「福嶋さんをひとりにしない」は狙って言いました。結局のところ、アリーナ論が業界の正解となってしまってから10年ほど、福嶋さんのほかにチェーン書店員でこの問題に関して公の場でなにか意見を発してきた者がほぼいなかったことがよろしくなかったということ(その福嶋さんですらアリーナ論に自信があったわけでもなく、アリーナ論を言い出した当時も差別やヘイトの問題にそこまで意識があったわけではなかったらしいし)。そしてこういうエモいことを言えば福嶋さんを権威とみなす者らが「動く」可能性があるということ。こんなやりかたをしないとならないこと自体が最悪だと思ったけど、現状が認識できただけでも収穫だと思うことにしました。
正直に言えば、この程度の認識の人が「出版業界における反差別反ヘイトの第一人者」とされてしまっているのか、ということに失望した感じです。でもそれは福嶋さんだけが悪いわけではない。批判的な応答をする「身近な存在」がいなかったことがいちばんよくない。そういう意味でも「ひとりにしない」は発せられているのだけど、それが汲み取られるかどうかはわからない。期待はしない。会場には「福嶋さんに会いに来た」みたいな人も多かったし。