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阿部登龍先生の「竜と沈黙する銀河」を読了…阿部先生のライフワークとも言えそうな竜を巡る、個人の過去から宇宙規模にまで膨らんだ壮大な話だった
文章の疾走感が心地いいと同時に、冒頭の切ないシーン含め感情を呼び起こす描写もある
こちらも傑作なので竜が好きな方々はぜひ

なんというか、多段落ちというか、「多段改変歴史」とも言える世界設定の組み方が圧倒的だった
60年代から異星文明の技術で生物学などが進歩している、と思ったらまさかのって感じだし、その起点の設定もドラマチック
途中でアフリカの小国が出たと思ったら、そういうことか!って膝を打った

糸川乃衣先生の「定点観測」読了…
3作の中で1番好きかもしれない
とある種の視点で語られる過去と、延々と続く定点観測
その正体は途中で明かされるものの、途中から流れる不穏な様子に先の見えない不安…と思ったら…!
関元聡先生の「リンネウス」とか好きな方はぜひ

糸川乃衣先生の「我らは群れ」をようやく買えたので、既読の「叫び」(やはり心を締め付けられる話だ)に続いて、カイコがテーマの「飼育」を読了
中盤まで読んだ時はある種のフェティシズムに近いのかなと思ったが、違う
カイコのコは蠱惑の蠱ではなかろうか

読み進めるにつれ現出するある種の恐怖はもちろんのこと、家畜化のもう一つの側面「利用されているのは誰か」に焦点を当てた作品だと思う
同時に、人間と家畜の関係を「叫び」とは違う、ある種の復讐という形で表している気がする

琴柱遥先生の「枝角の冠」読了
冬の野山に乾いた血の匂いが漂うような雰囲気の作品
父たちのビジュアルや生態が効果的に描写されていて、2つの世界で揺れ動く主人公含め、美しい物語だった
ラストは主人公が教えられたあの言葉を反映して、ってことだろうな

電子書籍で買った溝渕久美子先生の創元SF短編賞受賞作「神の豚」を読了
凄い…これが大賞の実力…!
あらすじだけ見ると少し不思議な穏やかな話、かと思いきや、舞台となる台湾の文化や現在過去未来、そこに生きる人々やアイデンティティが、謎の子豚と神猪のお祭りを通して交錯する人生の物語だった

とりゅう先生の「竜と沈黙する銀河」を買わないと…でも「枝角の冠」も「コズミック・アルケミスト」も「我らは群れ」もほしいのだ…

稲田一声先生の創元SF受賞作掲載+阿部登龍先生の「狼を装う」なる新作が載ると聞いて紙魚の手帳が急激に欲しくなってる

やめろ、やめてくれ
俺は今月銀河風帆走と一億年のテレスコープを買わなきゃいけないし、9月頭には関東に行くんだ…

というわけで今日は「2084年のSF」より
「かえるのからだのかたち」
「混沌を掻き回す」
を、
「地球へのSF」より
「クレオータ 時間軸上に拡張された保存則」
「持ち出し許可」
「鮭はどこに消えた?」
「竜は災いに棲みつく」
「ソイルメイカーは歩みを止めない」
「砂を渡る男」
を読んでおりました

どれも素晴らしい…

そういえば、たまにSFである「動物の脳を集めて作ったコンピューター」って、やっぱり種ごとにスペックというか得手不得手の違いが生じると思うんだけれど、それならそれぞれの種の神経細胞を培養して作った脳オルガノイド基盤のコンピューターだったらどうなんだろう

同じ大きさでも使われる神経細胞の元の種が違うことで、得手不得手とかに違いが出るのなら、それは脳の違いというより神経細胞の差異を拡大したようなものにならないだろうか?

