“ホムペ”更新しました
https://lit.link/abetoryu
昨晩から、最新話まで読んだ(単行本も買った)『ふつうの軽音部』がなぜこんなに面白いのか/どこを面白く感じているのか、をずっと考え続けており、今日『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:』を観ているときにも考えてしまっていたのですが(映画に集中しろ!)、いまだに上手く言語化できていないです。色々な方向から検討してみようと、「自分だったら、この話をどう要約して企画として売り込むか?」という問いを立てたものの、どうやっても「人間関係エスピオナージが~」とか言い出して、いやそれは幸山厘だけの話じゃねーか! となりました。同じ路線で、「人間関係の破綻によってメンバーが集まっていくことでドラマの上昇と下降が~」とかいうラインも結局ほぼ「人間関係エスピオナージ」になるし、そういうのじゃない何かなんですよね。おれってどうしたらいいでしょうか?(本日のテレフォン人生相談)
『The Cosmic Wheel Sisterhood』をクリアしました。
お、おもしろい……。
現代魔女SFで、宇宙で、シスターフッドだ! そのうえ、思いがけないほど直球にポリティカルで嬉しくなり、ゲームとしての/語りとしての完成度も傑出しており……。いやあ、唸りました。キッチンカーでピザ作るとこでもう泣いちゃった!(さすがに早くないか?)
とりわけ急所に入ったパートのひとつは、フォルトゥーナの力が過去にも及ぶくだりでした。「善き過去」を作るところの一連のやりとり、涙なくしてはプレイできず。なぜならそれは、彼女のべらぼうに思える「現実改変」能力が、しかしわれわれと、われわれの持つ力と――彼女がかつて有限生命体であったのと同じように――地続きであることの証左だと思えたからです。つまりはそれって、過去と未来を想像する力に、ほかならないじゃないですか。そんな理解を、こんな形で、手触りで、手渡されたら、呆然と立ち尽くすしかなかったですよ。
これは、物語についての物語で、ゲームについてのゲームで、なによりも、想像力についての想像力なんですね。
大傑作でした。
『SF作家はこう考える』の近藤銀河「過去に描かれた未来 マイノリティの想像力とSFの想像力」(同書の中でも最も重要な寄稿だと思います)に対して抱いた感想がさっき急に言語化されたので書いておきますが、「SFにこんなに期待してもらえて嬉しいです……」ですね。おまえは何の立場なんだ? という感じですけど、これが率直な気持ちです。
作家(阿部登龍)。第14回創元SF短編賞受賞作「竜と沈黙する銀河」(紙魚の手帖vol.12)、「狼を装う」(同vol.18)。SFとファンタジーと百合とドラゴンとメギド72が好き。
お仕事のご依頼は東京創元社までどうぞ。
通販 http://abe-dragonslay.booth.pm