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📗井上俊之・高瀬康司『井上俊之の作画遊蕩』

先日、不思凡監督の「大雨」の設定資料集を入手したのと、今後(待ちに待った)「羅小黒戦記」の設定資料集も購入する予定なので、今更ながら「アニメってどうやって作っているんだっけ…?」と思い始めて、羅小黒戦記関係で面白い話をしていたアニメーターの本、という程度の認識で読んでみた。
老若の優れたアニメーターと井上氏の対談集で、こちらは正直、名前も作品も聞いたことがあれば御の字位何も知らないので全然わからないのだが、井上氏の問題意識がぶれずに明確なので、それとの距離でわからないなりに地図が引けたりした。
本書における井上氏の関心は、絵コンテ工程と原画工程の間のレイアウト工程をアニメ制作の中にどのようなものとして位置づけるべきかで、この段階では(昨今主流の)原画寄りの詳細なものでなく、あくまでも演出意図を確認する最低限のものであるべきとの考えらしい。アニメ制作に限らず、組織の仕事で上の意図をどこでどう反映させれば手戻りなく手戻りなく質の高い成果を出せるかというプロジェクト・マネージメント全般のあるある問題なので、問題意識は理解できるし、あまり深掘りはされていなかったけど面白かった。アニメ業界の労働環境にも直結する話だし。

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こういう制作にあたっての各工程のあり方というかデザインみたいなものは、出力される作品によって最適なかたちが違うだろうし、とはいえ共通する部分もあるだろうから、海外も含めた色々なスタジオのやり方を知りたいと思った。大学や専門学校のアニメ専攻だと講義があったりするのかな。対談を読んでいると宮崎駿はじめ所謂「神」は普通の人間ではないので、「神」におんぶにだっこのやり方じゃあそりゃダメだよなとも思った。受け手としては、それなりに優れたスキルのある人たちが8時間労働の範囲でうまく回せるシステムを作ってほしい。

あとこれは全く個人的な問題意識として、小説書く時に、もっと構想ねりねりの段階から言語化したいな(そうしないと体力とメンタルが持たない)という気持ちがあったのですが、アニメ制作になぞらえると「絵コンテと(特に)レイアウトの工程をブラックボックスの外に出したい」ということなのだなということがわかってスッキリしました。

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