素人考えだけれど、「動物の脳をそのまま使ったコンピューター」なら動物染みた挙動が期待できそうな一方で、神経細胞の培養によってできたコンピューターなら脳という器官と構成が異なるわけだし、元の動物の反応を再現するのは難しそうだし、演算のさせかたも別のアプローチが必要になりそうな気が

Yoshitugu Tuduki さんがブースト

【お知らせ】
Kaguya Planetのリニューアルに伴い、メンテナンスのために閉鎖していたKaguya Booksのサイトを復旧いたしました。

好評発売中の『野球SF傑作選』や、7月13日刊行の『Kaguya Planet vol.2 パレスチナ』など、Kaguya Booksを今後もよろしくお願いいたします。
books.kaguya-sf.com/

様々な種が共存する獣人世界で、獣人たちはどれだけの「自分たちにしかない概念」を持ち寄れるだろうか

それを自分自身が理解できずとも、社会そのものが持つ概念として受容できるだろうか

「かつては、どの種にも通じる歌を、ということで種やグループ固有の概念を歌詞の中に入れることがないことが多かったが、近年は個々の種の尊重として、様々な概念を歌詞に取り入れたり、鳥人の伝統的なフレーズや、イルカやコウモリの探査音を取り入れることも多くなっている」みたいな獣人歌事情

海洋惑星に知性が存在するっぽいので色んな反応を試してみたら、どうもコミュニケーションが可能っぽいものの話がその時々で食い違う
ひょっとして異なる人格を持っているのではという疑いから潮流や潮汐によって人格が変わる説が提唱されるがコミュニケーションはうまくいかない

そんな時に惑星内の生物調査をしているチームから連絡が
なんか生き物の動きに規則性があるような…?
調べた結果わかったのはこの惑星、覆っている海とそこに暮らす生物による生態系が別々に知性を持っており、コミュニケーションが食い違うのはそれぞれ方法が違うからだったのだ

というわけでこのままにしておくべきか人格統合を望むか当の本人に聞くことに
それの出した答えは…

タイトルをつけるなら「デュアルフェイスの惑星」で

サショーさんのアイデアに乗っかるけれど、ソラリスのように惑星を覆う液体の海そのものが知性を持った場合、その内部の流れがその思考に影響を与えることは考えられる
ということは、衛星がある場合は惑星と衛星を合わせて知性と言えるのでは
潮汐があるのだから

となると、その知性の体内時計は衛星の公転によって、もっと大規模な時間感覚は惑星の公転によって行われる
もし衛星が月のように徐々に離れたりしているならば、それございます思考に影響を与え、その知性の成長あるいは老化と言えるのではなかろうか?

Yoshitugu Tuduki さんがブースト

永田礼路先生の描かれた「メランコリック・ダイバーの浮上」を読了…侵襲型のインターフェースによる精神病理の寛解や、脳機能の向上、そのメリットとデメリットを感じることのできる、希望と警句が混じった傑作SFだった
作中の人間らしいある人物から終盤に語られる言葉が印象的
neu-world.link/posts/Z-mACm2o

Yoshitugu Tuduki さんがブースト

シカ獣人はオス同士の闘争や群れの防衛に角を使ってた時の名残で「角には悪いものを引っ掛ける効果があり、生え替わりの時に悪いものごと角を落とすということになっている」「落ちた角には悪いものが溜まっているので、特定の祭壇に保管し、ある時期が来ると祭壇ごと『お焚き上げ』する」文化がある

なお、近代化して以降はこの文化は地方の風習として変質し、都市部ではシカ獣人の信仰と習合した宗教施設で処理されることも多い
なお、獣人世界の映画では「放置され悪いものが溜まり続けた祭壇を軽薄な獣人が開けてしまう」という定番ホラージャンルもあり、角が全身から生えた怪物とかが襲ってくる

ヴァン湖に怪獣がいるかどうかは眉唾かもしれないが、コイ科とフクドジョウ科の魅力的な固有種は棲んでいるぞ
いつか生きた姿で見てみたい

トルコのヴァン湖(UMAジャノで有名な湖)のソーダな湖の湖底に穴掘って住んでるドジョウと、アフリカの、最大pH10、塩分多くて水温も42℃ある湖に棲んでるシクリッド、混泳できたりしないだろうか

今調べたらトルコのヴァン湖に分布する唯一の魚と言われて「いた」パールマレット(英名がややこしい)というコイ科の固有種だけれど、どうもウグイ亜科に属するようだ
どうなってるんだウグイ亜科 恐山にはpH3.2ぐらいになる湖に棲んでるウグイがいるんだぞ、なんだこのタフなグループ

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