キム・ボヨン著 斎藤真理子訳『どれほど似ているか』(河出書房新社)、受験戦争、女性差別、政治不信などの社会問題にSFアイデアを絡めて、さらなる思考実験を重ねる手付きがちょっとない感じで、読みやすい文体なのにその濃密さに一作読むたびに本を閉じて反芻しています。すばらしい。
マリコ・タマキ作 ローズマリー・ヴァレロ・オコーネル画 三辺律子訳『ローラ・ディーンにふりまわされてる』(岩波書店)、すごいよかった…! 多様なクィアが当たり前となったティーン世代の恋模様や友情の物語なんですが、終始心がざわつきっぱなし。ある人からの〈返事〉には感動してしまった。
塚本邦雄『夏至遺文 トレドの葵』も頂きました。こちらは瞬篇小説集の『夏至遺文』と『トレドの葵』を一冊にまとめた本。瞬篇とは塚本邦雄によるショートショートや掌篇のことなのですが、瞬きどころか目が開きっぱなしになるような濃密さ。
とりしまです。Dempow Torishima 絵と小説をかきます。最新刊は長編『奏で手のヌフレツン』。著書に『皆勤の徒』(英訳版、仏訳版も)『宿借りの星』『オクトローグ』『るん(笑)』、高山羽根子さんと倉田タカシさんとの共著『旅書簡集ゆきあってしあさって』。SFマガジンで「幻視百景」連載中。