スナウラ・テイラー『荷を引く獣たち: 動物の解放と障害者の解放』(今津有梨 訳)を読みました。
今日話していたのはすべてこの本のことで、なぜなら今日一日じゅうこの本を読み続けていたからです。付箋だらけになりました。直近の資料にはならないですが、次の次の次の次の次の次の小説(予定)は、大いにこの本に依ったものになるでしょう。インスピレーションを受けたポイントを書くわけにもいかないので、ふわっとした所感や気になる点をメモ。
・(批判的な含意はなく)話題がやや散漫な気がしましたが、どうやら全て書き下ろしではなく、一部は異なる媒体に寄稿した文章もあるらしいので納得しました
・最終章はエモーションに寄せすぎでは? という感じもしました。結論を保留に/開いた(それ自体は問題ではないと思います)あとでこの章なので、余計に感傷で締められた印象があるのかも。うーんでもちょっと都合のよすぎる場面選択な気も……
・自然科学的側面から見た「家畜化domestication」あるいは「家畜化症候群domestication syndrome」についてのテイラーの見解を聞いてみたいです
・同じく「培養肉」についても聞いてみたい。個人的には、それが最も有望な選択肢なのではないかと思っているのです(なのでああいう小説を書いたので)
リンネが人間を「動物」としてカテゴライズするために作り出した「哺乳類」が、乳房という「女性的(・非白人的)」な要素によって種を特徴づける用語なのに対して、人間をその他の動物から特徴づけるための「ホモ・サピエンス」がman of wisdomを意味する、明らかに「男性的(・白人的)」な性質をもつ用語であるという指摘、鋭すぎて泣いちゃうな。
【祝】ジョン・スラデック『チク・タク×10』(竹書房文庫)がSFが読みたい!2024年版[海外篇]の第1位となりました!
竹書房からは初の1位ということもあり、それも含めて嬉しいです!
投票してくださったみなさんありがとうございました!!
それにともなって、『SFが読みたい!2024年版』では竹書房の水上志郎さんを聞き手にした鯨井久志インタビューと、鯨井監修によるジョン・スラデック邦訳作品全レビュー(鯨井、坂永雄一、白川眞、林哲矢、伴名練、鷲羽巧。敬称略)が掲載されています。
そちらもよろしく。
作家(阿部登龍)。第14回創元SF短編賞受賞作「竜と沈黙する銀河」(紙魚の手帖vol.12)、「狼を装う」(同vol.18)。SFとファンタジーと百合とドラゴンとメギド72が好き。
お仕事のご依頼は東京創元社までどうぞ。
通販 http://abe-dragonslay.booth.pm