井辻朱美の第四歌集『コリオリの風』
基本的な作風はブレることなくファンタジー、音楽、恐竜、魚、歌舞伎などがテーマに選ばれている一方で、新たなモチーフとして〈道化〉が出てくる
巻末のエッセイで言われる通り異界を求める心理の変奏として、祝祭とともにさかしまの世界を象徴するものとして選ばれたのかもしれない
そして題字の菊地信義感が強いけど装幀は菊地信義
井辻朱美の第二歌集『水族』
解説は荒俣宏。歌人にしてアイルランド文学の訳者片山廣子と較べるのはさすが荒俣宏
タイトル通り、魚を歌う作品が多い一方、エッセイが掲載されていてなかでも「水族あるいはOtherness」は遂に文庫化されるアイヴァス『もうひとつの街』を連想せずにはいられない秀抜の作
ファンタジー詠、SF詠の開祖井辻朱美の第三歌集
届いてから気づいたけど帯文が塚本邦雄だ
で、塚本の言葉にある通り、井辻短歌は短歌に付き物の〈自己の発露〉を斥け、〈孤絶感〉に浸っている感覚があってかなり心地好い
過現未