父親の宗観が徳兵衛に伝えた巨大ガマを出現させる呪文

  南無さったるまグンダリギャ
  守護聖天、守護聖天
  はらいそ、はらいそ

キリシタンのオラショ(祈祷文)めかして適当に作ったものだろう。
このような劇中でのキリシタン臭に加え、南北は宣伝でも同様の空気を匂わせ、早替りの場面でキリシタンの妖術が使われているとの風聞を流したとのこと。そのため奉行所の役人が検分に来るなどして、さらに評判が拡大したと伝えられている。

『天竺徳兵衛韓噺』の時代設定が足利義満の頃だったり義政だったりするので、朝鮮のための復讐というのがわかりにくいが、実際は豊臣秀吉の朝鮮侵攻を示唆しており、秀吉に荒らされた恨みいうことになる。
親の宗観の素性を、「もと朝鮮王の臣」のかわりに「大明国の遺臣」とする版もあるが、明も朝鮮を支援して秀吉の派遣した日本軍と戦っているから、宗観の日本に対する敵意の根拠としてはどちらでも同じ。

『天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)』は四世鶴屋南北の出世作と言われるもの。遅咲きの南北は当時50歳。
ja.wikipedia.org/wiki/天竺徳兵衛#ci

播州高砂の船頭・徳兵衛は風に吹き流されたあげく唐・天竺まで経巡って5年ぶりに帰国するが、故郷を前にした九州で事情聴取のため佐々木家の家老・吉岡宗観の屋敷に留め置かれる。
宗観の顔を見た徳兵衛が、「死相がある、今日中にあなたは剣難で死ぬ」と指摘する。
その日のうちの死を覚悟していた宗観は、予言の内容には驚かないが、徳兵衛がその予言をしたことに驚く。というのは、宗観には3歳のおりに手放した子があり、その子が成人して困らないよう、観相術を学ぶ機会を講じておいたからである。
やがて父子であることを確認した徳兵衛に対し、宗観はさらに驚くべきことを打ち明ける。
じつは自分は日本人ではない。もと朝鮮国王の臣であり、国の仇に復讐するするため日本に渡ってきた。お前も我が志をついで日本を滅ぼせ。そのように言って、宗観は徳兵衛にガマの妖術を授ける。

『天竺徳兵衛韓噺』には多くの異版があり、人名、地名、ストーリーに出入りがあるが、原稿台本で軸となるのは上のような人間関係。

『忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)』で古御所の屋根に現れた滝夜叉姫はガマを従えている。ガマは火を吐く。

『天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)』の徳兵衛も崩壊した建物の屋根に現れて、こちらはガマに乗っている。ガマが火を吐くのは同じ。
bunka.go.jp/prmagazine/rensai/

どちらの演目も屋体崩しにガマが伴う。特別なわけでもあるのか。

自来也とのかかわりは?

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