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「通信の機構がどんなに能率的になっても、それは従来と同様にエントロピーの増大という抗しがたい傾向を免れられない。情報は選ばれるさいに、外から適当な装置で制御しないかぎり、部分的に散逸する。…言語についてのある興味ぶかい見解が、サイバネティックス的な頭をもつある言語学者からだされた——会話は話し手と聴き手が共同して混乱の諸力に対抗するゲームだという見解である。…言語の間には一種の自然淘汰があることと、生き残っている言語の形態は、それが使われて生き続けることそのもののために、最適な分布型とあまりかけ離れていない形態をとるように強いられてきたということ」94-5頁

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「言語に対する現代の見方にもどるが、それは言語を翻訳する操作、および耳と脳による言語を解釈する類似する操作を、人間でない通信回路の行動になぞらえる見方である。この考えは、イェスパーセンとその学派の近代的な、しかもかつては異端視された見解と真に一致する。文法はもはや第一に規範的なものではない。それは事実的なものになったのである」93頁

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「オットー・イェスパーセンの最近の研究以来、ようやくかなり多くの言語学者が…人々が実際に話したり書いたりする言語を取り扱う科学をつくるにたたりる客観性を持つに至った」90頁

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「言語の進化論は、生物学における洗練されたダーウィンの進化論よりも前からあった。その進化論は妥当なものではあったが、たちまちそれが、生物進化論が適用できなかったところで勢力を振いはじめた。それによれば、各言語は独立した準生物学的存在であって、その進化は全く内部的な力と要求とによって起こされるものであるとされた。実は、言語は人々の交わりの付随現象であって、その交わりのパターンの変化による社会的な力のすべてに左右されるのである。」
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「前世紀[19世紀]の大部分の間、言語学の歴史は一連の独断に退化し、そこにはしばしば言語の本性に対する驚くべき無知がみられる。当時のダーウィン進化論を手本にすることが余りにも真剣かつ無批判に行なわれた」88頁

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「私は言語学者の息子として育ったので、言語の本性と技術に関する問題に子どもの時から興味をもっていた。…私の父はひじょうに異端の言語学者で、その影響は言語学を、現代のコミュニケーション理論が与えた影響とほぼ同じ方向に導いた傾向がある」87頁

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「要約するに、言語に対する人間の関心は、符号化とその解読に対する生まれつきの関心であるように思われ、これは人間のもつ他のどんな関心にもほとんど劣らぬほど人間に特有のものであるように思われる。<言葉をしゃべることは人間の最大の関心事であり、人間の達成した最も著しい特質である>」87頁

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「言語が最も楽に覚えられる決定的な時期があり、この時期を自分と同類の人間との接触なしに過ごせば、言語の習得は制限され、遅くなり、ひどく不完全になる」86頁

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「若いチンパンジーが言葉をしゃべることを習得するのを妨げているものは、言語の音声段階ではなくセマンティック段階に関する障害である。<チンパンジーには、耳にはいる音を翻訳して、自己の諸観念の統合の基礎にさせるか、または一個の複合的な型の行動へ転化させるような、作りつけの機構が具わっていないだけのことである>。…人間にはそのような作りつけの機構があることは全く明らかである」85-6頁

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「人間においては類人猿と違って何らかの言語を使おうとする衝動が圧倒的に強く、しかし、使用される特定の言語はそれぞれの特殊な場合に学習されなければならないものなのである。われわれが符号と音声に集中できることと、その熱中を音声を扱う符号から視覚刺激に関する符号にまで拡張できることは、明らかに脳そのものの中に作りつけになっていることである。…言語という天賦は、バベルの塔において分裂する前の万人共通のアダム語に源を発してはいない。それは全く心理的衝動であって、天から与えられたのは言語ではなく、言語を話す能力である」85頁

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「どんな様式の言語もすべて学習されたものであって、言語の遺伝学的進化論をつくろうとした19世紀の多くの試みにもかかわらず、今日のあらゆる形態の言語が何か一つの原始形態から発生したとなす、唯一つの原型言語の存在を仮定すべき一般的理由はほんの少しもないのである」84頁

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「音声言語が受信装置に到達するとき与える総情報量は、最初に送られた情報量より少ない。いや、とにかく、耳までの伝送系が運びうる情報量より多くはない。そして、セマンティックな言語と行動言語はどちらもさらに少ない情報量を含む。このことは、またもや熱力学の第2法則から引きだせる結論であり、もし各段階で伝えられる情報量を、その段階で適当な受信装置があれば受信できる最大限の情報量であるとみなせば、必ず成りたつことである」83頁

