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「重要になるのは、純粋な関係性の特性のうち、関係がそれ自体から得られる満足のみに基づいて維持されるということと、関係をもつにあたっての態度・規範が外在的要因から自由になっていくということを区別することである。後者はいわゆる恋愛の自己言及的特性…であり、恋愛についてのよりラディカルな特性である」577-8頁

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「こういった国[アメリカやカナダ]での政策の結果、いずれにしても女性の相対的な所得水準が向上したが、それは女性の経済的自立、ひいては単独世帯化を促したというよりも、むしろカップル形成を後押しした…
 …一般に同棲カップルは婚姻カップルよりも出生力が低い傾向が見られ、同棲の増加は全体の出生力を低下させるように作用するが…それでもシングルの出生力よりも高いのであるから、結果として同棲は婚外子出生力の増加に寄与しているといえる。
 …少なくとも先進諸国の夫婦関係、カップル関係を見てみるかぎり、『シングル化』が目立って進行しているという状況を見出すことは難しい」574頁

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筒井淳也「親密性と夫婦関係のゆくえ」572-87頁

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「辻村[みよ子]によれば、リプロダクティブ・ライツの概念には、『リプロダクションの自己決定権』と、『リプロダクティブ・ヘルスケアへの権利』の2つが含まれる…『リプロダクティブ・ヘルスケアの権利』の意味を強めたリプロダクティブ・ライツを表す語として、リプロダクティブ・ヘルス/ライツという語が用いられることが多い」569頁

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「『性別分業』のハビトゥスからの離脱を意味するセルフコントロール感の強化は、女性の専業主婦選択を肯定することにも通じる…自分自身が選択しているのであれば、『専業主婦志向であろうが、就業継続であろうが、周りからとやかくと言われるべきことではない』という感覚である。この感覚は、若い世代ではもはや『当たり前』に近いほど、強まっていると思われる」566-7頁

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「ジェンダーとは、たんに性別や性差を意味するのではない。また、たんに『生物学的性差』とは異なる『社会的・文化的性別』を、含意するのでもない。むしろ、『生物学的性別』という性別観を利用することで正当化された社会における女性の位置づけ(主流社会科学における女性の位置づけも含む)を批判的に考察する視点を、意味している」565頁

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「フェミニズムの視点に立つならば、『近代家族』の近代性には、大きな疑問が付与されることになる。少なくとも『近代家族』は、家族の最終形態の類型であるどころか、近代社会の基本的価値観が浸透する過程において大きな変動を被らざるをえない類型であると、言いうるだろう」564頁

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「現代フェミニズムの家族に対するもっとも重要な認識は、性別分業の問題以前に、家族を私的領域として他の社会領域から切り離す公私分離規範に対する疑義にこそ求めるべきだとも、言いうるだろう」558頁

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「現代フェミニズムは、女性にとって、(性愛関係を含む)家族生活と職業生活は、そのいずれも手放せないような重要性をもっているということを、共通認識としている。…私生活における家族の重要性を、第1波フェミニズムよりもむしろ強調していると言いうる」557頁

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「リベラル・フェミニズムは、『女性は、家庭生活から解放され社会で活動できるようになるべきだ』と主張したけれども、そこから女性が現実に行ってきた家庭内の仕事(あるいはその一部)をそのあと誰が担っていくべきかについて、主要な主題として論じることはなかった。リベラル・フェミニズムは、私生活に深くは踏み込まなかったのである」555頁

現実には外注(市場化)されて、それも別な女性が担っていくことになり、結果として職域隔離が悪化したわけですね

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「労働者が組合によって守られていたヨーロッパでは、不況は中高年ではなく若い世代を直撃した。この若者の失業が、晩婚化と結婚できない人々の増加につながり、その解決策として共働きによる生計の維持や同棲が選択されたという因果関係も見て取れる」545頁

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「近代家族論は、近代の2つの局面を区別することで、さまざまな理論的混乱を解決することができた。『半圧縮近代』ゆえに辛くも可能な理論化だった」543頁

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「現在の東アジア社会は、ジェンダーに関して、少なくとも2つのグループが見出せる。第1のグループは、現在の女子労働力率は比較的低いが上昇傾向にある社会で、日本、韓国、台湾が含まれる。第2のグループは現在の女子労働力率は高いが下降傾向(主婦化傾向)にある社会で、タイなどの東南アジア社会と中国である」542頁

この図はわかりにくい😅

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「小山静子が発見したように、良妻賢母はヨーロッパ起源の近代思想であり、子どもの教育における母親役割の強調は儒教思想では見られなかった…しかし、第1次世界大戦頃から、個人としての女性の解放を主張する第1期フェミニズムがさかんになると、そちらを欧米的な女性観と見なして、良妻賢母は東洋的伝統であったかのように思い込むという取り違えが起きた。興味深いことに、この取り違えは日本のみでなく同時期の韓国や中国でも起きている」541頁

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「半圧縮近代である日本は高齢化の開始が遅く、ヨーロッパ諸国が高齢社会(高齢化率14%以上)となった1980年代にも人口学的好条件を保っていた。80年代の日本の経済的優位は、少なくとも部分的には欧米諸国との人口学的条件の違いに寄っていた」541頁

人口ボーナス

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「韓国や台湾では1997〜98年のアジア通貨危機を契機に離婚率が急上昇し、出生率は日本を下回る極低出生率の水準にまで低下した…経済状況の悪化の中、人々はまさに自分にリスクをもたらしかねないものとして、結婚・出産を回避したのである」540頁

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「婚姻に関する指標のうち、同棲の増加と婚外出生率の増加はほとんど起きていないことが、[東アジア諸国と]欧米圏との大きな違いである」539頁

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「日本以外の東アジア諸国の近代化は、日本よりもさらに圧縮されており、欧米諸国や日本が経験したような『第1の近代』と『第2の近代』の区別なしに、近代をひと続きのものとして経験している。チャン[キョンスプ]がこの状態を『圧縮近代』と呼んだのだとすれば、まがりなりにも2つの異質な近代を意識することのできる日本近代はこれと同じではない。そこで筆者は近年、日本近代を『半圧縮近代』」として概念化することを提案している」538頁

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「注目したいのは、出生率低下は、わずかな例外を除いて、地域ごとにまとまって起きているということである」537頁

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