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「中枢神経系はもはや、感覚から入力を受けて筋肉に放出するだけの独立な器官であるとは思えなくなった。それとは反対に、中枢神経系のきわめて特徴的なある種の機能は、循環する過程としてのみ説明できるものである。この循環する過程は、神経系から発して筋肉にゆき、自己受容性の感覚を伝える末梢神経か、別な特殊な感覚であるかを問わないが、いずれにせよ感覚器官を通して、再び神経系にもどってくるものである」39頁

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「ビゲロウ氏と私が得た重要な結論は、随意運動においてとくに重要な要素は、制御工学の技術者が ’フィードバック’ とよんでいるものであるということであった」36頁

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「だいぶ前から、ローゼンブリュート博士も私も、すでに確立された科学の諸分野のあいだにあるだれからも見捨てられている無人地帯こそ、これから稔り豊かに発展する見込みのある土地なのだという確信を、おたがいにもっていた。…
 科学のこういう境界領域こそ、有能な研究者に最も稔り豊かな好機を与えるものである」27-9頁

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「学習機械の概念が、われわれのつくった機械に適用されるのであれば、動物とよばれる生命のある機械にもこの概念は意味をもつにちがいない。それは、生物学的サイバネティックスにも、新しい光を投げかけるであろう。この方面の最近の数多くの研究の中で、生物体のKybernetics(綴りに注意されたい)についてのスタンレー-ジョーンズ(Stanley-Jones)の本を特に挙げたいと思う。この本では、神経系の活動レベルを保つフィードバックと、特別の刺激に反応するフィードバックに多くの注意がはらわれている。系のレベルと個々の反応の関係は、かなりの程度乗法的なものであるので、当然非線型とな…る」19-20頁

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「学習する機械の考えは、サイバネティックス自身と同時に生まれたものである」16頁

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「どんな種類にしても、ある種類の分子を考えるとき、すでに存在しているものと同じ姿に、他の分子が作り出されるということは、工学で ‘鋳型’ を用いるのによく似ている、とはよくいわれていることである。工学では、機械の機能を決定する単位を型(pattern)として、他の同種の単位を作り出す。鋳型のたとえは、静的なものであるが、遺伝子分子が他の分子を作り出すには、何らかのプロセスがあるにちがいない。わたしは仮説としていってみるのであるが、生物学的物質の同一性を決定する型(pattern)の要素は、ある周波数、分子スペクトルとかいうべきものの周波数であるかもしれない。そうすれば、遺伝子が自ら組織化すること(self-organization)は…周波数の自己調整の一つの現われということになろう」16頁

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「生物学的には、たぶん生命現象の中心であると見られるものと、[装置の工夫との間に]少なくとも類似なものを見出すことができる。遺伝が行なわれ、細胞が増殖することができるためには、細胞の遺伝物質を担う部分——いわゆる遺伝子(gene)——が、自分に似た別の遺伝型質を担う構造を作り出すことができなければならない。したがって、工学的に構成されたものが、ある手段によって自分と同様の機能をもつ他の構造物を作り出すことができ、その手段がわれわれに知られるということは、たいへん興味のあることである」15頁

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「単純な線型フィードバックの研究は、科学者たちをサイバネティックスに注目させるために重要であったが、フィードバックは最初に思われていたほど簡単なものではなく、線型なものでもないことがわかってきた」7頁

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Wiener, Norbert. (1948→1961) Cybernetics: Or Control and Communication in the Animal and the Machine, 2nd edn, The MIT Press.
=1956→1962→2011 池原止戈夫・彌永昌吉・室賀三郎・戸田巌訳『サイバネティックス——動物と機械における制御と通信』岩波文庫

「純粋に客観的な個々の観察をいくら大量に集めても、確率という概念が正当であることを証明することはできない。言いかえれば、論理学における帰納法の法則は、演繹によって樹立されることはできない。帰納的論理、すなわちベーコンの論理は、われわれが証明しうる種類のものではなく。われわれが行動の土台にしうる種類のものであり、それに基づいて行動するということは、信仰の最高の表明である」206頁

