📗井上俊之・高瀬康司『井上俊之の作画遊蕩』
先日、不思凡監督の「大雨」の設定資料集を入手したのと、今後(待ちに待った)「羅小黒戦記」の設定資料集も購入する予定なので、今更ながら「アニメってどうやって作っているんだっけ…?」と思い始めて、羅小黒戦記関係で面白い話をしていたアニメーターの本、という程度の認識で読んでみた。
老若の優れたアニメーターと井上氏の対談集で、こちらは正直、名前も作品も聞いたことがあれば御の字位何も知らないので全然わからないのだが、井上氏の問題意識がぶれずに明確なので、それとの距離でわからないなりに地図が引けたりした。
本書における井上氏の関心は、絵コンテ工程と原画工程の間のレイアウト工程をアニメ制作の中にどのようなものとして位置づけるべきかで、この段階では(昨今主流の)原画寄りの詳細なものでなく、あくまでも演出意図を確認する最低限のものであるべきとの考えらしい。アニメ制作に限らず、組織の仕事で上の意図をどこでどう反映させれば手戻りなく手戻りなく質の高い成果を出せるかというプロジェクト・マネージメント全般のあるある問題なので、問題意識は理解できるし、あまり深掘りはされていなかったけど面白かった。アニメ業界の労働環境にも直結する話だし。
ということで、とりあえず完成しました。ぴよぴよ進捗にあたたかいご声援ありがとうございました。これまでに二度挫折して、今回三度目の正直だったので、何とか書き上げることができてとても嬉しい!
https://fedibird.com/@machino_y/112380029931970981 [参照]
📘「雁は南へ」
不思凡監督「大护法」(邦題:DAHUFA 守護者と謎の豆人間)のファンフィクション。2年半ごしにようやく書き上がりました。約26,000字。
映画のラストで生き残った登場人物たち(太子、大護法、小鳴)のその後の物語です。ほぼオリジナルと言ってもいい独自設定ですが、映画を見た時から気になっていた太子の行く末を(勝手に)見届けることが出来たので、肩の荷が一つおりた気持ち。
しばらく寝かせて、年内あたりにはうすい本にできればと思っています。
https://crepu.net/post/6785763
西早稲田の甘露さんの姉妹店の虫二さん、茶席の予約とお菓子の販売のお店らしい。とても気になる。
通販ではだいぶお世話になっているけど、実はまだ甘露さん本店にも行ったことがないので、平日休みが取れたらいずれ行ってみたいな。
https://twitter.com/KanroNishiwased/status/1783996142000406870
📽今年のアヌシー国際アニメーション映画祭長編部門に不思凡監督の「大雨」がノミネート。歓喜の舞を踊っています。
なお、長編部門には「トットちゃん」他複数、Contrechamp部門(マイナーだがキラリと光る長編発掘部門みたいな感じ?以前羅小黒戦記がノミネートされたのはここ)に「ゲ謎」と、今年は日本アニメの進出が著しく、そういうことしか報道では話題にならないのだろうなとは思うが、多彩であろう外国の作品もきちんと紹介されて欲しい。
★長編部門ノミネート作品一覧:
https://www.annecyfestival.com/en/the-festival/official-selection/competition/2024/feature-films
★Contrechamp部門ノミネート作品一覧:
https://www.annecyfestival.com/en/the-festival/official-selection/competition/2024/feature-films-contrechamp
数年前から名前を聞いて気になっていたスペインのアニメ「ユニコーン・ウォーズ」が5月下旬以降公開とのこと。リスキット配給なので割と信頼している。
https://twitter.com/incriskit/status/1780871122504020131?s=61
サンプルは大昔に書いた文章(14年前…)で、まあ内容はどうでもいいのですが、当時モスタル・セヴダ・リユニオンというボスニア・ヘルツェゴビナのバンドをよく聞いていたのです。今やレコード会社公式がアルバム全部上げてくれてるみたい…
https://www.youtube.com/watch?si=0dwtnvHxGM-JWzZz&v=r5c8oLdwdjw&feature=youtu.be
↓Oradano明朝、素敵すぎて早速ダウンロードしてサンプル組んでしまった。
これでフリーフォントなんて偉大すぎる…
https://www.asahi-net.or.jp/~sd5a-ucd/freefonts/Oradano-Mincho/
ちなみに「アクト・オブ・キリング」は、虐殺事件の実行者達(社会的に成功して今なお安穏と暮らしている)に「あの虐殺を演じて映画にしてみませんか」と持ちかけ、彼らが実際に嬉々として映画を作る様子を追うドキュメンタリーで、色々な意味で正気の沙汰では無い物凄い作品です。予告編からして諸々だいぶえぐいけれども…
今は続編の「ルック・オブ・サイレンス」(「アクトオブ〜」の続編で、虐殺被害者の遺族の側から撮ったドキュメンタリー)ともどもアマプラで見られます。
https://www.youtube.com/watch?si=p9lDAZNonNGqDVar&v=Mu68nD5QqP0&feature=youtu.be
🎞オッペンハイマー
ストレンヂアが良すぎて帰りの電車の中でニコニコ笑いが止まらず、「このままでは今夜クールダウンできず眠れない」と思って、この高揚感と勢いでなければ見る元気が出ないだろう長尺「オッペンハイマー」も見て来た。
原爆の映画というよりは、綺麗な「神話的20世紀」の映画で、そういうものとしての完成度は高かったと思うけれど、原爆の実害の描写が、炭化した死体の幻を踏んづけるのと、誰かの皮膚がめくれたような描写(むしろフェイスパックを剥がしているみたいに見える)だけなの含め、だいぶ観念的な罪の物語で、だからやはり「綺麗な映画ですね」という感想しか無い。それに、天才だがナイーブな科学者像とか、添え物的な女性の描き方とか、政治と科学の世界の対立的な感じとか、どうも古臭いステレオタイプをなぞっている感じで、別に20世紀の話を20世紀の価値観で描かなくてもいいんだよ今は21世紀なんだから、という気持ちもどうしても抜けなかった。21世紀の今だからこそ距離感を持って20世紀があのように描けるようになったというのはわかるのだけれども。
正義のためと自分を納得させつつ罪の意識もというテーマだと、最近、インドネシアでの共産党員等の虐殺事件を扱った「アクト・オブ・キリング」を再見したばかりなので、ちと物足りなかった。
マキノヤヨイです。創作集団こるびたるの中のひと(もしくは外のひと)。ここは、主に創作活動のゼミ発表的な使われ方をしている場です。