『エブリシング:エブリウェア・オール・アット・ワンス』を観てきた。基本は軽快で混乱していてコミカルな面もあるよく出来たSF映画だけど、観ているうちにヴォネガットの『スローターハウス5』が連想されてしかたなかった。パンフを読むと町山智浩氏が言及していたので「まさに!」という思い。
ラストがビートルズの『All You Need Is Love』的に決着するのは、そしてそれがアカデミー賞を獲るほどに評価されたのは、いかにもアメリカらしいと感じる。あり得たかも知れない世界、もう一度選び得るチャンスを直接的に描けるのはSFだからこそできることではある。
ただ、選ばなかった出来事、あり得たかも知れない世界を諦めて生きた時を振り返るとき、誰しも苦い思いを噛み締めるのではないか。そしてヴォネガットの作品はまさしくそういう人のためにある、そう思うと、本作を手放しで楽しめない複雑な気持ちが無くはない。アメリカの映画界は変わりつつあるのだろうか。よく出来たエンタメではある。
絵描きです。弓も引きます。鳥たちを愛しています。ウイスキーも愛してます。
Bluesky と二刀流で使っています。ここでは「購読」で拝見していることも多いです。
絵文字リアクションを非表示にしているため気が付かないことが殆どですみません。
怪しい者ではない…つもりです。
絵描きtoot @m_chloe