ある時見舞いに行くとソロモンは眠っていた。清潔に整えられたベッドの横にはなみなみと水の入った水差しとグラスが置いてあり、少しも口をつけた様子がない。朝から眠ったままなのだろうか。フォルネウスは枕元に座って病人の顔を眺めた。眠っていても痛みがあるのか、わずかに眉間に力が入っている。
道すがらに聞いた噂を思い出した。いわく、ソロモン王は悪魔と取引をしすぎたせいで寿命が縮んだのだと。若くしてこれほどの国を起こしたのは悪魔の力によるものであり、死後はその見返りとして魂は大地に還らず、悪魔の世界に運ばれるに違いない……。
そんなことに、なってたまるか。
ソロモンの命は大地に還り、その人生はヴァイガルドの集合意識に迎えられ、世界に刻まれて永遠に残る。それがどれほどの悲願であるか。ここまでの偉業をなした彼の魂がヴァイガルドに迎えられてこそ、追放メギドの人生は報われるのだ。ヴィータの魂をメギドラルに渡して何になる。カトルスに迎えられることもない、門前払いが関の山だ。そうだ、彼は、ここで死んでこそ……
↑これ8章2節の内容から既に外れてる気がするけど、それでも1回書かせてください やれること全部やっときたいので