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「自然は法則に従うものであるという信仰なしには、いかなる科学もありえない。どんな大量の実例も、自然は法則に従うということをけっして証明することはできない」205頁

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「科学者の戦いの相手である悪魔は、かく乱を加えてくる悪魔であり、意図的な敵意をもった悪魔ではない。自然はエントロピー的な傾向をもつという見解は、アウグスティヌス的なものであり、マニ教的なものではない」202頁

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「生きているということは、外界からの影響と外界に対する働きかけとの絶えざる流れの中に参加しているということであって、この流れの中でわれわれは過渡的段階にあるにすぎない。いわば世界の有為転変に対して生きているということは、知識とその自由な交換の絶えざる発展の中に参加していることを意味する」128頁

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「情報はそう容易に保存されることができない。なぜなら…伝えられる情報の量は、エントロピーという非加算的な量と関係があり、しかもエントロピーとは符号と数値係数が異なるだけである。閉じたシステムの中ではエントロピーは自発的に増大する傾向があるのに対し、情報は自発的に減少する傾向がある。また、エントロピーは無秩序さの程度を表わすのに対し、情報量は秩序性の程度を表わす。情報とエントロピーは保存されないので、どちらも商品とするには適さない」122頁

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「要約すれば、身体の個体性は石のそれではなく焰のそれであり、一塊の物質の個体性ではなく形態の個体性である。この形態は伝送されることも、変形されることも、複製されることもできる」106頁

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「一個体の肉体的な自己同一性は、それを構成している物質に存するのではない。物質代謝に参加する元素に標識をつける最近の諸方法により、元素の交代が、人体全体についてのみならず、人体を構成するどの部分においても、長らく考えられてきたよりもはるかに速やかに行なわれていることがわかった。一個の生物の生物学的個体性は、或る種の過程の連続性と、その生物のもつ自己の過去の発達の効果についての記憶とに存するように思われる。このことは、その生物個体の精神的発達についてもあてはまるように思われる。計算機の言葉で言えば、一個の精神の個体性は、それの初期テーピング〔プログラミング〕と記憶との保有と、すでに設計されている線に沿ってのそれの継続的発達とに存する」105頁

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「ある種の有機体、例えば人体は、しばらくの間自己の組織度を維持してゆき、しばしばそれを増大さえさせてゆく。それは、エントロピーの増大とカオスの増大と分化の解消の一般的な流れの中の一つの飛び地に似ている。生命は、死んでゆく世界の中の一時的な島である。われわれ生物が腐敗や崩壊の一般的な流れに抵抗してゆく過程はホメオスタシス(恒常性)として知られている。…
…ホメオスタシスによって維持されているパターンこそが、われわれ各人の自己同一性の判定基準をなすものである。…われわれは、絶えず流れてゆく川からなる川のなかの渦巻きにほかならない。われわれは持続的に存在する物ではなく、自己持続的に存在するパターンである。
 一つのパターンは、一つのメッセージ(通信文)であり、メッセージとして伝送されることができる」99-100頁

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「私が本章[通信文としての組織]で取り組むメタファーは、有機体(organism 組織体、生きもの)を通信文(message)とみなす比喩である。有機体はカオス(混沌)や崩壊や死に対抗するものであり、これは通信文が雑音に対抗するのと同様である」98頁

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「機械の場合も人間の場合と同様に、セマンティックに意味のある情報は、それを受けとるシステムの中の活動機構を、人間または自然またはその両方の妨害作用にもかかわらず通過する情報である。サイバネティックスの見地からみれば、セマンティックスは、意味の範囲を限定し、通信システム内でのその損失を制御するものである」97頁

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「言語をゲームとして扱う適切な理論は…2つの種類の言語を区別せねばならない。その一方は主として情報を伝えることをめざした言語で、他方は主として意図的な敵に対して一つの見解を押しつけようとする言語である」95頁

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