コロンブスの表象に対する批判で「歴史を少しでも学べばこんなことにはならない」というものがあるけど、むしろ「少しだけ」学んだからこそこうなるんだと思います。植民地支配とか国家権力による暴力とかについては言及されないまま、あるいはある種の「偉業」として紹介されるため、言ってしまえば「なんかすごい人」という認識にしかならないわけです。江戸幕府のさまざまな政策が「260年もの平和な時代を築いた」ものとして肯定的に(少なくとも民衆に対する横暴な支配として批判はされないまま)教えられるのが、ほとんどの学校教育の環境なはずなので。
「コロンブスは新大陸を見つけたすごい人」という認識が世間一般のスタンダードであり、それが植民地支配や先住民の絶滅に関係する事柄であるという認識を持っているのは、極々少数でしかない。ソースは私。私は法政大学を出ているある程度の知的エリートだけど、修士に進まなければ前者の認識でとまっていたので。同期の多くは植民地支配という言葉は知っているかもしれないが、それが意味する「重さ」については知らないだろう。