そう言いながら自分もlit.linkを貼っていなかったので貼りました。
QT: https://fedibird.com/@abe_dragonslay/113586838551361532 [参照]
『香港警察東京分室』を第一章まで読んだので、POVの技法について考えました。
本作は複数の三人称限定視点による、いわばクロスカッティングの技法で描かれています。ほぼ全てのカット――ここでは「空白行と視点人物変更により区分された場面単位」のことです――で、基本は一行以内に、遅くとも三行以内にそのカットの視点人物を明示するというのを徹底していますね。例外は片手の指に収まる程度で、視点確定までにページを跨いだのはおそらく一箇所、そもそもの「分室」の設定説明のパートのみだと思います。また、視点確定までが長めになるカットはたいてい、新しく移った舞台を描写するときで、いわばロングショットの効果をもたらしていますね。あとはアクション展開に入ったあと、視点確定がなされないことで不安感を煽る、という使い方が一箇所あったでしょうか。以上の技法によって、本作はクロスカッティングによる緊迫感と高いリーダビリティを両立させているといえるでしょう。
このめちゃウマ小説は『香港警察東京分室』です。いま「それはそう」って言いましたか?
QT: https://fedibird.com/@abe_dragonslay/113582996489690901 [参照]
作家(阿部登龍)。第14回創元SF短編賞受賞作「竜と沈黙する銀河」(紙魚の手帖vol.12)、「狼を装う」(同vol.18)。SFとファンタジーと百合とドラゴンとメギド72が好き。
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