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「機械の設計のさい、動物界の下等な種属が持っていない人間特有の或る種の機能を機械に賦与することがしばしばひじょうに重要なのである」78頁

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「私は、言語は人間のみがもつ特質ではなくて、人間が創り出した機械もまた或る程度までもつことができるものであることを示したい。私はさらに、人間が言語を占有しているのは、人間の体内に作りつけられた一つの可能性によるのであって、この可能性は人間の最も近い親類である類人猿の体内には作りつけられていないものであることを示したい。ただし、人間におけるこの可能性は学習によって有効化されなければならないものとしてのみ人間に賦与されているものであることを示そう。
 ふつう、通信や言語というものは、人から人に向けられるものだと考えられている。しかし、人間が機械に話したり、機械が人間に話したり、機械が機械に話すことも全く可能である」77頁

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「人間の通信を他の大部分の動物の通信と区別する特徴は、(a) 使われる符号体系の精巧さと複雑さ、(b) この符号体系の高度の任意性である。多くの動物は自分たちの情緒を相互に信号で伝えることができ、そのさいのそれらの情緒は敵の存在とか、同じ種の異性の個体の存在とか、こういう種類のきわめてさまざまな詳しい情報を表示する。これらの通報の大部分はその時かぎりのもので貯蔵されない。そのかなりの部分は人間の言語に翻訳すれば間投詞や感嘆詞になるものだろう。ただし、一部は名詞と形容詞のような形の語として大まかに表現できるかもしれないが、それらの語を当の動物は人間の言語の場合のような文法的な形の区別なしに使うのである。一般に、動物の言語は第1には情緒を、第2に事物を伝え、事物の間のもっと複雑な関係は全く伝えないように思われる。
 伝えられるものの特性がこのように限られているほかに、動物の言語は種によってごく一般的な仕方で固定されており、歴史的に変化しない」75-6頁

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「言語とは、通信を媒介する符号体系を記述する語であるばかりでなく、ある意味では通信というものそのものの別名である。…通信文(メッセージ)の符号化とその解読を行なうことは、人間にとって重要であるばかりでなく、他の生物にとっても、人間が利用する機械にとっても重要である。鳥も、サルも、昆虫も、それぞれ仲間同士で通信をするのであり、これらのどの通信においても、当の符号体系を知らされている仲間たちでなければ理解できない信号やシンボルが多少とも使われるのである」75頁

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「人類は幼形成熟型である。…人間の社会が学習に基づいたものであることは、アリの社会が遺伝的パターンに基づいたものであるのと同様に全く自然なことなのである」57-8頁

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「<サイバネティックスの立場からみれば、機械の構造も生物の構造も、その機械または生物から期待しうる性能を示す指標である>。昆虫の構造の固定性はその知能を制約するほど強力なものだが、人体の構造の柔軟性は人間の知能のほとんど無限の拡張を可能にするものであるという事実は、本書の見地にとってきわめて重要である」57頁

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「物理学では、進歩という観念は、エントロピーというものと、絶対的に矛盾はしないが、対立する概念である。…
…熱力学の第2法則を悲観的に解釈するか否かという問題は、一方ではわれわれが全体としての宇宙をどのていど重視するか、他方ではその中にある局所的にエントロピーの減小[ママ]する島々をどのていど重視するかによる。われわれ自身がそのようなエントロピーの減少する島の一つであり、また他のそのような島々の間に住んでいることを想起しよう。そうすれば、近いものと遠く距たったものを見るとき当然違いがあるように、普通は、全体としての宇宙よりはエントロピーが減少し秩序が増大していく領域にずっと大きな重点をおくことになる。例えば、生命は宇宙の中で稀な現象であることは間違いなかろう」36-8頁

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「ダーウィンが進歩という観念に与えた影響は、19世紀においてさえ、生物学の領域に限られはしなかった。あらゆる哲学者と、あらゆる社会学者が、当時入手しえたかぎりの資料から各自の学問的思想をひきだした。したがって、マルクスとその同時代の社会学者たちが進化と進歩の問題についてダーウィンの見地を採用したことは、少しもふしぎではない」36頁

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