぅがあーっ!!ヒーッ、ヒィーー!!!(悶絶)」

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