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そういえば、他種の動物は別種の動物の個体を見分けられるのだろうか?

以前、玖馬巌さんが書かれた短編では、クローン同士やオリジナルとでは、遺伝子が同一でも別の存在であるという事実を、表現型可塑性と交えて論じていたけれど
それではスワンプマンのような、肉体的には完全に同一の存在もまた、表現型可塑性のように、別人としての振る舞いをするのではなかろうか

うまく表現できないが、同じ情報でも表現型として確立した瞬間から、同じ位置から落としても周辺の状況によって落ちる位置が変わるように、シミュレーションの難しい、可塑的な運命が起こりうるのでは
という胡乱な考え

津久井五月さんがnoteに投稿された短編「川田さんの遺書」を読了
近所の老人の死から始まって、少女が成長し、世界の解像度を増し、仄かな苦しみや迷いを抱えるのを、老人に関わる不思議な物体を交えて書かれた青春譚
内心で世界の解像度を上げるくだりの鮮やかさが印象的
note.com/tsukkuny/n/nfdcc7576f

津久井五月さんがいきなりPixivFanboxに投稿された、「ラスト・サパー・アンド・ファースト・サマー」を読了
都市機能含むほぼ全てを仮想空間に写した世界
仮想空間に移住する前に「製造」される子供達と、それでもそこにポリシーを持つ老いたシェフ
その最終夜のディナーの物語

今まで見てきた津久井さんの作品群にはあまりない、何処と無く容赦の無い大人っぽさ、成長の残酷さ、拗れた関係が強調された、希望が待っているはずなのに無常感を覚える作品だった
これは自分も好きな作品かも
仮想空間に移住する題材でよく疑問に思う「住民はどこから?」にも焦点が当たっていた

あと、これまで津久井さんは、分子料理、自分で栽培した野菜、昆虫などを用いた独創料理などを描写されてきたが、ここまで精密で、感情を喚起させるような料理の描写を見たのは初めてだ
ひょっとして料理テーマも得意なのでは、と思うレベル
というわけで、終末世界のディナーを見たい方、おすすめです

リンクはこちら

tsukkuny.fanbox.cc/posts/80642

これだから政治にかまけた相手は苦手なんだ

もう右も左も自分が好きな事物の方向いてくれない身としては右翼とか左翼とかどーでもいい
勝手に罵り合っててくれればいいんだけれども、こっちに飛び火して「環境保全は右だ左だ」なんてラベリングされて政治ゲームのおもちゃになるのは本当に本当に困る

うわ、勘弁して、って事例が出てきた
散々バズったり炎上したりしてた人(表現の自由の理念をミソジニーと結びつけて台無しにした一人)が環境保全(森林の保全)にまで無理のある難癖を付けてきたらしいのだが…
表現の自由についてだけでなく環境保全方面も焼け野原にする気だろうか
本当に勘弁して欲しい

自分の不甲斐なさというか無神経さに頭を抱えている一方、言われてしまった「マジョリティ仕草」というのがどうにも頭に引っかかって取れない
一応、属性としてはマイノリティの面がある(ケモナーとかそういうのではなく)のだが、カミングアウトしたくないのでここでは明かしていない
自分はマジョリティの面からしか事物を見られないのなら、いっそマジョリティ側になってしまった方が楽なのかもしれない

最後に、津久井五月さんの「われらアルカディアにありき」読了…これは最後に読んで正解だったと思う
環境調整とエネルギー用の遺伝子操作家畜、という斬新なアイデアと、牧歌的に見えるその飼育事業の欺瞞、という話がどう転ぶのか、と思ったが、その顛末はあの絵の如く鮮やかでグロテスクだった
どうやら本作にはボツになったらしい「牛泥棒」の要素が入っているらしく、DMTRや善玉マイクロマシンなど、随所に以前読んだ「牛の王」との共通点が見られる
もし同じ世界設定となるのなら、このまま家畜とマイクロマシンによって変貌していく環境や社会が見てみたいものだ

続いて、エラ・メンズィーズ氏の「雨から離れて」を読了…温暖化によりダメージを負った地球環境が回復し、尚も生態系と人々の心に消えない傷を与えた未来のお話
母親の、温暖化時代の苦難を忘れられず我が子を縛り付けてしまう描写と、母と一緒に自由になりたい主人公のすれ違いに胸がしめつけられる
planet.kaguya-sf.com/stories/t

化野夕陽さん作の「春の魚」読了 不思議な作品だ…文体は美しいのだが、同時に夕暮れの凪いだ時間を想起させて、寂静みたいなものを感じさせる ただの、科学の面から魚が好きなだけである自分とは、異なる世界を見つめている人々が感じられる、独特な作品だった 叙情的な温暖化SFと言うべきか

続いて琴柱遥先生の「フラワーガール北極へ行く」
あまりのギャップに風邪を引きそうなぐらいのお祭り騒ぎ、臨場感のある描写は情景が躍り出て来るようだ
動物がヒトの遺伝子を受け継いでヒトに組み込まれ、ヒトが動物の体を被る未来
きっとこの世界では、同じような光景がそこかしこであるのだろう

関元聡さんの「ワタリガラスの墓標」を読んだ…圧倒的な内容と筆力に驚嘆する一方で、自分はこの作品が示す世界をどう捉えていいのかわからない
数多の種の屍の上に立っていることを嘆くべきなのか、浅ましく争い生命の戦略に呑まれる人類を嗤うべきなのか、あるいはもっと先の世界を歓喜すべきなのか

ふと気になってネトフリの「地球外生物の世界」(Alien Worlds)のスタッフについて調べていたら
スペシャルサンクスにディクソン先生のお名前が!!
あと、クリーチャーアーティストのジョエル・ベスト氏は名探偵ピカチュウにも参加経験があるらしい

さっきたまたま「トゥモローウォー」という作品の情報を得たのだが、ちょっと怖そうだし見られるかどうかわからない一方で、クリーチャー(ホワイトスパイクというらしい)のデザインと動きがやたらかっこいいので気になっている
見た目はいかにもホラーだが、動きがオオカミみたい
調べたら、ホワイトスパイクのデザインはKen Barthelmeyという方で、アクアマン失われた王国などでクリーチャーデザインなどを担当されているらしい
ということはシリーズとしてバーロウ氏の後任になるのかな(アクアマン第一作のクリーチャーデザインはバーロウ氏なのです)

自分のお気に入りは何より、一昨年のSF大賞に推薦した「分子の手紙とシャボン玉の封筒」
受容体をインプラントして植物とのコミュニケーションが可能になった世界の短編なのだが、同じく藤崎先生作の「螢女」「ハイドゥナン」を読んだ身としては
「これさえあれば誰でも例外者に…」という思いが強い

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