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待つことが辛いのになぜ待つことを受け入れるのか骨が震える

こどもの頃、家にマザーグースのうたのレコードがあった。歌っていたのはキャロライン洋子さんだったと記憶している。訳詞は谷川俊太郎さんのものによるもので、歌と歌の間に谷川さんの読があった。ぼくが詩というものをはじめて意識した瞬間だった。その体験があったから、今でも谷川さんと言えばマザーダースを思い出す。訃報に触れて再び読んでみたいと思った。
ぼくにとってのマザーグースといえばOld King Cole、それとRide a cock-horce to Banbury Cross,たしかこの二曲は収録されていたと思う。

オリオンと出会う時間が日々早くなるように、なにかが毎日少しずつ変化している。その微妙な変化に気づくことなく、ある日突然随分と違っていたことに驚いたりする。変化には原因があるはずだけど、原因を知ったからといって変化を止められるというわけでもない。この街も変わってしまったと嘆くしかなくて、それでもその街の色に染まるか否かを選択することはできる。満足できないのであればまた歩き出せばいい。ぼくにとって歩くとは、たぶんそういうことなのだから。

浮遊している
いくつかの嘘
深く沈んだ
無色の記憶
いのちの数に
増減はなく
どんな姿か
違ってるだけ
午前一時の
羽は薄くて
どこに行っても
逃れられない
欲望が背を
伺いにくる

初冬の天文台。岬に吹きすさぶ風。薄い雲の向こう側で日が傾き始めている。日本海は季節を問わず雄弁だけど、そのメッセージを素直に受け取ることができない程度に波は激しい。車のラジオは札幌のFMを拾っていて、雑音混じりの洋楽が最果て感を盛り上げてくれている。見晴らしの良い丘にいて、ここからどこへ向かおうとも寂から逃れることはできないだろう。

流れる雲を見ながら、四半世紀ほど前の、北海道初山別村の光景を思い出している。こんな日はアイリッシュコーヒーを飲みたくなる。

あたたかい冬も過去にはあったけど今朝のスマホが軽く感じる

来週からは
十二月だね
ガラスの瓶も
ひび割れてるね
青い軌跡の
季節もおわり
気が抜けていく
ぼくのてのひら
不埒な雪が
降りてくるまで
醒めた時間は
過ぎ去ってゆく
捜しものなど
何もないけど
ぼくのことばは
熱をもとめて
ただれ続ける
さまよう先は
あぶら粘土で
つくられた部屋
そこでいいから
眠らせてくれ

試されるだけの朝しか来ないなら崩れてしまえイルミネーション

うつむいたきみのことばに雪が降る
ひたすら白いままのさよなら

雪の季節を
はじめる前に
すぐバレる嘘
ついてしまった
きみは黙って
きいていたけど
悟ったように
微笑んでたね
道はたちまち
昏くなるから
盗んだだけの
理屈ならべて
好きとか嫌い
論じてみても
こころの奥に
届きはしない
何を言っても
手遅れならば
ただ白い息
吐き続けよう
機械のように
樹海のように

あいまいなまま
季節は過ぎて
この体温が
誰のものかも
わからなくなる
静かな海に
愛想も尽きて
行くあてのない
嘘がはじまる
都合良いのは
お互いさまと
言ってはみても
自分ひとりが
秋の余白に
しがみついてる
だからといって
ひとりで踊る
わけにもいかず
読みかけの本
閉じてしまえば
そこにあるのは
にがい沈黙
受け入れるにも
排除するにも
逃げ道なんて
あるわけもなく
みぞれのままで
居られないなら
溶けない問いを
立てるしかない

静寂を破る(お風呂が沸きました)夢はだいたい泡になります

No Woman, No Cryとは言えなくてガラスの欠けた夜をみていた

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