以下本文引用――“ドイツ人をこんな風には殺せなかっただろう、人間だからな。俺たちは――何だと思う?黄身だよ”“僕は(諜報活動を)母のためにやったんだ”“日本のために働いていた”――引用ここまで。()内は私の補足。
この黄色人種への差別の様子、差別される側の心の機微を1947年に鮮明に描いている点が私が唸ったところだ。
自分はサトウ(=友)がいるならヒロシマに原爆は落とさないと言う主人公に、自分一人が見知らぬ二十五万人より重要なのか?とサトウが反論するところも、この面会後の主人公とアメリカ軍大佐との会話もすごい。
ヨーロッパに生まれ暮らす(大戦の最中に!)レムが、遠い東洋の負けた、ろくでもないとされていた国の人間に対して、戦後すぐにこうした描き方ができる。想像力が人間にとって重要であり、強力な力であることを感じる。
すごいタイミングで読んだな、と思ってる。