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話題を求めN校舎を訪れる配信者は後を絶たない。
しかしそこを訪れた者たちは口を揃えて、「夜な夜な歩き回る配信者の霊を見た」と言い、配信をやめてしまう。
配信の向こうの真相を知るものは、誰1人いない。

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【チャット欄のコメント】
「これマジ?」
「ヤラセ乙」
「何番煎じだよ」

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いっくん「ん、あれ」
いっくんの配信している映像にブレが起きた。
画面はあっくんの時と同じように横転し、いっくんやその撮影班の慌てふためくような音が聞こえた。

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【チャット欄のコメント】
「その辺侵入禁止になったんじゃなかった?」
「撮影許可撮ってるの?」

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いっくんは同行している撮影メンバー共にN校舎へ侵入した。
いっくん「なんでもここでは過去にこの学園の生徒を閉じ込めてコロシアイなんかさせちゃったりだとか!
その事件で亡くなった生徒たちの怨霊があっくんを連れ去ってしまったんですかね〜…」

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「はいど〜も〜!自称2代目あっくんこと、心スポ巡りTouTuber いっくん です!」

いっくん「今日はですね〜、僕が尊敬する超人気心霊TouTuber
あっくんが配信中に消息を絶ったとされる現場に来ましたよ!」

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その配信後、あっくんはTouTubeにもSNSにも姿を現すことはなかった。
大物TouTuberの突然の失踪に世間は驚いた。
それから数日後、話題性を狙ったTouTuberたちが続々と、あっくんが消息を絶ったとされる廃校舎へと訪れた。

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【チャット欄】
「何???」
「あっくん!?」
「こわいこわいこわい」
「とうとう祟られたか」

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『のんびり心霊さんぽ』の配信中の画面には、横転した映像が映し出された。
それと同時に映る不気味な人影。
そのまま画面はブラックアウトした。

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あっくん「こちらのスポットはですね、○年前に高校生を十数名を監禁し、◾️し合いをさせたという凄惨な事件が起きたと言われるスポットなんですよ」
「この校舎を訪れた人たちが言うには」

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その2つの目的を果たせる可能性があるなら、始めてみるのもアリかもしれない。
強制されるものでもないので、もし活動の必要がなくなればやめれば良い。
そんな動機で始めたのだ────

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あっくんはその呪物を『かわいいネコチャン』と呼んでいる。
その名の通り猫の形をした置物である。戦時中、海外から日本へお土産として持ち込まれたものであり、
それを所持していた者の耳が聞こえなくなったり、もげたりするという話がある。

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そして『優勝者の願いを叶える』という文言は、かなり興味深かった。
前々から欲していた【猫の呪物を手に入れる】ことができるかもしれない。

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妻も心霊やオカルトといった話が好きで、そもそもこの夫婦が仲を深めたのは、その『怖い話好き』という共通点があったからだ。
彰浩は考えた。今の趣味をTouTube動画という形で提供できれば2人は喜んでくれるのではないか。

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はる「そうだよ。パパの話すごく面白いから絶対人気者になれるよ!ネットリテラシーについてもパパなら全然心配ないし」
意外にも肯定的な妻の反応に彰浩は驚いた。
だが、それだけ自分の話を楽しんでくれているのかと思うと満更でもない。

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娘・なつみ「お願いかなえてくれるって!パパ、トゥーチューバーなろ~よ!」
彰浩「え~?パパ何も面白いことできないよ」
なつみ「パパの『オバケ』のお話すごいおもしろいよ〜!ね、ママ!」
夫と娘のやりとりを、妻のはるは微笑ましそうに聞いていた。

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もっとこの趣味で妻と娘を喜ばせることはできないか。
そんなことを考えた矢先、大人気TouTuber チョマテヨより『Top of the Tube』の開催が告知された。
それを観ていた娘が──

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