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🎞オッペンハイマー
ストレンヂアが良すぎて帰りの電車の中でニコニコ笑いが止まらず、「このままでは今夜クールダウンできず眠れない」と思って、この高揚感と勢いでなければ見る元気が出ないだろう長尺「オッペンハイマー」も見て来た。
原爆の映画というよりは、綺麗な「神話的20世紀」の映画で、そういうものとしての完成度は高かったと思うけれど、原爆の実害の描写が、炭化した死体の幻を踏んづけるのと、誰かの皮膚がめくれたような描写(むしろフェイスパックを剥がしているみたいに見える)だけなの含め、だいぶ観念的な罪の物語で、だからやはり「綺麗な映画ですね」という感想しか無い。それに、天才だがナイーブな科学者像とか、添え物的な女性の描き方とか、政治と科学の世界の対立的な感じとか、どうも古臭いステレオタイプをなぞっている感じで、別に20世紀の話を20世紀の価値観で描かなくてもいいんだよ今は21世紀なんだから、という気持ちもどうしても抜けなかった。21世紀の今だからこそ距離感を持って20世紀があのように描けるようになったというのはわかるのだけれども。
正義のためと自分を納得させつつ罪の意識もというテーマだと、最近、インドネシアでの共産党員等の虐殺事件を扱った「アクト・オブ・キリング」を再見したばかりなので、ちと物足りなかった。

ちなみに「アクト・オブ・キリング」は、虐殺事件の実行者達(社会的に成功して今なお安穏と暮らしている)に「あの虐殺を演じて映画にしてみませんか」と持ちかけ、彼らが実際に嬉々として映画を作る様子を追うドキュメンタリーで、色々な意味で正気の沙汰では無い物凄い作品です。予告編からして諸々だいぶえぐいけれども…
今は続編の「ルック・オブ・サイレンス」(「アクトオブ〜」の続編で、虐殺被害者の遺族の側から撮ったドキュメンタリー)ともどもアマプラで見られます。
youtube.com/watch?si=p9lDAZNon

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