訃報
勝手に(人の死に際してその本人でない人たちが何かを語るのは多かれ少なかれ勝手に〜という性質を帯びているし、わたしは近縁者でも活動を熱心に追っていた人でもないのでこう書きます)差別的な言説が深く浸透し日常的な様々なところに顔を覗かせること、それが絶え間なく、終わりを想像できないほどの勢いで続くこと、続いていることの関連を直観してしまい、それ含めてショックを受けています……。
冥福をお祈りします……と言うべきなのかもしれないけれど、嫌悪が、憎悪が、所構わず表明され、増幅され続けるような状況下で、トランスや二元的で固定的なジェンダー規範のなかで生きていくことができないと感じている人たちに冥福や「安らかな眠り」とされるようなものってあるの?ありえるの?と思う気持ちのほうがいまは強いです……
その③:トランスジェンダーの法的性別登録を修正するための性別承認法における不妊化要件についての論文が、査読を通ったとの連絡を受けました。秋ごろに論文が公刊されます。不妊化要件とは、不妊状態でなければ性別表記を書き換えてはならないというルールのことです。日本の特例法には依然として存在していますが、世界では急速に撤廃が進んでいます(その詳細は『トランスジェンダー入門』を参照)。そして日本でも今年、最高裁の大法廷においてその要件の違憲性が審議されることになっています。今回の査読論文では、このような非人道的な条件が、なぜ歴史的に性別承認法に書き込まれてきたのか、その「不妊化理由」を大別・列挙したうえで、倫理学的に各項を吟味・批判しました。わたし自身はじめてのトランスジェンダーについての研究論文になります。研究者としてコミュニティに貢献できること、誇らしく思います。
銀河さんの朝日の記事読みたい…!朝日の記事に読みたいものがままあるのでそろそろ朝日新聞デジタルの有料会員に、なるか……
『射精責任』について長らく引っかかっていたことを、わりと元気になってきたので今更ながら。
担当編集の方曰く「(引用註:著者は)本書をあくまでシスジェンダーで異性愛者のための記述と限定しつつ、トランスジェンダーの人々の経験を軽視しないよう警告しています!!」(https://twitter.com/fujisawa0417/status/1670539611968512000?s=46&t=6iC4LFfmRkJ8gyRYFuUkVg) とのことだけれど、妊娠・出産という異性愛者のシスジェンダーの人たちに限定されない事象について、トランスを排除した語りをしているのが問題なのでは、とやはり思います。
シスジェンダーに限定する意図は「わかりやすさ」のためだとかいろいろありえますが、なにかしらの意図や目的があったとして、トランスアンブレラの人たちのことが見えていてそのうえで語りから排除するのは正面切っての排除と同じくらい根が深いというか……。
『われらはすでに共にある 反トランス差別ZINE』が増補改定のうえ、『われらはすでに共にある 反トランス差別ブックレット』になって現代書館さんから刊行されます!!!!!
重要な論考が3本追加されてますので、すでにお持ちの方もぜひよろしくお願いします!!!!!!!!!
『反トランス差別ZINE われらはすでに共にある』が新たに論考・エッセイ3本とブックガイド4本を加えたブックレットととして商業出版されることとなりました。現代書館さんより8月下旬刊行予定です。どうぞよろしくお願いします!
ISBNの取得でいままで限定的だった流通がぐっと広がって、書店への取り寄せや学校や各自治体の図書館への納本のハードルが下がったのがうれしいです!
内容の増補とはいえすでに一定部数流通したものを商業出版に踏み切っていただいたことや、いち早くお話をいただいたこと、そしておそらくこれから公開になることなどなど現代書館さんにはほんとうに感謝、感謝です!
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784768459478
バトラー、文芸 │ nonbinary(they/them)・asexual│ 文芸同人誌「花と青」 https://researchmap.jp/aomoto-yuzuki